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そっくりの黒猫が来て

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第一章

                そっくりの黒猫が来て 
 フォレスト家には二匹の犬と二匹の猫それにモルモットがいる。
 そして家の九歳の娘マリー淡い金髪に優しいライトブルーの目を持つ彼女は一家の中で特に生きものが好きだが。
 その彼女は今塞ぎ込んでいた。
「どの子も好きでな」
「サイモンは特にだったから」
 一家の父ニッキーも母のビクトリアも言っていた、二人共淡い金髪だが夫の目は青で妻の目はライトブルーだ。二人共優しい顔立ちをしていて中肉中背である。夫の仕事は銀行員であり真面目に働いている。
「だからね」
「凄く落ち込んでいるな」
「ええ、けれどね」
「生きているとな」
 それならとだ、夫は言った。
「どうしてもな」
「別れはあるから」
「家族ともな」
「だからよね」
「このことはな」
 どうしてもというのだ。
「仕方ないからな」
「マリーもね」
「悲しい、しかしな」
「その悲しみからね」
「立ち直って欲しい、そしてな」
 妻にさらに言った。
「立ち直るべきだ」
「死に別れ程悲しいことはないけれど」
「生きていればあることだ」
 それはどうしてもというのだ。
「だからこそ」
「サイモンのことも」
「乗り越えてもらおう」
「そうね」
 両親はこう話した、そしてだった。 
 娘を見守っていた、そんな時に。
 夫婦は近所の人からこう言われた。
「猫の里親ですか」
「今探してるんですか」
「はい、三匹いまして」
 近所の人が二人に話した。
「僕が家の庭で見付けてです」
「保護してですか」
「そうしてですか」
「黒猫の二匹は雄で」
 そしてというのだ。
「最後の一匹は白猫で雌で」
「三匹共子猫ですね」
「そして母猫はお宅で引き取って」
「それで三匹の里親をですね」
「今探しておられるんですね」
「よかったらどうでしょうか」
 近所の人はフォレスト家が動物好きであることから申し出た。
「お宅もです」
「猫をですか」
「里親にですか」
「もう里親に出せる大きさで」
 それにというのだ。
「トイレとかご飯も躾けてますから」
「それで、ですか」
「すぐにですか」
「飼えます、どうでしょうか」
「それならです」
「お願いします」
 夫婦でその人の申し出に頷いてだった。
 黒猫の一匹を引き取った、残る二匹もそれぞれ心ある人に貰われて夫婦はその子猫を家族に迎えることになったが。
 夫婦はその猫をはじめて見た時に驚いた。
「そっくりだな」
「ええ、サイモンにね」
 こう言って驚いていた。   
「そっくりね」
「生き写しだよ」
「キリスト教の考えでないけれど」
 妻はその猫を見つつ夫に話した。
「生まれ変わりかしら」
「仏教やヒンズー教で言う」
「それかしら」
「この子はサイモンの生まれ変わりか」
「性別も同じだし」
 同じ雄でというのだ。
「若しかしたら」
「そういえばパットン将軍も言っていたな」
 夫は第二次世界大戦で活躍した自国の将軍の言葉を思い出した。 
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