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レーヴァティン

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第百九十九話 関東の政その八

「そして物々交換の社会になりました」
「そうだったな」
「そして当時のドイツは」 
 謙二は顔を曇らせて話した。
「世界恐慌は決定打になりましたが」
「それ以前から経済は悪化してな」
「それが一因となり社会も荒んでいました」
「犯罪も多かったな」
「異常犯罪も」
 そう言っていい犯罪もというのだ。
「多かったです」
「猟奇殺人もな」
「ナチスが政権を握るまでそうでした」 
「ナチスが経済を回復させた」
「そして治安を徹底させました」
「その結果犯罪も減ったな」
「異常犯罪は根絶されたと言ってよかったです」
 この当時のドイツは犯罪学において特筆すべきだったと言われている、フリッツ=ハールマン等が出ていたのだ。
「まさに」
「それが事実だ」
「ナチスが経済を回復させ」
「社会を回復させたこともな」
「そうでした、ナチスは確かに多くの悪を為しましたが」
「しかしな」
「ドイツを救ったことは事実です」
 少なくとも一度はだ、ワイマール期のそれを。
「紛れもなく」
「そうだな」
「はい、そしてこうした事例を見ても」
「貨幣経済はわりかし楽に崩壊する」
「きっかけがあれば」
「それでな、だから金が確かな力を持つ」
「そうした社会を維持することが必要です」
 英雄に述べた。
「そしてそれが出来れば」
「金は確かに力になる」
「そういうことだね、つまり秩序だね」
 桜子は砕けた姿勢で言った。
「お金が保証される社会であるべきだね」
「戦は行ってもな」
「お金は存在してね」
「それで世の中が動く様にだ」
「しておく必要があるね」
「そしてその社会なら」
 まさにというのだ。
「金を持っている方がだ」
「強い」
「そしてこの浮島は既にだ」
「金が力を持っているから」
「俺達はより多くの金を持つ」
「そうしていくね」
「そのうえでだ」
 英雄はさらに言った。
「領内でその金をだ」
「動かしていくね」
「そうしていく」
「そのうえで」
「国を豊かにする、金に力がある様にして」
「動かせばね」
「いい、そうすれば豊かになる」
 こう桜子に話した。
「そしてより強くなる」
「国もね」
「そうした意味で金はいい、亡者になっては駄目だが」
「やっぱりお金は必要だね」
「国や人の為にな」
「お金を否定すれば」
 智が言ってきた。
「一見諸悪の根源がなくなる様でも」
「物々交換になるかだ」
「お金が価値のなくなる社会がどういったものか考えると」
「よくはないな」
「そうでござるな」
「金がない自由な社会」
 英雄はあえてこの言葉を出した。 
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