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歪んだ世界の中で

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第八話 友情もその四

「その後は」
「ああ、あれね」
「そうです。ニ作目はそれで」
「ではそうしますか」
「はい、それを観ましょう」
 こう話してだ。そのうえでだった。
 彼等は酒に菓子の他にだ。ドラえもんの映画も観てだ。二人きりの時間を楽しんだのだった。
 真人は帰って来た。それによってだ。希望は彼と共にいる時間も増えた。それによってだ。
 彼は笑顔になってだ。千春といつも通りプールにいる中でだ。こう言ったのだった。
「最近ね」
「何か希望また明るくなったね」
「うん。嬉しいからね」
 それでだとだ。笑顔で千春に話したのである。
「最近さらにね」
「やっぱりあの人が戻って来たから?」
「うん。やっぱり嬉しいよ」
 二人で背泳ぎをしている。そうしながらだ。
 希望はプールの日差しで白くなっている天井を見ながらだ。そのうえで千春に言ったのである。
「友井君も退院してくれて」
「一緒にいられる様になって」
「千春ちゃんと一緒にいない時間あるじゃない」
「朝とかだよね」
「その時間にいつも会ってるんだ」
「そうしてるんだ」
「千春ちゃんと会う時間も」
 そのことを話してからだった。
「友井君と一緒にいる時間もね」
「減らしたくないの?」
「絶対にね」
 こう言うのだった。二人で泳ぎながら。
「だから朝は前より早めに起きて」
「これまで何時に起きてたの?」
「九時位かな」
 夏休みの間はだ。それ位に起きていたというのだ。
「その時間に起きてね」
「それからだったの」
「うん。適当にやってお昼前に千春ちゃんと合流して」
「デートしてたんだ」
「そうだったんだ。けれど今は」
 どうかというのだ。今はだ。
「朝早く起きて友井君と会って」
「そしてお昼前に千春と合流して」
「そうしてるんだ」
 微笑んでだ。希望は千春に話した。
「何か朝早く起きると」
「いいでしょ。早起きは」
「これまでは朝顔も時々しか見ていなかったけれど」
「今はなのね」
「毎朝見ているよ」
「朝顔ってね。見てくれる人に挨拶してくれるんだよ」
 千春はにこりと笑ってそのうえでこう希望に話した。
「おはようってね」
「朝早く起きて自分を見てくれた人に」
「うん、そうだよ」
 その通りだというのだ。
「それでその朝顔を毎朝なのね」
「見るんだね。これから」
「そうよね。朝顔に挨拶してもらって」
 そうしてだと。千春は希望に話していく。
「お友達と会うんだね」
「そうなってるね。それでね」
「それでよね」
「こうして千春ちゃんと出会って」
「そうなってどう?」
「入院してる人との面会って長くはできないけれど」
 確かに毎日の様に真人と会っていた。だがそれでもだった。
「それでもね」
「退院してたら」
「長く会えるから。その分嬉しくなったよ」
「そうなの。その人とも一緒にいられて」
「一日が余計に充実してきたよ」
 そうなってきたというのだ。さらにだ。 
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