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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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Mission:13 スカーフェイス

ミサイルの弾頭にあったはずの超フォースメタルが消失し、仕方なく基地に戻ったエックス達は、モニタールームにてリディプスと通信をしていた。

『ふむ…その超フォースメタルという兵器がどこかに行ってしまったと?』

「はい、大佐…超フォースメタルは、非常に危険な物です。放置出来ません」

指で摘まめるくらいの大きさの超フォースメタルでさえ、エックス達の想像以上のパワーアップをしたのだ。

もし超フォースメタルがその他のイレギュラーの手に渡ろうものなら背筋が凍る思いだ。

『…幸いにして、電波障害も無くなり、我が方からのサポートも可能になると思う。私自ら部隊を率いて、ギガンティスに乗り込むことも検討中だ。超フォースメタルは此方からも探ってみよう。エックスはリベリオンの本拠地を…』

リディプス大佐が言い切る前に基地に警報が鳴り響く。

「何だ!?」

「基地に侵入者…敵襲です!」

「敵はサウススクエアに侵入しているようだぜ、急いで出撃してくれ!!」

敵の位置を把握したルナがエックス達に伝えると、全員が表情を引き締めた。

【了解!!】

エアバスに乗り込み、サウススクエアに向かうエックス達。

サウススクエアに着いたエックス達はエアバスを降りると、そこにいた人影に武器を構えた。

「お前は…」

「リベリオン幹部が1人、スカーフェイス。貴様等に倒された同志の仇を取るため、そして超フォースメタルを取り返しに来た!勝負しろエックス!!」

高出力のツインビームランスを構えるスカーフェイスにエックスもバスターを構えた。

「超フォースメタルだと?」

スカーフェイスの言葉に違和感を感じたエックスが言う。

「そうだ!あれは我らの理想のために無くてはならぬ物!返して貰うぞ!!」

「何をわけの分からないことを!チャージセイバーを喰らえ!!」

「零式突破!!」

「マリノスタンプ!!」

ルインとゼロ、マリノがスカーフェイスに向かって技を繰り出す。

「…遅いっ!!」

しかし、スカーフェイスは凄まじいスピードでそれらを捌いて逆に3人に手痛い一撃を浴びせる。

「なっ!?」

「速い!?」

あまりの速さにマッシモだけでなくアクセルも目を見開く。

「プラズマアレイ!!」

ツインビームランスからプラズマ弾が放たれ、プラズマ弾は3人に直撃して吹き飛ばした。

「ゼロ!ルイン!!」

「マリノさん!!」

「大丈夫か!?」

3人がゼロ達に駆け寄るのと同時に大量のプレオン達が出現し、エックスとアクセル達を分断した。

「みんな!」

「安心しろ、邪魔さえしなければ手を出すなと命じている。」

「何だと?どういう意味だ?」

「…無用な犠牲は好まん」

「え?」

今までのリベリオン幹部とはまるで違う発言にエックスは目を見開く。

「…勝負!!」

「っ!ハイパーモード・Xファイア!!」

咄嗟にハイパーモードを発動させてスカーフェイスの斬撃をコレダーで受け止める。

「ほう、我が初撃を受け止めたか…」

「何て機動力だ…だが、負けるわけには!シェルバスター!!」

何とかツインビームランスを弾いてコレダーからショットを放つ。

スカーフェイスは見たところ雷属性なので炎属性のシェルバスターは効くはずだ。

「甘いっ!」

しかし、シェルバスターはあっさりと弾かれてしまい、スカーフェイスは再びエックスに急接近する。

「くっ!Xコレダー!!」

エックスは遠距離からの攻撃は無意味と判断してコレダーによる接近戦を挑む。

「その潔さは見事だ。だが、いくらパワーアップで底上げしようと本来射撃型の貴様が私に接近戦を挑むとはな」

エックスが使いこなせる武装はバスターであり、他の武装は並と言ったところだが、遠距離からの攻撃はあっさりと無力化されてしまったのでこれでやるしかない。

スカーフェイスの斬撃をコレダーで受け流しながら動力炉を抉る一撃を与えようとしても相手も簡単には当たらない。

「ならばっ!!」

細かい動作は出来なくなるが、ブーストパーツの機能を解放してスカーフェイスとの距離を詰める。

急激に上昇したスピードにスカーフェイスは目を見開くが、スカーフェイスの動きはブーストパーツによって強化されたダッシュにも対応してみせた。

「中々の速度だが、その程度では私は倒せん!!」

「ドメガファイア!!」

「何!?」

予想外の超至近距離でのエレメントボムの投擲。

しかも投擲した物はスカーフェイスの弱点属性の広範囲攻撃のドメガファイアを3つ。

流石のスカーフェイスも高速戦闘中で、しかも至近距離ではまともな回避行動など出来るはずもない。

3つ分のドメガファイアの業火にエックスもスカーフェイスも飲み込まれる。

それは炎属性が弱点のスカーフェイスの意識を一瞬持っていく程の威力であり、その一瞬でエックスはスカーフェイスの腕を掴んだ。

「っ!?」

「チャージコレダーーーッ!!!」

炎に焼かれながらもエックスはコレダーのチャージをしており、最大までチャージされたエネルギーを放つコレダーを叩き込んだ。

「ぐおおおおおっ!!?」

チャージコレダーをまともに喰らったスカーフェイスは吹き飛ばされ、膝を着いた。

「はあ…はあ…」

「っ…肉を切らせて骨を断つか…見事だ。流石は伝説となったイレギュラーハンター・エックス…その噂に恥じぬ強さだ」

両者のダメージは酷く、スカーフェイスの殺気が消えたのを感じたエックスはハイパーモードを解除した。

スカーフェイスもツインビームランスを収めると、エックスの実力を評価する。

「お前達の言う理想とは何なんだ!?戦わなければ、手には入らない物なのか!?」

「我々は…総統は…争いなど望んではいない!レプリロイド同士が争い、人間を攻撃して一体何になると言うのだ?」

スカーフェイスのその言葉に尊敬していた師をリベリオンに殺されたマッシモが激昂する。

「ふざけるな!争いを生んで、マッシモ師匠を含めた大勢の犠牲を出したのはお前達だろう!!」

「貴様があの勇者マッシモの弟子か、それは貴様らレジスタンスや連邦政府が我らの理想を阻むからだ!邪魔さえしなければ手を出すなと、イプシロン総統に命じられている!ここに来たのは私の独断だ。」

エックスは拳を握り締めながらスカーフェイスに言う。

短時間とは言え交戦したことで僅かなりともスカーフェイスのことを知ることが出来たから余計に聞きたかった。

「戦ってみて分かった。お前は狂ったことに力を振るうようなレプリロイドではないはずだ。そんなお前が何故!?世界中のレプリロイドをイレギュラー化するような、超フォースメタルなんて恐ろしい兵器を!?」

エックスの超フォースメタルを“兵器”と言うことにスカーフェイスは僅かに表情を変えた。

「…兵器?確かに超フォースメタルは使いようによっては兵器としても使えよう。だがな、超フォースメタルは元々、レプリロイドの性能を高めるために生み出された物だ。これを使い、自らの能力を高めていく…。それは我々レプリロイドの…レプリロイドの数ある進化の形の1つだ!!」

「…………」

「レプリロイドは単なる機械か?違う、我々には意思がある!我々には生命がある!人の手による進化は、我々の進化か?」

スカーフェイスの口調は訴えるそれに変わっており、エックスはスカーフェイスの言いたいことが分かる。

レプリロイドは無機物ではあるが、ただの機械かと言われれば断じて否である。

人間と同じ心を持ち、人間の心臓に相当する動力炉、そして遺伝子に相当するDNAデータを持った地球に存在する1つの生命体なのだ。

「だけど…だけどそれは…それは危険だ!もしその進化の先にある物が…イレギュラーだったら…」

「我々がイレギュラーか…そうでないのかは…後世の歴史だけが決められることだ。違うか!?」

「………」

スカーフェイスの言葉にエックスが閉口する。

確かにイレギュラーかどうかは歴史だけが決められることだ。

「……お喋りが過ぎたな。エックス、口惜しいが、貴様は強い。我らの理想を分かち合えんのが残念だよ。ここはひとまず退こう。だが、次に会った時は…必ず貴様を…」

スカーフェイスとプレオン達が転送の光に包まれ、次の瞬間消え、エックスは息を吐いてルイン達の元に歩み寄る。

「みんな…大丈夫か?」

「うん…エックス、お疲れ様…スカーフェイス…強かったね」

3人掛かりで簡単にあしらわれてしまったためか、ルインの表情は優れない。

「スカーフェイス…他の幹部とは桁違いの強さだった。」

「ああ、流石はイプシロンの右腕か…」

不覚を取ったゼロもアクセルに同意しつつも渋い表情だ。

サウススクエアを含めたエアシティにリベリオン兵が1体もいないことを確認してからエックス達は基地に戻っていった。

翌日、スカーフェイスの転送先を割り出すことに成功して全員がモニタールームに集まっていた。

「スカーフェイスの転送ルートを解析した結果、リベリオンの本拠地らしき場所を絞り込むことが出来たんだ。」

「それは本当なの?」

アルの言葉に即座にルインがナナに確認を取る。

「はい、ステルス転送なので、はっきりとは分からなかったのですが…。」

転送ルートを解析して絞り込まれたリベリオンの本拠地らしき場所がモニターに映る。

「グラース氷河…?」

モニターに映るグラース氷河と呼ばれる島に、エックスは疑問符を浮かべながら呟く。

「ギガンティスではレプリロイドの性能テストのために、様々な環境が造られているのだが、オノバン・デザートと並んでギガンティスの過酷な環境と言っていい」

「それでも…行くしかない…みんな、これで最後だ。俺に力を貸してくれ!!」

エックスが拳を握り締めて全員を見回しながら叫ぶと、ルイン達も心強い笑みを浮かべて頷いた。

「当たり前だ。もうあの時のような不覚は取らん」

「最終決戦なんだから、僕も出し惜しみなんかしないよ。だよねマッシモ?」

「あ、ああ…そうだな。マッシモ師匠の意志を継いで、俺は必ずリベリオンを…」

最終決戦だと思うと僅かに震える体だが、マリノが背中をバンと叩いて頼もしい笑みを浮かべた。

「今度はスカーフェイスの時のようなヘマはしないよ。エックス、あんたも派手にやりな!!」

「私も回復能力で皆さんを全力でサポートします!!」

「行こうよ、エックス。大丈夫、全員で力を合わせれば何とかなるよ」

「よし、行くぞ!!イプシロン…決着をつける!!」

エックスとルインが早速転送装置に乗り込んで本拠地に向かったが、それに続こうとしたゼロ達はルナに止められた。

「あのさ、イプシロンと戦うためにはエックスとルインを無傷の状態で送っていくんだ。」

「エックスとルインをか?」

「何でさ?」

ルナの提案にマッシモとマリノが不思議そうにルナを見つめる。

「イプシロンと戦うには消耗した状態で挑むなんて自殺行為だからだよ。だから最低でも2人…万全の状態でイプシロンの所に送っていくんだよ。エックスとルインなら遠近両方で戦えるだろ」

「なるほど、他の敵は俺達が相手をしろと言うことか…」

「エックスとルインが怒りそうな作戦だよね」

ルナの考えを理解したゼロ。

アクセルもこの作戦を本人達が聞けば必ず怒りそうだと容易に予想出来た。

「そういうわけだから、何とか2人…出来れば3人がいいんだけど頼むな」

【了解】

全員はルナにそう返すと、エックスとルインを追うように転送装置に乗り込んで転送される。

そして一足先にグレイブ遺跡基地に来ていたエックスとルインが振り返った。

「みんなが来たよエックス」

「ああ、遅かったな?」

「すまん、ルナに呼び止められてな」

「意外と心配性なんだねあの娘。まあ、最後の戦いになるんだから無理ないけどさ」

エックスの疑問にゼロとマリノがそれらしい答えを返していた。

仲間思いのルナのことを考えれば信じられるようで、2人は何も言わなかった。

「まあ、エックスや僕らはともかくルインが心配になるのは分かるけどさ」

「ちょっとアクセル?それはどういうことかな?」

「心当たりがないとは言わせないよ?」

「うぐぐ…まさかアクセルに言われる日が来るなんて…!」

「ルインさん、無茶は駄目ですよ?」

「はうう…」

アクセルとルイン、シナモンの会話にゼロは呆れた。

「やれやれ、最後の戦いの前だと言うのに緊張感のない奴らだ。」

「いや、最後の戦いを前にしてここまで自然体でいられるなら寧ろ頼もしく思えるよ」

「そうだね、っと…みんな、気を引き締めな。お客さんだよ!!」

振り返ると警備用のプレオン達が迫ってきた。

しかし、それらはゼロ達の敵ではなくマッシモが大型のビームサイズを構えて横薙ぎして両断した。

「マッシモ、それ新しい武器!?」

「ああ、ルナが用意してくれたジェットギロチンだ!!」

「やるねえ、それじゃあ私達もやるよ!!」

アクセルがマッシモの新装備に驚き、それにマリノも続くようにビームチャクラムを構えて攻撃する。

シナモンもゼロもアクセルもそれぞれの武器を構えて攻撃し、目の前にいたプレオンは全滅した。

「カスタマイズしてくれていたのは知っていたが、ここまでの仕上がりだとはな」

「うん、これならどんなに強力なプレオンが出てきても対抗出来そうだよ。」

スカーフェイスの襲撃の時は披露出来なかったが、ルナが近付いている決戦のために装備を新造したり、カスタマイズしてくれたりしていたので、プレオン程度なら楽に破壊出来る。

「何をしているエックス、ルイン。早く先に進むぞ」

立ち止まってる2人にゼロが声をかけると、2人はハッとしてイプシロンを目指して仲間とともに先に進んで近くにある開いている扉を潜ると、妙な光景を目にする。

床に伸びている光に全員の視線が集中する。

「何だろうねこの光は?」

不思議そうに床に伸びる光を見つめるルインにマッシモも首を傾げながら光を凝視する。

「さあ…って、扉がロックされちまったぞ!?」

ロックの電子音が聞こえて慌てて振り返ると扉がロックされて閉じ込められてしまう。

「落ち着きなマッシモ!たかが閉じ込められちまっただけだろ?」

「そうだね、全くどうしようもないってわけでもなさそうだよ?如何にも調べて下さいって言わんばかりの物が目の前にあるし」

ルインが天井から床に伸びている光を見つめながら言うとゼロも同意するように頷いた。

「ああ、あの光が怪しいな…調べてみるか」

「じゃあ、僕が調べてみるよ。」

罠であったとしてもハイパーモードを発動すれば大抵の罠は回避出来るアクセルが適任だろう。

「アクセルさん、気をつけて下さいね」

「うん…多分、触れても大丈夫そう…」

床に伸びている光からは熱を感じないのでゆっくりと触れると、警報が鳴り、数体のプレオンが出現する。

「警備兵が出て来たぞ!!」

「この程度、俺1人で充分だ!!カゲロウ起動!!」

半実体のエネルギー分身を作り出し、プレオン達をソウルセイバーで纏めて薙ぎ払った。

「流石!」

武器のリーチを活かした攻撃にアクセルは笑いながら言う。

するとロックが解除された電子音が聞こえてきた。

「あ、扉のロックが解除されてるぞ」

「なるほどねえ、警備システムと連動していたんだ…ん?光がまた伸びてる?」

ルインが再び天井を見ると、再び床に向かって光が伸びてきていた。

「もしかして、元に戻るんじゃないでしょうか!?」

「エックス、みんな!!急ごう!!」

ルインが扉を指差しながら急いで脱出を促し、同じ仕組みの場所を攻略しながら突き進むのであった。 
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