恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十八話 孫策、賭けを考えるのことその五
「袁紹さんや曹操さんとかな」
「それに、よね」
「摂政の座か」
馬岱と魏延はロックの話を聞きながら自然にだった。
劉備と彼女が座る椅子を見てだ。そうして話した。
「桃香様を蹴落として」
「そうして自身が」
「あれで野心があったら絶対にそうするな」
また話すロックだった。
「充分考えられるだろ」
「そうですね。若し司馬尉さんに野心があれば」
問題だと。徐庶も話す。
「他の三公の座や左右の宰相の座」
「それに摂政」
「その座もまた」
「やはり何とかせねばならん」
問題のある存在だと述べた厳顔だった。
「司馬家には目をつけておくか」
「そうね。あの家はね」
「信用できないからな」
こんな話をしてだった。劉備達も司馬尉、そして司馬家に対してだった。
警戒の念を抱いていた。都のどの者も彼女達に眉を顰めさせていた。
その渦中の司馬尉達が都に戻った。するとすぐにだ。
帝から労いの言葉をかけられ褒美を与えられた。そして妹達もだった。
徐庶達の予想通り高官に任じられた。司馬家は位を極めたと言ってもよかった。
しかしだった。それでもだ。
孫策はその司馬尉が帝に拝謁し言葉をかけられ褒美も与えられるのを見届け宮中を退いてからだ。己の屋敷でこう周瑜に話した。
「見事なものね」
「司馬尉のことね」
「ええ。帝の御前だというのに」
こうだ。杯を手にして己の席に座りながら話すのだった。
「何も動じてはいなかったわ」
「そうね。本当にね」
周瑜もその場にいた。だからこそ言えることだった。
「さも当然という風にね」
「帝は京観のことは何も仰らなかったけれど」
それでもだというのだ。
「御存知でない筈がないから」
「けれどそれでもね」
「その帝の御前で」
司馬尉はだ。平然としていたというのだ。
「それもあそこまでね」
「肝も相当座っているようね」
「ええ。しかもね」
孫策の言うことはさらにだった。
「妹達もね」
「同じ様に平然としていて」
「褒美を受け高官に任じられても」
そうなっていたというのだ。
そしてだ。孫策は今度はこのことも話した。
「それと。気になるのは」
「司馬尉がより上位の将軍にも任じられたことね」
「そう、それよ」
「二人の妹達も含めてね」
「兵をこれまで以上に動かせるようになったわ」
「司馬尉はこれまでも将軍に任じられていたけれど」
だから山賊退治の兵を率いることができたのだ。将軍とは即ち兵権を持っている役職だからだ。
「昇進と。妹達のことも含めて」
「軍にまで大きな権限を持つようになったわね」
「どうしたものかしら」
孫策も司馬尉について考えていた。
腕を組みだ。そのうえで周瑜に問うた。
「いい考えはある?」
「確実はものはね」
「ないのね」
「失脚させようにも」
「これといった手がないわね」
「失点がない、それどころか」
「功ばかりがあるから」
咎を理由にそうさせられないというのだ。
「風紀を粛清し民に施しを与え」
「田畑を耕し町を整える政をね」
「次々と行っているから」
それは孫策達も行っているが司馬尉もだった。彼女は確かに政においても卓越していた。
「理由をでっちあげる」
「できると思うかしら」
「無理ね」
孫策はその可能性は最初からないと見ていた。
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