『狭間の世界』
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『ふたつの月』
生まれたての儚い命。
ゆらゆら揺れる命の塊。
指先で潰せるちっぽけな命。
そぉっと護ってるかの如く優しく微笑む水面の月。
穢くなって生きる価値の無い僕には、鋭く刺すかの如く冷たい昊の月。
常に睨まれてるように感じる。
あの日から太陽も月も星も...変わってしまった。
勝手に、どんな時も変わらず見守ってくれてると思ってた。
味方が居ないから、そう思うことでしか生きれなかった。
自然だけが味方だと思ってたけど、違った。
味方なんてのは存在しない。
感情を持たないものですら味方にはならない。
いつもの海。
水面で揺らぐ月は僕を罵る。
昊で蒼白く耀く月は僕の心臓を抉り出そうとする。
いつも味方だったふたつの月は、私に追い撃ちをかけた。
中身の違う僕が今の僕を壊したんだ。
そして僕は生まれ変わった。
イタミを何も感じない僕に。
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