レーヴァティン
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第百九十七話 小田原入城その七
「なら尚更だ」
「民ですね」
「優先すべきは」
「そして国ですね」
「そうだ、まずはこの大雨で動けないならだ」
このことはどうしてもというのだ。
「それなら受け入れることだ」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「状況を見ることですね」
「今は」
「そうするしかない」
こう言うのだった。
「今はな、しかしな」
「災害や巨人にはですね」
「すぐに対する」
「そうしますね」
「そうだ、戦を中断してでもだ」
それでもというのだ。
「いいな」
「わかりました」
「それではです」
「その様にしていきましょう」
「動けずとも」
「備えを」
「その様にな、だがこうした時こそ兵を休める時でもある」
動けない時こそとだ、英雄は周りにこのことも話した。
「だからな」
「それで、ですね」
「ここはですね」
「兵を休ませますか」
「そうしますか」
「その様にな、洪水が起こった時はまた対するが」
それでもというのだ。
「それは起こってからだ」
「起こらないですね」
「それまではですね」
「兵を休ませる」
「そうしますね」
「兵を常に緊張させても仕方ない」
英雄は遠いそして確かなものを見る目で話した。
「弓の弦と同じだ」
「左様ですね、弦も常に張ると千切れます」
「そうなってしまいます」
「弓を使わない時は外しています」
「その様にしています」
「だから兵達もだ」
彼等もというのだ。
「こうした時はな」
「休ませてですね」
「英気を養わせますね」
「その様にさせますね」
「そうさせる、俺はいつも通りだがな」
英雄はにこりともせずに述べた、彼とて息抜きはするがその息抜きが一体何かということもここで話した。
「夜は酒を飲みだ」
「女を抱く」
「そうされてですね」
「息抜きをされますね」
「そうする、つまり俺は常にだ」
夜にそうしたことを楽しみというのだ。
「息抜きをしている」
「上様はそうですね」
「では今もですね」
「昼は働かれ」
「夜はそうされますね」
「そうする、しかし女はだ」
ここでさらに言った。
「実にいい、毎晩何人も抱いてもだ」
「それでもですね」
「飽きることはないですね」
「そうなのですね」
「俺の場合はな。酒も好きでだ」
そしてというのだ。
「女もだ」
「そちらもですね」
「お好きで」
「今宵もですね」
「そうする」
こう言ってだった。
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