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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十七話 司馬尉、京観を造るのことその十二

 曹仁達は蒼白になりだ。こう言い合った。彼女達はここで遂にだった。司馬尉の前に呼ばれそうして今はその門を見ていた。
「あれはまさか」
「京観!?」
「まさか。それを築くなんて」
「あんなことをするなんて」
「おい、何だよあれ」
 ビッグベアもだ。その門を唖然として見つつだ。
 そのうえでだ。こう彼女達に問うた。
「人の首で何してるんだよ」
「京観よ」
 それだとだ。田豊が話した。
「あれはね」
「京観!?それがあれの名前か」
「ええ。敵を捕らえて皆殺しにし」
 そうしてだというのだ。
「ああして戦に勝ったことを祝って築くものだけれど」
「普通あんなことはしないわ」
 沮授もだ。蒼白になった顔で話した。
「あまりにも残虐で」
「そう。それこそあんなことをするのは」
「本朝の歴史においても」
 どうかとだ。曹仁と曹洪も話す。
「悪鬼羅刹か」
「それに値する者達だけよ」
「ってことはあの連中は」
「そうした奴等かよ」
 マイケルもホアもだ。苦味に満ちた顔で言った。
「何て奴等だ」
「怪しいとは思っていたけれどな」
「これは」
「放ってはおけないわ」
 曹仁と曹洪はその蒼白の顔で言ってだった。
 すぐに司馬尉の前に出てだ。こう言ったのだった。
「司馬尉殿、これは幾ら何でもです」
「度が過ぎます」
「山賊達を捕らえればそれで、です」
「兵に入れるなりすればよかったのでは」
「手ぬるいわ」
 血に塗れた笑みで。司馬尉は二人に返した。
「それではね」
「手ぬるい!?」
「そうだというのですか」
「そうよ。山賊達は罪人よ」
 だからだというのだ。
「それでただ兵に組み入れたり村に返すのは」
「手ぬるいというのですか」
「それで」
「そうよ。こうしてね」
 全員の首を刎ねだ。そしてだというのだ。
「京観を築いたのよ」
「勝った祝いの為だけでなく」
「そうされたと」
「賊は賊よ」
 冷徹ではなかった。酷薄な言葉だった。
「賊は捕らえれば」
「処刑する」
「一人残らずですか」
「そうしたわ。こうしてね」
 そうした話をしてだ。司馬尉は。
 曹仁達にだ。また言ったのである。
「わかったわね。このことが」
「ではこれで正しいと」
「そう仰るのですね」
「その通りよ。では貴女達も」
 彼女達にだ。今度はこう告げた。
「この京観をくぐるかしら」
「いえ、遠慮します」
「それは」
 まずは曹仁と曹洪が断った。
 そしてだ。田豊と沮授もだった。
「私達もです」
「今は」
「俺達もな」
「そんな気持ちの悪いものを傍に見るのはな」
 ビリー達は四人よりもさらに不機嫌さを露わにさせてだ。それでだった。
 こうだ。司馬尉に言うのだった。
「絶対に嫌だしな」
「遠慮させてもらうぜ」
「そう。じゃあいいわ」
 司馬尉もだ。これ以上言わなかった。
「私達だけでね」
「勝手にしな」
 ホアは京観から顔を背けさせて告げた。
「そうな」
「当たってしまったのう」
 タンもだ。嫌悪を表に出して述べる。
「嫌な予感がな」
「そうだな」
 リチャードはタンのその言葉に頷いた。山賊退治は誰もが、司馬尉達以外は考えもしなかった無惨な、あまりにも血生臭い結果に終わったのだった。


第九十八話   完


                         2011・7・18
 
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