寒い雪の降る中で

「そうなりました」
「そうですか」
「はい、そして」　
　そのうえでというのだ。
「この子は里親を探すことにしましたが」
「そうですか」
「名前はカーラになりました」
　名前の話もした。
「そうなりました」
「そうですか」
「はい、そしてです」
　施設の人はグイドにさらに話した。
「里親もです」
「探してくれますか」
「そうなりましたので」
　だからだというのだ。
「きっとです」
「幸せになれますね」
「はい」
　今度は明るい返事だった。
「そうなります」
「それは何よりです、凄くいい子ですから」
　グイドは心からこのことを言った。
「ずっと飼い主を待っていたんです」
「雪が降る中で」
「そうしていたんです」
「飼い主が帰って来ると信じて」
「そうしていた子です、ですから」
　それだけにというのだ。
「出来ればです」
「幸せにですね」
「なって欲しいです」
　こう言ってだった。
　グイド自身カーラの飼い主を探すことに尽力した、そしてだった。
　彼は無事に心ある家族に迎えられた、そこにはピットブルの雄のマイケルとチワワの雄のリントがいた。どちらも黒い短い毛である。
　カーラは彼等と会うとすぐに仲良くなった。
「ワン」
「ワンッ」
「キャンキャン」
　三匹で遊びいつも一緒にいる様になった、散歩の時も一緒で。
　喧嘩もすることなく家族にも愛された、グイドはその話を聞いて微笑んだ。
「本当にです」
「よかったですね」
「はい、いい人に迎えられて」
　グイドは地元の人に笑顔で答えた、カーラのことを知らせてくれたその人に。
「幸せになれて」
「全くですね、ですが家族を捨てるなんて」
「そうした人はどうしてもいますね」
「残念ですね」
「全くです」
　こう言うのだった。
「本当に」
「左様ですね」
「はい、ですが」
　それでもというのだ。
「これからはです」
「あの子は幸せになれるので」
「ですから」
　それでとうのだ。
「これからはです」
「あの子の幸せな姿を見て」
「そしてあの子の様な子を一匹でも多く助けて」
「幸せにしていきますね」
「そうしていきます」
　笑顔で言った、そしてだった。
　グイドは活動を続けていった、そのうえでカーラの様な子達を助けていった。そして彼等が幸せになるのを見て笑顔になっていった。


寒い雪の降る中で　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　２０２１・３・２８