ケージは何の為にあるか
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第三章
「だからな」
「必要なのね」
「ああ、しかし家であってな」
「檻じゃないのね」
「それは絶対に違う」
断じてというのだ。
「だからだ」
「それであなたも私に買っておく様に言ったのね」
「ふわりの家だからな」
「犬小屋と一緒ね」
「犬には犬小屋だな」
「そうね、お家だから」
「トイプードルは基本家の中で飼う」
散歩には行くが基本そうして飼う種類の犬だというのだ。
「それなら家は縄張りでだ」
「お家じゃないのね」
「家はケージだ」
それになるというのだ。
「だから買ってもらったんだ」
「そのことが今完全にわかったわ」
「そうか、そして何があってもな」
「檻じゃないのね」
「あの馬鹿共はそれに使ったがな」
「放り込んでそのまま無視ね」
「餌をやる位でな」
ご飯ではなくそれになっていたというのだ。
「それもどうせ適当でやるだけでだ」
「声もかけないで」
「面倒な手間と思ってやっていたんだ」
「本当にあの人達にとってふわりはおもちゃだったのね」
「そうだ、娘と言っていながらな」
口ではそう言っていてというのだ。
「飼っていたんでも愛情を注いでいたんでもなかったんだよ」
「おもちゃで遊んでいただけね」
「それで新しいおもちゃが手に入った」
自分達の子供というそれがというのだ。
「だからだ」
「古いおもちゃはしまったのね」
「それで邪魔になってな」
「捨てたってことね」
「そうだ、しかし俺達は絶対にそんなことはするか」
ああはなるまい、誓った言葉だった。
「ふわりは娘だ」
「私達のね」
「家族だ、だからだ」
「捨てるなんて論外で」
「ケージもだ」
「お家ね」
「檻なものか、いいな」
「それじゃあね」
「そうして使っていくぞ」
ケージ、それをというのだ。こう話してだった。
二人でケージそしてその中にいるふわりを見た。ふわりは眠りはじめた。それは家の中で寝ている顔でのことであった。そして家に帰ってきた息子にも話した。息子も納得した。
ケージは何の為にあるか 完
2021・2・26
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