ワイルド突っ込み
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第二章
「一体」
「いや、あんたがボケてな」
聞くのは仕事のことだった。
「うちが突っ込むな」
「俺等の漫才はな」
「あんたいつも思いきりって言うな」
その突っ込みはというのだ。
「そやな」
「ああ、どんと来いや」
或人は静に笑って返した。
「痛いのもお笑いや、その痛さでな」
「人を笑わせるんやな」
「思いきりな、そやからお前もな」
静の方もというのだ。
「どんと来いや」
「ハリセンで思いきりはたいてもええんやな」
「思いきり音鳴ってな」
そしてというのだ。
「痛いもんでもな」
「そうか、思いきりか」
「というか思いきりせんとな」
それこそとだ、或人はさらに言った。
「お客さん笑わんやろ、触る位の突っ込みっておもろいか」
「全然おもろないな」
「そやからや」
「思いきりやな」
「突っ込むんや」
これからもというのだ。
「ええな、ハリセン以外にもな」
「今やってるか」
「エルボーもドロップキックもな」
そうしたものもというのだ。
「やるんや」
「自分痛いやろ、うち体格あるで」
「一六六、スリーサイズは上から九十、六十、八十八でな」
「ボンキュボンでな」
「そこで舞台やと俺がボンボンボンやろって言うからな」
それでというのだ。
「そこでや」
「ちゃうわ、って言うてやな」
「そうした突っ込み入れてな」
エルボーやドロップキックをというのだ。
「笑いを取るんや」
「そうするんやな」
「そうしたら俺が思いきり吹っ飛ぶやろ」
その突っ込みでというのだ。
「それで俺がまたそこで言うてな」
「笑いを取るか」
「そや、もうな」
それこそというのだ。
「お笑いは身体張ってやる」
「そういうもんか」
「実際高校の時からそやろ」
部活の時にコンビを組んでからというのだ。
「そやろ」
「ああ、それはな」
静も頷くことだった。
「実際にやな」
「ほんまお笑いはな」
「痛くても乱暴でもか」
「もうはっきり極端であればな」
「それで笑えるんやな」
「パワーがあってこそ」
まさにというのだ。
「それでや」
「笑いが取れるな」
「そういうもんやな」
「確かにな。昔のお笑いとかな」
「凄いやろ」
「やすきよなんかな」
この二人はというのだ。
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