レーヴァティン
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第百九十九話 関東の政その十
「惨めにな」
「どうしようもないアホやからな」
「そして法律がない社会でもだ」
「同じやな」
「そんな奴は少し荒れた社会では真っ先に死ぬ」
理由は感嘆だ、愚かだからである。
「そして後は誰も見向きもしない」
「そういう末路やな」
「こうした馬鹿が死んでも俺は何とも思わない」
英雄はさらに言った。
「しかしだ」
「それでもやな」
「他の者はどうか」
「ちゃうな」
「一人の愚か者は知るものか」
勝手に死ね、そういうことだった。
「だが多くの心ある者は助からないといけない」
「それやな」
「俺はそうした者のことを考えてだ」
「お金もやな」
「必要でありだ」
「力があるべきと考えてるな」
「そうだ」
それは絶対にというのだ。
「やはりな」
「さもないとな」
「国は治まらない」
秩序が成り立たないというのだ。
「金が確かならそれだけでだ」
「秩序が維持されるわ」
「物々交換ではどうにもならない」
「ほんまにな」
「そしてその金も質がだ」
これがというのだ。
「大事だ」
「悪貨はあかんわ」
耕平はすぐに答えた。
「質の悪い銭なんかな」
「誰も使うことはしない」
「それでやっぱりや」
「そこから経済が破綻する」
「そうなるわ」
「だからだ」
それでというのだ。
「銭の質もな」
「大事や」
「いい銭がなくてはな」
「やっぱりあかんわ」
「紙幣もあるが」
この金についてもだ、英雄は言及した。
「これは案外難しい」
「偽札刷る奴出るからな」
「今何故紙幣が出回っているか」
「偽札刷る奴がおらんからや」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「だから成り立っている」
「貨幣よりもお札は偽物を造りやすいですね」
紅葉も言ってきた。
「金や銀に為すよりも」
「銅よりもな」
「はい、こうしたものはそうは出回っていませんし」
貴金属という名は伊達ではない、そうはないからこそ価値があるのだ。そして銭にも使われるということだ。
「そして貨幣にするにもです」
「それなりの技術が必要だ」
「左様ですね」
「だから江戸幕府は成り立っていた」
経済の面でもというのだ。
「貨幣鋳造権を手にしてな」
「確かな貨幣を造れたので」
「だから成り立った、しかしだ」
それでもというのだ。
「札はな」
「偽札を刷りやすいので」
「かなり高度な技術を持っていないとだ」
「偽札を刷られ」
「経済は崩壊する」
「そうなりますね」
「だから紙幣はそう簡単に造れず」
やはり偽札を警戒してだ。
「そしてだ」
「銭もですね」
「確かな技術で造るべきだ」
「国を安定させる為に」
「必ずな、世には悪人もいてだ」
「偽金造りもいます」
「これは人殺しと同じだけ重罪だ」
そこまでの罪だというのだ。
「まさにな」
「これ以上にないまでに世を乱すので」
「経済を乱してな」
「だから幕府としても許さないですね」
「そして造らせない」
決してというのだ。
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