ロックマンX~Vermilion Warrior~
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Mission:7 一時の休息
前書き
ルナは戦えないので武器のメンテナンスなどの後方支援。
リベリオンへの対抗戦力も揃いつつあり、セントラルタワーのレプリロイド達が活気づいてきていた。
今までのレジスタンスや住人達のことを思えばいい傾向だと思う。
「それじゃあ俺は後方支援ってことで良いのか?」
「ああ、前線から長く離れている君を戦わせるわけにはいかないからな」
仲間に加わったルナは昔の事件のこともあり、武器のメンテナンスなどの後方支援に回ることになった。
シナモンは後方支援に回そうと言うことになりかけたが、本人の強い意思もあってエックス達と同行することに。
「それよりもそろそろ飯にしねえか?エネルギーパックだけじゃ味気ないし、俺が作るぜ」
「へえ、あんた作れるのかい?」
「おい、それはどういう意味だよマリノ?」
聞きようによっては失礼極まりない問いをされたルナは眉間に皺を寄せながらマリノを睨んだ。
「いや、あんた本職は技術者だろ?技術者とか科学者っててんで料理とか掃除とか駄目駄目なイメージがあったんだけど」
「んん…どうなんだろうなあ…俺は意外と真面目にやってるけどな…因みに俺は結構長い間みんなに飯作ってるからな!年季が違うぜ!」
「へえ、で?結局のところこの娘の料理って美味いのか?」
「昔は見た目や味よりもエネルギー摂取の方を重視していたが、今では見た目も味も保証出来る」
前線を退いてからは時間も余るようになってから任務後に疲弊して戻ってくる仲間のために料理を作る頻度が多くなったので、今ではルナが一番料理が上手い。
「輸入で人工肉がたくさん入ってきたから……ハンバーグにするかね」
今では完全な天然物の肉はないが、地球の技術進歩によってほとんど天然物の肉と栄養も味も大差ない物となっている。
「肉料理か、良いな…」
任務で肉体的にも精神的にも疲労を感じてきたところだったので、こういう肉料理は本当にありがたい。
特に近接戦闘を主とするマッシモはガッツリとした物は好物である。
「あのー、はんばーぐってなんですか?」
【は?】
シナモンが疑問符を浮かべながら尋ねてきたが、その質問にエックス達は大きく驚かされる。
「何って…肉を使った練り物で結構ありふれた料理だぞ?」
「ギガンティスではあまりそう言うのはないのか?」
「いやあ、そんなことはないぞ?」
ルナがハンバーグを簡単に説明し、ゼロがハンバーグはギガンティスでは馴染みがないのかと尋ねるがマッシモは首を横に振った。
「ねえ、シナモン。あんた研究所にいた時は何を食べてたのさ?」
「流石に食事をしていなかったわけじゃないだろう?」
マリノとエックスが尋ねるが、シナモンから返ってきた答えはかなり衝撃的な物であった。
「食事?何ですかそれ?」
「…ちょっと待った。まさか、研究所にいた時はエネルギーパックでエネルギー補給してたのか?」
シナモンの答えに嫌な予感を覚えたスパイダーは現在ならば全く考えられないことを聞く。
「はい、変ですか?」
「…俺からしても人生の大半は損してるって断言出来るぜ?」
スパイダーだけではなくそれはシナモンを除いた全員が思っていることだ。
レプリロイドは確かにエネルギーさえ補給出来れば大丈夫なのだが、それだけでは味気なさすぎるのだ。
何せハンターベースで一番食に関心がなさそうなゲイトですら自販機でハンバーガーやらスープやらを購入して簡単な食事をしていると言うのにだ。
美味しい物を食べることで気分転換になることもあるのでシナモンはかなり不憫な生活をしていたようだ。
「シナモン!今日は俺がお前のために美味い物たくさん作ってやるから!デザートもおまけしてやるからな!後でガウディル博士をシバくから準備だけしといてくれ」
「…分かった」
エックスもシナモンの食事事情を聞いてこれはないと思ったのかルナを止めようとはしなかった。
数時間後にルナが運んできた大皿に山盛りのハンバーグを見るエックス達。
「おお、これは凄いな」
「人は見た目によらないねえ」
「だからマリノ、喧嘩売ってんのか?」
「しかし、作りすぎじゃないのか?俺達全員で食べられるだろうか…」
「食えなかったら他の奴らに分ければいいだろ。じゃあ早速…ん、美味いな」
エックスが不安そうに大量のハンバーグを見ていたが、スパイダーが早速食べ始め、それに続くようにマリノもマッシモも口にする。
「これは…美味いねえ…」
マリノは唸るように言い、マッシモも美味しそうにハンバーグを口に運んでいく。
「本当に美味しいな。ルナは良い奥さんになるよ」
「え?そ、そうか…?」
「ああ、ルナは美人だからきっと男は放っておかないぞ」
照れるルナにマッシモは微笑みながらハンバーグのお代わりをする。
「どうだ?食べられるか?」
「美味しい!美味しいです!こんな美味しいの初めてです!」
目を輝かせながらパクパクとハンバーグを口にする今日までハンバーグすら口にしたことがないシナモンにルナはあまりの不憫さに泣きそうになった。
「俺の料理で良かったらいくらでも作ってやるよ…」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
もし彼女が犬型のレプリロイドなら尻尾をブンブンと振っていることだろう。
「なあ、エックス。シナモンと外出する時はショッピングアーケードで何か菓子とか買ってやれよ。これだとケーキとかクッキーも絶対に知らねえぞ」
「そうだな…」
流石のエックスも止める気にもなれず、もしショッピングアーケードに向かう機会があれば買っておこうと思った。
「そうそう、シナモンのために武器を作ってやったぜ。護身用のだけどな」
基本的に丸腰なシナモンのためにルナは徹夜で造ったのだ。
「わあ、ありがとうございます」
早速ルナがシナモンの武器を取り出すとその見た目を見た全員が沈黙した。
「おい、何だそれは?」
ゼロの言葉はシナモンとルナを除いた共通の心境でもあった。
まるで猫の前足をデフォルメしたかのような、非常にファンシーな外見を持つ巨大なグローブであった。
「シナモンにはごっつい武器はあれだし見た目と機能に力を入れてみたぜ。どうだ凄いだろ?」
「ああ、色々な意味でな」
にゃんこグローブを見て頭痛がするのか頭を抱えながらゼロが言う。
「何だよその言い方は?このにゃんこグローブはな。一撃入れるだけで防御力ダウンとかのステータスダウン効果があるんだぜ?見た目を重視しつつ破壊力と凶悪な効果を追求した結果がこれさ」
「あんたのそれ、才能と努力の無駄遣いだよ」
明らかに努力と才能の使い方を間違っているルナに思わずマリノは言わずにはいられなかった。
性能面に関しては理解出来るが、こんな明らかに戦場で浮くような見た目の装備にする意味が理解出来ない。
これを受けたイレギュラーは肉体的にも精神的にもダメージが大きそうである。
「何言ってんだ。可愛くて強いなんて最強だろ」
ルナの言葉に全員が黙りこんだ。
エックスとゼロは彼女が元々可愛い物好きなのは知っているのだが、色々とやり過ぎな感じがする。
「わあ、可愛いです!ありがとうございます!」
しかし受け取る側のシナモンが嬉しそうなので止めるのもどうだろうと思い、黙認することになった。
そう言えばルインもアイリスもへんてこりんでちんちくりんな物体が好きだったような記憶がある。
女性の感性は分からないと言いたげなゼロであった。
因みに話し込んでいるうちにいくつかのハンバーグはソニアに掠め取られたことは誰も知らない。
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