歪んだ世界の中で
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第十話 思わぬ、嬉しい転校生その二
「昔から」
「そうだったんだ」
「僕もこの前ネットで偶然知ったんです」
「僕達の制服がそれぞれ自衛隊の色なのよ」
「はい。ちょっと自衛隊のことを調べていたら」
その時にだ。このことを知ったというのだ。
「それぞれ三つの自衛隊の色だったんですよ」
「ううん、青に緑にそして黒」
「空、陸、海だったんですよ」
「意外っていうか知らなかったね」
「気付きませんでした。ですが」
気付くとどうかとだ。真人は言ったのである。
「面白いですね」
「そうだね。僕達の制服の色がそうなっているなんてね」
「学校の制服は元々軍服からきていますし」
真人は希望にこのことも話した。
「ですから」
「そうした感じになるのもなんだ」
「必然ですね。それでなんですが」
「それでって?」
「まあ。学校に行きましょう」
玄関に留まったままでなくだ。登校しようというのだ。その言葉を受けてだ。
希望も無言で頷いた。こうしてだ。
二人は学校に向かって歩いていく。その中でだ。真人は話したのだった。
「それで詰襟ですが」
「ええと。あの中学校までに僕達が着ていた」
「はい、所謂普通の学生服ですね」
「それも軍服だったんだ」
「帝国陸軍の軍服が元です」
そうだったというのだ。学生服はだ。
「陸軍の軍服はカーキ色ですが」
「それでもデザインとかはなんだ」
「はい、そのままです」
学生服はそのままだ。陸軍の軍服と同じデザインだというのだ。
「色が黒くなっただけです」
「そうだったんだ」
「それで女の子のセーラー服は」
「セーラーっていうと」
「それはおわかりになられますね」
「あれだね。海軍のね」
このことは希望もわかった。それで真人に答えたのだった。
「水兵さんだね」
「セーラーですから」
「じゃああれはなんだ」
「はい、水兵さんの服が元になっています」
「女の子が兵隊さんの服なんだ」
「あっ、水兵さんはスカートではなかったですよ」
「あはは、そうだよね」
真人の今の言葉にだ。希望はすぐに笑って返した。そうしてだ。
真人にだ。こう言ったのだった。
「男の人でスカートっていうのはね」
「スコットランドのキルト以外はないですから」
「そうだよね。だからね」
「はい、ありません」
こう言ったのである。
「水兵さんはちゃんとズボンですよ」
「じゃあそこは変えてるんだ」
「そうなんです。女の子ですから」
そこは変えたがだ。それでも元はだというのだ。
「変えてます。ただ軍服が元なのは事実です」
「学生服もセーラー服も」
「そしてブレザーもです。後は」
「後は?」
「コートもです」
それもだ。軍服が元になっているというのだ。
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