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麗しのヴァンパイア

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第三百三十二話

               第三百三十二話  酸性雨
 雨が降った、その雨を見てだった。
 今田先生も今日子先生も傘を出してさした、そうして言った。
「酸性雨ね」
「それを降らしてきたのね」
「何をするかと思ったら」
「それで来たのね」
「そうよ、挨拶はしたけれど」
 それでもとだ、カーミラも空の上で傘を差しつつ答えた。
「魔法でもと思ってね」
「それでなのね」
「出してきたのね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「そうしてみたけれど」
「魔法の傘を出したわ」
「どんな雨でも防ぐ傘をね」
 先生達はこう返した。
「貴女も出したけれど」
「それを出させてもらったわ」
「そうね、これは挨拶だったけれど」
「素敵な挨拶ね」
 今田先生は上にいるカーミラを見上げて言った。
「よくある魔法だけれど」
「これだけ見事な酸性雨はそうはないわ」
 今日子先生も言った。
「流石と言うべきかしら」
「ええ、若し受ければ」
 この酸性雨をとだ、カーミラも答えた。
「ちょっとね」
「痛いわね」
「魔力に強い耐性を持つ私達でも」
「周りは駄目にならない様にしているけれど」
 ポートピアの美しい環境は破壊しない様にしているというのだ。
「けれど貴女達には痛いわよ」
「ええ、わかっているわ」
「だからこその傘を出したのよ」
 先生達も答えた。
「お水なら何でも防ぐ傘をね」
「魔法の傘をね」
「そうね、では挨拶は終わりにするわ」
 魔法のそれはというのだ。
「これでね」
「そう、ではね」
「これからなのね」
「そう、あらためてね」
 こう言ってだった。
 カーミラはした、先生達の前に降りた。そうしてまた言った。
「勝負ということでいいわね」
「わかったわ、ではね」
「私達ももう一度仕掛けさせてもらうわ」 
 こう応えてだった、先生達は身体に力を込めた。そのうえで再び魔法を放たんと構えも取るのだった。


第三百三十二話   完


                   2021・1・8 
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