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八条学園騒動記

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第六百一話 朝ご飯はその八

「というか偏見強くて探偵なんてやったら」
「見込み捜査とかして」
「冤罪の元だから」
「問題外だね」
「探偵以前よ」
「事件があってすぐに何とか人の仕業とか言う奴は探偵じゃない」
 テンボも怒って言った。
「そいつは単なる差別主義者だ」
「探偵じゃなくて」
「そんな奴こそ犯人だ」
 それになるというのだ。
「探偵どころかな」
「そうなんだね」
「名探偵は偏見なぞ持たない、いや」
「探偵ならだね」
「偏見なぞ持つな」
 テンボはトムに強い声で言った。
「絶対にな」
「いい心掛けだね」
「だから例え目が見えなくても耳が聞こえなくてもな」
 この時代ではバイオ技術や機械技術で目が見えなくても耳が聞こえなくてもどうでもなる様になっている、機械の義眼が見せてくれたりするのだ。
「それでどうなる」
「そういえばレーンは耳が聞こえないね」
 トムはこの探偵を思い出した。
「かつてシェークスピア劇の俳優だった」
「オムレツ荘に住んでいるな」
 テンボはハムレット荘をこう間違えた。
「あの人だな」
「うん、その名の古城に住んでいて」
 トムはテンボの言い間違いはスルーして答えた。
「それでだね」
「推理をしているな」
「むしろあの人はね」
「本人が言うにはな」
「耳が聞こえないから」
 このハンデがあるからだというのだ。
「余計な音が聞こえなくてね」
「推理に専念出来ると言っているな」
「そうだよね」
「そうだ、名探偵は健康が絶対だが」
「身体の障害があっても」
「それでもだ」
 そうしたハンデがあろうともというのだ。
「その頭脳と勘と知識でな」
「名探偵だね」
「それになっている」
「その通りだね、身体が悪くても」
 それでもとだ、トムも頷いて言った。
「探偵になれるね」
「名探偵にな」
「そうだね」
「偏見は問題外だけれど性格が悪くてもね」 
 ジャッキーはトムに笑って話した。
「そして多少素行が悪くても」
「探偵はなれるね」
「金田一耕助は性格はともかくね」
 この探偵はというのだ。
「最初は麻薬やってたわね」
「当時の日本じゃ普通だったよね」
「そうみたいね」
 合法であったのだ。
「どうやら」
「それでなんだね」
「そう、多少の素行の悪さはね」
 これはというのだ。
「いいのよ」
「名探偵は」
「もうバイオレンスでもね」
「マイク=ハマーもそうだしね」
「エドとジョーンズもでしょ」
「ああ、もう銃と拳で捜査するね」
 この黒人の刑事のコンビもというのだ、この時代ではハーレムではなく連合の貧民街なら何処でも舞台にしている。 
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