恵体シスター
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第一章
恵体シスター
アンジェラ=ファリーナは日本の教会でシスターとして勤めている、シスターに相応しく信仰心が深く真面目でかつ穏やかな性格である。
大学で神学を学び終えて来日していてある大学でキリスト教も教えている、そちらの方も評判である。
だが教会の神父鍼田義三は彼女によくこう言った。
「出来れば常にです」
「シスターの服で、ですか」
「いて下さい」
「あの、私は神に仕える身なので」
アンジェラは鍼田に真面目に返した。色白ではっきりとした青い目で睫毛は長い。奇麗な細い眉で唇は紅で小さい。彫があり高い鼻を持つ顔である。背は一五五程だ。
「ですから」
「その服はですね」
「普段はです」
「はい、そうして下さい」
「何故そう言われますか?」
アンジェラは穏やかな顔で丸眼鏡をかけた神父に問うた、面長で痩せた身体に神父の服が似合っている。背は一七〇程だ。
「神父様はいつも」
「心配事がありまして」
「心配ですか」
「はい、シスターがあまりにもお奇麗なので」
それでというのだ。
「迷う人が出かねないので」
「迷う、ですか」
「私はもう高齢でそうしたこととは無縁になりました」
アンジェラにこうも言った。
「もう」
「無縁とは」
「それは言えませんが」
神父は気恥ずかしそうに返した。
「ですがお気を付けを」
「私が奇麗だからですか」
「はい、服装には」
「そうですか」
「出来れば常にです」
神父はアンジェラに心配している顔のまま話した。
「シスターの身なりで」
「神に仕える者としてですね」
「そうして頂ければ」
「私はシスターですので」
アンジェラの返事は決まっていた。
「ですから」
「是非そうして下さい」
「その様に」
アンジェラは神父の言葉に事情がわからないまま頷いた、そうして日々真面目に神に仕えながら日々を過ごしていた。
だが大学のプールである話題が上がっていた、その話題はどういったものであるかというと。
「えっ、そんなに凄いのか?」
「ああ、物凄い美人でな」
「スタイルが滅茶苦茶いいんだよ」
「胸はもう林檎みたいで」
そこまで大きくというのだ。
「ウエストは引き締まっていてな」
「肌も奇麗でか」
「その肌が雪みたいに白くて」
そしてというのだ。
「お尻の形もよくてな」
「脚はすらりとしていてそれでいて肉付きがよくて」
「鎖骨も立派でか」
「脇も色香があって」
「そんな凄いのか」
「とんでもない美人が毎日三時にプールで泳いでるんだな」
こんな話題があがっていた、そして実際に興味を持った面々がそこに行くと。
アンジェラがいた、彼女は黒地に白や黄色の模様が入っている競泳水着姿でいつも泳いでいた。水着はごく普通の競泳水着で露出はなかったが。
「おい、凄いな」
「下手なグラドル顔負けだな」
「滅茶苦茶凄い身体してるな」
「文字通りボン、キュッ、ボンだな」
「あの人確かキリスト教教えてるよな」
「ああ、シスターさんだったな」
「ええと、ファリーナさんか」
大学での立場と名前も確認された。
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