戦国異伝供書
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最終話 話が終わりその七
「これからはです」
「話を止めて」
「そのうえで」
「宴に向かいますな」
「いや、宴の用意はです」
ここで幸村が来て言ってきた。
「もうです」
「整っておるか」
「はい」
幸村は信玄に微笑んで答えた。
「もう何時でも馳走が出せて」
「酒もか」
「何時でも。山海それに川や田畑の珍味がです」
「揃っておるか」
「そうなっています」
「そうか、そして上様もであるな」
「もうです」
信長、彼もというのだ。
「今御台所様と暫しのお別れの言葉を交えられ」
「こちらにか」
「向かわれています」
そうだというのだ。
「そうなっています」
「そうですか、では」
謙信はその言葉を聞いて述べた。
「これよりです」
「宴にですか」
「向かいましょう、しかしこれまでのことは」
謙信はここで感慨を感じて述べた。
「長い様で」
「一瞬でしたな」
「まさに。一酔の如き」
幸村にもこう答えた。
「そんなものでした」
「そうですな、長かった戦の世も」
兼続も言ってきた。
「それもです」
「一酔の如きでしたね」
「今思えば」
「辛い時はすぐに終わり」
羽柴がまた笑って話した。
「そして楽しい時はです」
「永遠にですな」
「続くのがです」
氏真に話した、大名に返り咲いている彼に。
「よいですな」
「左様ですな、父上もそう思われているでしょう」
「お父上は今は」
「はい、出家されて」
氏真は義元のことも話した。
「雪斎の和上と共に学問と修行に励まれ」
「和歌もですな」
「それに蹴鞠も」
そういったものもというのだ。
「都におられるので」
「日々楽しんでおられますか」
「左様です」
「そうですか」
「麿は大名に返り咲いたので」
氏真は自分から話した。
「これから色々とやらねばならないでおじゃるが」
「それでも和歌や蹴鞠は」
「麿も好きなので」
それでというのだ。
「やはりです」
「楽しまれますな」
「そのつもりです」
時を見てそうするというのだ。
「これからも」
「それもよいことですな」
「左様ですか」
「それがしはどれも苦手なので」
和歌も蹴鞠もとだ、羽柴は答えた。
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