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歪んだ世界の中で

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第八話 友情もその八

「どちらもね」
「文武両道?」
「そうだね。スポーツもして勉強もだから」
「どちらも出来るようになりたいよ。今まではね」
 過去の自分を思い出すとだ。希望はだ。
 辛い顔になった。過去の自分を忌まわしく思っているからこそ。
「どっちも駄目だったけれどこれからはね」
「どっちも出来る様になって」
「今日も帰ったら走ってそれで勉強するよ」
「本当に頑張ってるのね」
「大体勉強も八時から十二時までやってるんだ」
 勉強時間のことをだ。希望は話したのだった。
「友井君から教えてもらった参考書買ってそれを何度も読んで問題解いて」
「何度もなの」
「教科書のと合わせてね。勉強は何度も読んで問題解いてるとわかるからって」
 真人に言われたことをだ。希望はそのまま言った。
「そうなんだ。何度もしてるとわかるって」
「努力したらなの」
「一度勉強してわからなくてもね」
 最初はそうであってもだというのだ。
「それでもね」
「何度も何度もしたら」
「わかるからって」
 希望は話していく。千春に対して。
「だから僕はそうしているんだ」
「じゃあ希望はお勉強も」
「出来る様になるよ」
 確信していた。今の希望は。
「絶対にね。それにね」
「それに?」
「身体を動かした後でかえって勉強はかどるよね」
 このことはにこにことして言ったのだった。
「何もしないよりもね」
「ストレス発散されるからよね」
「そうだよね。すっきりするから」
「うん。じゃあ希望はね」
「これからもそうしてだよね」
「うん。身体を動かしてね」
 そうしてからだと。千春も笑顔で希望に述べる。
「お勉強したらね」
「いいよね」
「お勉強の仕方も色々だけれど」
「僕って身体を動かしてストレスを発散させるタイプだったんだ」
 それで気分がすっきりするというのだ。そしてだった。
「そのこともわかったよ」
「やってみてわかったのね」
「うん。本当にね」
「じゃあわかったら」
 それならだった。話は動いていった。
「希望はもっとね」
「頑張るよ。もっとね」
「そうしてね。けれど辛いと思わないで」
「楽しくだね」
「辛いって思ったら笑顔じゃいられないよ」
 それは否定してだ。また言う千春だった。 
 その顔はいつもの明るい笑顔だった。そしてその笑顔を希望に見せながらだ。そうして希望に対して告げていた。希望もその言葉を受けて言うのだった。
「そうだね。笑顔でいられたら」
「それ自体がね」
「いいことだよね」
 微笑んで言う希望だった。彼もそうなっていた。
「笑っていられることがまず幸せだよね」
「第一だよ。幸せなことの」
「ずっと。笑顔忘れてたけれど」
 辛いことばかりで。辛さを感じる中でだった。
「やっと笑える様になったよ」
「笑うっていいことだよね」
「笑えないってそれだけでね」
 どうかというのもわかってきていた希望だった。
「幸せになれるよね」
「そう。そこからだよ」
「幸せって。自分でなっていくものなんだ」
 希望はまたわかった。 
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