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レーヴァティン

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第百九十二話 港を見てその十二

「だからな」
「はい、土もいいので」
 智が応えた。
「田畑もよいです」
「よりよく出来る」
「それも大きいでござるな」
「近畿もそうだがな」
「政を行えば行う程よくなる」
「そうした場所だ」
 それが武蔵だというのだ。
「だからな」
「大いに治めるでありますな」
「そうする、そしてだ」
 そのうえでとだ、英雄は智に話した。
「あの国をかなりの国にもする」
「東国との戦の前に」
「そうする、ただな」
 英雄は眉を顰めさせこうも言った。
「江戸は火事が多いな」
「はい、あの街は」
「平地でな」
「しかも冬になるとでござる」
「空気が乾く」
「関西以上に」
「尚且つ風が強い」
「だからでござる」
「火事も多いな」
「そうであります」
「火事は出来るだけない様にするが」
 それでもというのだ。
「起こった時はな」
「出来る限り燃え広がらない様にするでありますな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「火事についてもだ」
「備えるでござるな」
「火事で街が焼け野原になってはな」
「たまったものではないでござる」
「そして人もだ」
 蘇らせることは出来てもというのだ。
「やはりな」
「死なないに越したことはないでござるな」
「だからだ」
「火事については」
「出来るだけ怒らない様気をつけ」
「起こった時は大きくならない」
「その様にする、火事は戦よりも恐ろしい場合がある」
 英雄はこのことを今言葉に出した。
「地震や台風と同じだ」
「多くの被害を与えるでござるな」
「そうだ、だからな」
「火事にも備えるでありますな」
「戦は避けることが出来るが災害は違う」
「避けられない」
「起こる時は起こる」
 どうしてもというのだ。
「火事は気を付けると最低限になるが」
「最低限であり」
「零になるか」
 それはというのだ。
「やはりな」
「無理でござる」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「起こった時についてもだ」
「備えておくでありますな」
「そうする、これは他の街もだが」
「江戸は特に多いので」
「徹底してだ」
 そしてというのだ。
「備える」
「それでは」
「武蔵の返事を待つ」
 まずはというのだ。 
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