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ヘタリア大帝国

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TURN48 騎士提督参入その四

 東郷の前に出たゴローンはこんなことを話していた。
「あんた日本人だよな」
「見ての通りだ」
 東郷はゴローンにも同じ口調である。
「日本海軍の軍人だ」
「そうだな。実は俺はな」
「話は聞いている。魔術師だな」
「違う。俺の趣味だ」
「趣味?」
「俺は日本のアニメやゲームが大好きなんだよ」
 東郷にもこう話す。当然ここには日本達もいる。
「それこそ大好きなんだよ」
「そうか。それはいいことだな」
「いいことだって思うんだな、あんたも」
「当然だ。アニメもゲームも素晴らしい文化だ」
 東郷はこうした方面でも柔軟な考えの持ち主だった。それ故の言葉だ。
「だからな。そういうものに親しんでくれているのはな」
「いいっていうんだな」
「それであんた今の仕事は」
「先祖の遺産で好きに暮らしている」
 つまり金持ちのニートだというのだ。
「日本の文化に親しんでディレッタントに過ごしている」
「つまり働きもせずに遊んでばかりです」
 兄の横から妹が言ってくる。
「折角この体格に魔術を持っているのに」
「いいだろ?金はあるんだぞ」
「はい。それはそうですが」 
 妹は兄にも言い返す。
「どうにも。不健康な気が」
「だからそう言うな。俺は誰にも迷惑はかけていないんだ」
「暴力も振るわないのはいいことだけれど」
「俺がそんなことするか。というか興味はそっちだ」
「ヲタク文化にこそ」
「サイトも荒らさないし違法ダウンロードもしない」
 そういうこともしないというのだ。
「悪いことはしていないぞ」
「しかし魔術師として収入を得ると違うわよ」
「興味がないな。そうしたことにはな」
「せめておもちゃやゲーム代は入るけれど」
「ふむ」
 二人のやり取りを目の前で聞いてだ。東郷は少し考える顔になった。
 そのうえでだ。こうゴローンに言った。
「あんた、よかったらな」
「よかったら。何だ?」
「趣味の金は充分足りる。食費も服代もかからない」
「どれも足りているが」
「まあ聞いてくれ。日本の秋葉原にも行き放題だ」
「!?」 
 秋葉原行き放題と聞いてゴローンの眉がぴくりと動いた。そして東郷もそれを見逃さずすかさず言うのだった。
「だからだ。日本軍、太平洋軍に入らないか」
「秋葉原行き放題だと?」
「ああ、そうだ」
 その通りだというのだ。
「時間さえあればな」
「そうか。秋葉原か」 
 ヲタク文化の中心だ。彼にとってはまさにメッカだ。
 そこに行き放題と聞いてだ。ゴローンはすぐにこう東郷に言った。
「わかった。それならな」
「来てくれるか」
「是非共な」
「これで私も一安心です」
 パルマもほっとした顔になっていた。
「兄さんもニート卒業ですね」
「おい、そう言うのか?」
「実際にそうですよね」
「それが兄に言う言葉かよ」
「兄さんだからよ」
 パルマの方が強かった。それもかなり。
「あえて言うのよ」
「兄のことを思ってっていうのかよ」
「この場合階級は何なの?」
「中将になる」
 東郷がパルマに答える。 
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