八条学園騒動記
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第六百九話 カレーはそれぞれその七
「カリーを食べて」
「自国に持ち込んだのよね」
「そうなんだよね」
「それでビーフカレーが出来たのね」
「あっちじゃシチューで」
海軍で食べていたのだ。
「ミルクを使おうにも」
「あの頃冷蔵庫なんてなかったわね」
「冷蔵とか冷凍の技術なかったから」
十九世紀はそうであったのだ。
「だからね」
「ミルクはなくて」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「カリーにして」
「スパイスそのものの」
「これだと保存出来るから」
長い船旅の中でもだ。
「だからね」
「カリーにして」
「そこでアレンジして」
「カレーになったんだ」
「カレーシチューね」
「元々あの国ビーフシチューあったから」
そして海軍でも食べていたのだ、尚これが日本では肉じゃがになるのであるから料理は実にわからない。
「それみたいにね」
「食べていたわね」
「それでね」
トムはさらに話した。
「あの日本に入って」
「あの、だね」
シッドも鯨カレーを食べ終えていた、そしてカイギュウカレーを食べはじめている。そのカレーも美味いと思いつつ兄に応えた。
「まさに」
「そう、その日本でね」
「カレーシチューがカレーライスになったんだ」
「日本人はずっと昔からお米大好きだから」
それでというのだ。
「それでね」
「ルーをご飯にかけて食べて」
「カレーライスになったんだ」
「そうだね」
「そう、そしてね」
トムはカレーの中の鯨肉を食べつつ弟に答えた。
「そのカレーがね」
「ビーフカレーだったね」
「そうだったからね」
「元々カレーシチューに入っていたのが牛肉で」
「それでね」
「それで標準になったんだね」
「カレーライスのね」
まさにそれのというのだ。
「なったんだ」
「そういうことだね」
シッドもその話を聞いて頷いた。
「つまりは」
「そうなんだ、それでビーフカレーからね」
「色々なカレーが出来たんだ」
「そうなったんだ」
「それで連合中に広まって」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「皆食べているんだ」
「そういうことだね」
「色々なカレーをね」
まさにというのだ。
「今もね」
「そういうことなんだね」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「それがカレーの歴史だよ」
「食べものにも歴史ありだね」
「本当にそうだね、というかね」
「というか?」
「いや、実はカレーシチューとビーフシチューってね」
トムはここでこうも言った。
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