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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者

作者:niko_25p
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第五十五話  狙われたジュエルシード

いつもの訓練の時に、突如出現したガジェットの対処に緊急出動するシグナムとアスカ。

奪われたジュエルシードを回収すべく攻撃を仕掛けた時に、それは起こった。



魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者、始まります。



outside

「えー、シグナム副隊長?何がどーなってこうなったんっスかね?」

アスカは訓練場で対峙しているシグナムに話し掛ける。

「何って……お前の訓練をつけてやろうと言うだけの話しだが?」

こいつ、何を言ってるんだ?とばかりに小首を傾げるシグナム。

仕草その物は可愛いが、当事者であるアスカにそれを楽しむ余裕はない。

「そんな当然のように言わないでくださいよ!今日は八神部隊長も高町隊長もハラオウン隊長も、ヴィータ副隊長もいないんですよ!おまけに、エリオとキャロはハラオウン隊長について行ってるし、ティアナも部隊長のお供だし、スバルも高町隊長と出てって、いま六課にいる前衛はシグナム副隊長とオレだけなんですよ?分かってます!?」

アスカの言う通り、はやては査察の準備をする為に色々動き回り、勉強のためとティアナを連れて行っている。

フェイトは捜査を進める為に本局に出向き、その手伝いでエリオとキャロが一緒に行動している。

ヴィータは外部教導の補佐をする事になっていて、なのはとスバルは、この間の3型改の事件内容のすり合わせに108部隊に出向いている。

つまり、出撃命令があってすぐに出られるのはアスカとシグナムしかいない。

「この状況でオレを戦闘不能にしてどーすんですか!」

完全にボコられる前提で話を進めるアスカ。

「心配はいらん。シャマルがちゃんといる」

完全にボコる事を前提に答えるシグナム。

「ぜってーヤダーーーーーーーーー!」

絶叫するアスカであったが、しっかり訓練着に着替えている所をみると、やる気はあるようだ。

それを分かっているシグナムが苦笑する。

(まったく、変な所でへそ曲がりなヤツだ)

口ではもの凄く嫌がるアスカだが、決してシグナムの訓練から逃げ出したりサボろうとはしない。

むしろ、始まってしまえば積極的に参加してくる。

そういう一連の行動を理解しているシグナムは、アスカの抗議を聞いてないフリをする。

「今日もいい天気だ。構えろ」

「天気関係ないっスよね!?話し聞いてください!」

裏声でアスカが叫ぶ。

最近では、シグナムはこのやりとりを楽しむようになっていた。

訓練の始まる儀式みたいなものだ。

アスカの悲鳴を知らん顔してレヴァンティンを抜いたその時……

緊急警報が鳴り響いた!

「これ、スクランブルのアラート?」

アスカがそう言った時、モニターが開いてグリフィスが慌てた様子で現れた。

「シグナム副隊長、アスカ。スクランブル出動を命じます!」

グリフィスが口早に出撃命令を出した。普段の落ち着いた感じではない。

「状況は?」

シグナムが冷静に情報を待つ。

「ロストロギア第三保管庫がガジェットに襲われ、ロストロギアの一つが奪われました」

「第三って……クラナガンからかなり離れていたんじゃ?確か、山の中にあるやつですよね?」

アスカの言葉にグリフィスが頷く。

「そうだよ。山中に隠れるようにしてあったんだけど、それが仇になったみたいだ。そして、奪われたロストロギアは……ジュエルシード」

「!」

ジュエルシードが奪われたと聞いて、シグナムの目がスッと細くなる。

「あれを奪われる訳にはいきません!すぐに出撃してジュエルシードの奪還及び、ガジェットを殲滅してください!」

「「了解!」」

アスカとシグナムは同時に答え、セットアップを完了させる。

「ヘリを待っている時間はない。行くぞ、アスカ!」

シグナムがアスカを後ろから抱えて空に駆け上がる。

「ジュエルシードか、下手すりゃ次元震が起きますね」

奪われた物が物だけに、アスカが気を引き締める。

「あぁ、油断は禁物だ」

状況を終息させるべく、シグナムはスピードを上げた。



眼下に広がる緑の中に、ガジェットの姿を確認するアスカ。

数にして5機。

だが、ロングアーチの情報ではかなりの数が辺りにいるとの事だ。

「こちらロングアーチ。ジュエルシードを奪ったガジェットは、そちらで視認している5機の中にいます。なるべく刺激を与えないで確保して……ガジェットさらに増加!数、20、25……50!ジュエルシードを囲むように展開!」

シャーリーの緊迫した声が響く。

「ガジェットは私が叩く!ジュエルシードの確保、できるか?」

「了解、やってみせますって!」

作戦は決まった。

シグナムが周辺のガジェットを引きつけて、アスカが5機のガジェットの中からジュエルシードを探し出す。

シグナムは5機のガジェットの前にアスカを落とした。

「さっさと終わらせてやるぜ!カードリッジロード!」

気合い諸共、アスカはガジェットに向かって行った。



ガジェット3型が4機、上空のシグナムに向けてレーザーを放つ。

それを躱しつつ、シグナムは一気に間合いを詰めて斬りかかる。

爆炎を上げて沈黙する3型。

だが、その隙に46機の1型がシグナムを取り囲み、攻撃を開始する。

「これは……!」

矢継ぎ早の攻撃にシグナムは防戦一方になる。

「しまった!」

ここにきて、シグナムはガジェットの目的を悟った。

このガジェット達は、シグナムをこの場所に釘付けにする事を目的としているのだ。

「くっ!」

相手の作戦にはまってしまった迂闊さを悔やみながらも、シグナムは逆転のチャンスを待った。



5機のガジェットを前にして、アスカは短期決戦を狙った。

「ラピ、どのガジェットがブツを持ってる?」

逃げ出すガジェットを、アスカが追いかける。

《先頭切って逃げているガジェットが確保していると思われます。魔力反応トレース、開始します》

ラピッドガーディアンからの情報を聞き、アスカは一気に間合いを詰めた。

「紫電一閃!」

一振りで2機のガジェットを破壊し、返す刀で更に2機を落とす。

AMFを使わせる隙を与えない程、素早い攻撃だ。

入隊当初から比べると、段違いに強くなっている事をアスカは自覚した。

「っと、今はそれどこじゃねぇ……え?」

残った1機を追いかけるアスカは、ガジェットから漏れ出る魔力反応を見て顔を引きつらせる。

「この魔力反応……あのジュエルシード、封印が解かれてるのか?!」

膨大な量の魔力がガジェットから出ている。

もし本当に封印が解かれているとしたら、この一帯がクレーターになるどころか、下手をすれば次元震が発生する可能性がある。

「シャーリー!」

「いま調べた!アスカの言うとおり、封印が解かれてるわ!気をつけて!」

シャーリーからの通信に、アスカは焦りを感じた。

(ヤバイな……確保だけなら何とかなるけど、封印処理までやらなくちゃいけないのかよ!)

できなくはないが、アスカは封印処理は苦手である。

普段はキャロに任せっきりで殆どやっていなかったツケが、ここにきて出てきた。

「ライトニング5!まだ応援態勢が整ってないから、できればジュエルシードの確保、封印をして!」

アルトの声が、更にアスカを焦らす。

「あー!もう!何て日だ!これからガジェットの撃破、ジュエルシードの封印処理を行う!」

一つ文句を言い、アスカは残った最後のガジェットを狙った。

AMFを展開して逃走するガジェット。

アスカはAMFの影響範囲ギリギリの所で追跡をしている。

「ラピ、シーリングプログラムを用意してくれ。勝負は一瞬だ!」

《了解!》



四方八方からの攻撃に、シグナムは足止めを喰らっていた。

バリアでなんとか凌いでいるが、このままでは埒があかない。

ある意味ガジェットを引きつけている事にはなるが、シグナムはアスカの身を案じていた。

「しかたあるまい……カードリッジロード!」

その途端、レヴァンティンの形状が変わった。

ムチのようなしなやかな連結刃に変わるレヴァンティン。

シグナムはそれを振り上げた。

「火竜一閃!」



「ソニックムーブ!」

アスカは一瞬でガジェットの前に回り込む。

「もらった!」

ガジェットが方向転換するまえに双剣で切りつける。

ガキッ!

AMFがある為に、アスカは魔力を伴わない一撃を放った。

それが直撃し、ガジェットは内包していたジュエルシードを吐き出す。

当たり所が良かったのか、AMFも消滅していた。

「ラピ!シーリングプログラム始動!」

吐き出されたジュエルシードが宙を舞う。

ガジェットがそれを追うが、アスカも黙って見てる訳ではなかった。

《シーリングプログラム、スタンバイOK!》

ラピッドガーディアンからの合図に、アスカは双剣を振るった。

「シーリングスラッシャァァァァ!」

間一髪、ガジェットよりもアスカの双剣がジュエルシードに触れた。

その瞬間……

「え……な、何だ!これ…………!!!!!」

爆発するようにジュエルシードから光が放たれる。

青い光はアスカを飲み込み、周囲をえぐり取っていった。



ガジェットを一掃したシグナムは、爆発的に発生した青い光を目撃する。

それと同時に、莫大な量の魔力を全身に感じた。

『な、何だ?何が起こっている!?アスカ、応答しろ、アスカ!』

突如現れた光の奔流に圧倒され、シグナムは動く事ができなかった。



機動六課司令室でも、この現象は確認されていた。

「何が起こったんや!」

ジュエルシードが強奪されたと聞いて、急いで戻ってきたはやてが見た物は、目の前に広がる青い光だった。

「な……磁場が乱れて……何が起こっているの!?アルト、ルキノ!」

「ダメです!モニターもセンサーも、あの青い光しか確認できません!」

「これ……重力反応が異常……いや、測定不能!?」

今までにない事態に、ロングアーチスタッフも為す術がない。

「ティアナ、出動待機。スバル、エリオ、キャロが戻ってきたら現地に急行して!」

はやては、一緒に戻ってきたティアナにそう指示を出した。

「りょ、了解!」

ティアナが敬礼して、司令室から出ていく。

(何が起こっているの?アスカは無事なの……まだ服を買ってもらってないんだからね………お願い、無事でいて!)



光の奔流が終息して、辺りに静けさが戻った。

シグナムはすぐに光が発生した場所に向かう。そこで目にしたものは……

「こ……な、んだ……何が……これは何なんだ!」

その光景を目にして、シグナムは叫んだ。

目の前に広がるのは、緑の大地をえぐり取ったクレーター。

凄まじいエネルギーが発生した事を示している。

クレーターを見たシグナムは、全身の力が抜けたようにその場にしゃがみ込んでしまった。

100メートル程の大きさのクレーターを作れるエネルギーの奔流。

その中心にいたアスカは……

「そ、そんなバカな!アスカ、返事をしろ!アスカ!」

だが、シグナムの声は虚しく木霊するだけで、それに応える者は居なかった。

「アスカ、どこにいる!アスカ、アスカ!アスカァァァ!!!!!」



シグナムの叫び声は司令室にも響いていた。

「ラ、ライトニング5……及び、ジュエルシード、は、反応ロスト……」

震える声で、ルキノが報告する。

「うそ……うそでしょ……」

青ざめた顔でシャーリーが呟く。

信じられなかった。アスカが消えた。あの爆発の中心にいた。

感覚が麻痺したよに、シャーリーは何も考えられなくなる。

信じたくない。

だが普段は冷静沈着なシグナムの取り乱したような叫び声が、それが現実であると言う事を嫌でも知らしめていた。

はやても、ルキノも声を出せないでいる。

そしてアルトは……

ガタッ

アルトは立ち上がってはやてを見た。

「現場に行かせてください、部隊長」

「アルト?何を……」

急に言い出したアルトに目を向けるはやて。

「今までに経験のない現象が起きたんです!手元にデータが無いのなら、現場で探してきます!」

訴えるように叫ぶアルト。

アルトも、この状況を見てショックを受けている筈だ。

キャロやエリオを通じて、アスカとは仲が良かったアルト。

アスカが消えてしまった事に、一番衝撃を感じていてもおかしくは無いのに、真っ先に行動を起こそうとしているのだ。

「……うん、分かった。フォワードメンバーがそろい次第、現場に飛んでや。ヴァイス君にも連絡しておくから、アルトはティアナと待機」

「ありがとうございます!」

アルトは敬礼して、足早に司令室を後にした。

「まったく、しっかりせんといかんな」

パンッとはやては頬を叩く。

「シグナム、聞こえてるか?」

「……はい、何でしょうか、部隊長」

モニターから、シグナムの沈んだ声が聞こえてくる。

「もう少ししたら、そっちにフォワードメンバーとアルトが行くから、現場の指揮をお願いや。それと……そんな姿を後輩に見せるもんやないよ?」

指示を出した後、はやてはシグナムを元気づける。

「……失礼しました。了解です」

いつものように、凛としてシグナムが敬礼する。

「うん。何かあったら連絡してや」

そう言って、はやては通信を切る。

「シャーリー、ルキノ。現象が起きてからのデータの総ざらいや。魔力や次元震だけやのうて、気象、衛星、その地点を計測している物を全部洗い出して」

「「了解!」」

シャーリーとルキノは一斉にデータを検索し始める。

そこまでやって、はやてはイスに深くもたれ掛かった。

(お願いや……もう、誰かを失うのはイヤや。無事でいてな……アスカ君)



調査現場は重苦しい雰囲気だった。

クレーターの周囲をフォワードメンバーが検証しているが、一様に表情が暗い。

「スバル、ウイングロードでクレーターに橋を掛けて」

アルトがスバルに指示を出す。

「うん……」

沈んだ表情で、スバルがウイングロードを発生させる。

アルトはそのウイングロードを足場にして、上からクレーターを観察していた。

「シグナム副隊長。検証はアタシ達でやりますから、ヘリで少し休まれては?」

ティアナが、出動後そのまま検証に立ち会っているシグナムに声を掛けた。

普段と変わらず凛とした表情をしているが、シグナムの顔色はすぐれない。

「……そうだな、少し休ませてもらおう。何かあったら、すぐに知らせてくれ」

「了解です」

シグナムは現場をフォワードに任せ、待機しているヘリに向かった。

ヘリのカーゴに入り、座席に腰を下ろすシグナム。

「姐さん、どうぞ」

中にいたヴァイスがシグナムに缶コーヒーを差し出した。だが、彼女はそれを受け取らない。

「……情けないものだな。部下を守る事ができなかった。何が烈火の将だ……聞いて呆れる」

自虐的にシグナムが漏らす。

アスカを守らなくてはいけなかったのは自分だ。なのに、それができなかった。その自責の念が、シグナムを苦しめている。

「姐さん……」

「わかっている。皆の前では言わん。お前も忘れてくれ」

弱音を吐いてしまった事を振り切るかのように、シグナムはヴァイスから缶コーヒーを受け取って、一気に飲み干した。



クレーターの調査をしているティアナだったが、心ここに在らずだった。

(アスカが消えた……居なくなった……どこに行ったの……)

いつのまにか、側にいて当然の存在になっていたアスカ。大きな喪失感にティアナは苛まされる。

何も考えられない……いや、とティアナはブルブルと首を振る。

(まだ死んだって訳じゃない。可能性があるならそれに賭ける。アスカは絶対に生きている!)

自らを奮い立たせ、ティアナはアルトが送ってくれるクレーターのデータに目を通した。

「……ん?」

クレーターの詳細な情報を見た時に、ティアナは違和感を覚えた。

そのクレーターは、ティアナの知っているクレーターとは真逆の性質を持っていたからだった。

「これって……アルトさん!ちょっといいですか!」

ティアナはスバルと一緒に調査していたアルトを呼び寄せた。

エリオ、キャロも集まってくる。

「このクレーター、普通のと違いますよね」

ティアナが指摘した事はこうだ。

このクレーターは、地面をえぐり取るようにできているが、中心部が円錐状に突起している。

爆発が原因のクレーターなら、中心部が一番深くえぐれている筈だ。

普通のクレーターなら、中心部から外に向かって力が働くので、縁の部分が外側に向かって盛り上がっていなくてはいけない筈。

だがこのクレーターは縁の部分が削り取ったように、中心部に向かっている。

さらにそれを示すように、中心部に向かってドリルのような跡がある。

「ティアナも気づいたんだ……これ、たぶん爆発じゃないよ」

アルトがクレーターを見る。

「爆発じゃないって、じゃあ何なの?」

要領を得ないスバルがアルトに尋ねた時、

「爆発の逆、爆縮だ」

いつの間にそこにいたのか、シグナムがそう言った。全員がシグナムを見る。

「何らかの原因……ジュエルシードだろうが、それを中心に爆縮が起きた。アスカはそれに飲み込まれた、と考えるべきなのかもしれん」

「そ、そんな!」

シグナムの言葉に、ティアナは声を上げてしまった。

エリオ、キャロも、今にも泣き出しそうな顔になる。

「……ロングアーチ。現象が起きた時の重力値って分かりますか?」

アルトがロングアーチに回線を開く。

「……結果から言うわ」

シャーリーがモニターに出た。

「現象が起きた時の重力指数は測定不能。ただ、現状と結果から推測して、その時に重力特異点が発生したと思われるわ」

「重力特異点……それって……」

アルトはそれ以上言う事ができなかった。

それは他のメンバーも同じだった。重苦しい沈黙が辺りを支配する。

「……瞬間的に、ブラックホールが発生した?」

口にして、ティアナが小さく震え出す。ブラックホールに飲み込まれてしまったらどうなるか?

経験が無くとも、その結果は最悪なものだと想像がつく。

だから、誰も何も言えなくなってしまった。

長い沈黙の後、シャーリーが口を開いた。

「でも、今回の重力特異点は少し変だわ」

「何が変なのだ?」

シグナムが聞き返す。

「この中心に向かって走る、ドリルみたいに回転しているような跡です。普通の重力特異点なら、こんな跡はつきません」

「どういう……事ですか?」

まだ頭が回らないティアナが疑問を口にする。

「重力特異点と言うのは、文字通りただの点なの。超重力の、ただの点。まったく動きなんか無いの。
でも、このクレーターを見ると、中心に向かってドリルみたいな線がついているでしょう?
これは、この重力特異点が回転していた事を示しているわ。
この重力特異点は、回転運動をしていたって事なんだけど……
それがどう言う意味を持つかはもっと調べないと……」

最後の方は口ごもってしまうシャーリー。何も確かな事は分からないのだ。

「あと、もう一つ分かった事があります」

ルキノがモニターに出る。

「この超重力反応があった時に、同時に次元震が発生していて、一瞬ですが次元断層が起きています」

「なに!?それは本当か、ルキノ!」

思わずシグナムが声を上げた。

「はい、間違いありません。これは憶測に過ぎませんが、もしかしたらアスカは次元震で起きた断層に入り込んで、別世界に漂流してしまった可能性があると思います」

それをきいたみんなの顔に、僅かだが希望の光が宿った。

モニターが切り替わり、はやてが映る。

「いま108部隊に応援要請をした。フォワードメンバーは現場検証を継続。108部隊が到着したら引き継いで撤収の事。シグナムとアルトは直ちに帰還。今後の指示を出すから」

「「「「「「了解!」」」」」」

はやての指示に全員が敬礼で答えた。

僅かな希望を掴む為、今できる事を全員がやり始めた。 
 

 
後書き
この章を境に、物語は大きな動きを見せます。つたない文章ですが、お付き合い頂ければ幸いです。 
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