二匹で寄り添って支え合って
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
「是非です」
「その心に応えて」
「そうしてですか」
「手を差し伸べてくれますか」
「そうさせてもらいます」
こうしてシンディの方でも二匹の里親を募集した、するとジェニファー=ハットマンというテキサス州に住んでいる太った黒髪の女性がそれに応じてきた。それを受けてスタッフ達は驚いてこう話した。
「まさかですね」
「シンディさんが手伝ってくれてたった数週間で里親さんが申し出てくれるなんて」
「これは奇跡ですね」
「全くです」
「私もそう思います」
シンディもこう言った。
「まさかです」
「そうですよね」
「こんなにすぐに見付かるなんて」
「貴女が助けてくれて」
「これは神のご加護ですね」
「間違いなくそうですね」
「私もそう思います」
シンディは心から神に感謝した、そしてだった。
すぐにアドニスとアポロをジェニファーに会わせた、二匹はこの時もお互いを抱き締め合い守り合っていた。
その姿を見てだった、ジェニファーは涙を流して言った。
「ずっとこうしていたんですね」
「はい、この娘達は」
「こうしてお互いを守っていました」
「このシェルターの中で」
「殺処分されそうな中で」
「そうなんですね。ではです」
ジェニファーはスタッフ達の言葉を聞いて言った。
「私と家族がこの子達を引き取って」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「この子達を助けてくれますか」
「そうしてくれますか」
「神に誓います」
ジェニファーはスタッフ達に確かな声で答えた。そうしてだった。
二匹を家に迎えた、夫のチャーリー顎鬚を生やした優しい顔立ちの彼は彼等を見てすぐに悲しい顔になって言った。
「今も支え合っているね」
「ええ、抱き合ってね」
「この子達の話は聞いたよ」
妻に悲しい声で述べた。
「飼い主に虐待されていたんだね」
「それで捨てられてね」
そしてというのだ。
「シェルターにいたのよ」
「殺処分を受けそうだったんだね」
「ずっとね、その中で二匹で生きていたの」
そうだったというのだ。
ページ上へ戻る