恋人は秘書
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第七章
「将来だって約束したでしょ」
「結婚のことも」
「だからね」
「僕と一緒にいるんだ」
「そうよ、私は地位やお金はいいから」
そうしたものには興味がないというのだ。
「地位はどうでもよくてお金は必要なだけあればね」
「いいんだね」
「それよりもね」
「僕と一緒にだね」
「いたいから」
それでというのだ。
「今もこうしているのよ」
「僕の秘書として」
「秘書になったことも」
このこともというのだ。
「義彦君と一緒にいられるからだから」
「それでなんだ」
「そうよ、いつも一緒にいたいからよ」
「それでだね」
「秘書になったのよ」
「それなら仕事の時もっと砕けてもいいのに」
「お仕事は真面目にしないと」
沙織は持ち前の真面目な性格も出した。
「それでよ」
「そういうことなんだ、真面目さは高校時代からだね」
「当たり前でしょ、じゃあ明日もね」
「会社では支社長と秘書で」
「プライベートでは恋人同士でね」
「宜しくね」
「こちらこそね」
義彦は沙織に明るい笑顔で応えた、そうしてだった。
二人でマンションに帰った、そしてそこで二人でプライベートの時間をさらに過ごした。そして次の日会社に出勤したが。
沙織は支社長の席に座る義彦に折り目正しい態度で声をかけた。
「今日の予定ですが」
「どういったものかな」
「それはです」
秘書として支社長に話した、そして義彦も支社長として自分の秘書である沙織に応えた。そうして仕事が終わるとプライベートの二人に戻った。その二人が結婚したのはこの時から三年後のことであった。
恋人は秘書 完
2020・9・16
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