助けを求めて来た子猫
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三章
「そうしようか」
「それじゃあな」
「今からだな」
「話そうな」
「ああ、随分楽しそうだな」
「実際楽しいぜ」
ロビンは笑顔で応えた。
「もう毎日がな」
「仕事の後の一杯はなくてもか」
「それよりも猫だよ」
何といってもというのだ。
「本当にな、だからな」
「それでか」
「もう酒はいいさ」
「そうなんだな」
「ああ、じゃあ今からこいつのことを話すな」
ケットは今はロビンの足下にいる、彼と一緒に歩いている。随分と懐いているのが友人が見てもわこあった。
「じっくりとな」
「その話聞かせてもらうな」
「そうしてくれるか」
「その為に来たからな」
友人も笑顔になっていた。
「それじゃあな」
「よし、じゃあな」
「晩飯作ってからじっくり話すな」
もう仕事の後の酒よりもだった、ロビンは猫だった。そして実際にだった。
ロビンは夕食を簡単に作って友人と二人でそれを食べながらケットのことを話した。ケットはその間ずっとテーブルの上のロビンの傍にいた。もう怪我の後は何処にもなかった。
「結構大きくなっただろ」
「あの時は子猫だったのにな」
「そうだろ、それでな」
ケットを見つつ彼のことを話しはじめた、その間彼はずっと笑顔で話を聞く友人も自然とそうなっていてケットはずっと喉を鳴らしていた。そこにいる誰もが幸せになった。それで話が終わってから友人はロビンに帰る時に言った。
「また来るな、それでずっとな」
「ずっとか」
「その子と幸せでいろよ」
「ああ、何があってもそうしていくな」
ロビンは友人に笑顔で応えた、そしてだった。
ケットはその彼の横にいた、その上で友人を見ていた。友人はその彼とロビンを部屋を後にする時も見た。そこには確かな幸せがあった。
助けを求めて来た猫 完
2021・2・20
ページ上へ戻る