イベリス
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第一話 卒業してその一
イベリス
第一話 卒業して
小山咲は中学の卒業式を終えてクラスに戻ってこれまでずっと遊んでいた友人達に対して背伸びしてから話した。
「いや、この三年あっという間だったわね」
「そうね、今思うとね」
「昨日入学したと思ったらね」
「もう卒業根」
「受験も終わったしね」
「もう進路決まった人もいるし」
「私はね」
咲は友人達に言った、膝までのスカートの濃紺とえんじ色のセーラー服でありスカーフも同じ色であり。長い黒髪を三つ編みにしていてやや面長で顎の先は尖っている。唇は赤く小さく鼻はやや高めだ。縁の太い眼鏡をかけていて眉は細い。何の化粧気もない感じだ。
「一応八条東京高校に行くけれど」
「咲はそこよね」
「偏差値五十八だったわね」
「それなりの学校よね」
「偏差値的にな」
「ほら、お父さんが八条グループの会社に勤めていて」
それでというのだ。
「あの学校八条グループの学校だから」
「その縁で受けて」
「それで合格して」
「通うのよね」
「その為にずっと受験勉強も頑張ってきたしね」
そもそも咲は元々その高校に入れる様な成績だった、このことは中学の三年間ずっと変わらなかったことだ。
「それで行くことになったけれど」
「うちの中学であの学校行く子少ないわよ」
「あんた位だった?」
「殆どいないわよね」
「そうよね」
「ええ、だから高校入ったらどうなるか」
咲は友人達に少し不安な顔で話した。
「ちょっと不安なのよね」
「お友達出来るか」
「それでこれまで通り遊べるか」
「そのことがよね」
「そう、私としては中学の時みたいにね」
つまり今までの様にというのだ。
「アニメ観て漫画とかライトノベル観て」
「漫画研究会で楽しくやるか」
「そうしたいのよね」
「同人誌とかも読んで」
「そうしたいけれどどうなるかしら」
咲は腕を組んで言った。
「果たして」
「まあそこは私達もなのよね」
「高校でどうなるかわからないわよ」
「もう趣味が変わるかも知れないしね」
「高校に入ってから」
「趣味ね、何かね」
咲はここでこんなことも言った。
「従姉の人が高校に入ったらがらって変わったけれど」
「ああ、高校デビューね」
「従姉さんそれしたのね」
「そうなの、何か別人みたいに派手になって」
咲はその従姉の変化についても話した。
「所謂ギャルみたいになったのよ」
「そうなの」
「そんなに変わったの」
「もう別人みたいに」
「そうなの、私ギャルは趣味じゃないけれど」
それでもとだ、咲は話した。
「やっぱり高校になったらこの三つ編みと眼鏡は卒業しようかしら」
「いいんじゃない?髪型変えても」
「コンタクトに替えても」
「それ位はね」
「あとメイクもね」
「高校に入ったら」
「そうね、うちの中学大人しい学校だったけれど」
都内でも地味なカラーだった、東京にあるといってもどの学校でも誰でも垢抜けている訳ではないのだ。
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