野生児の恋愛
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第三章
瑞希は常に自分から手を取って次の場所に行こうとせがみ自分から動いていた。それは百貨店だけでなくゲームセンターでも同じで。
自分からUFOキャッチャーやプリクラに入った、店も自分からあの店がいいと言って入ろうと言った。兎に角だった。
かなり元気よく動いた、それで幸正は自分が行こうと思っていた店に瑞希を入れてそこで一緒に食べながら言った。食べているのはスパゲティだ。
「やっぱり俺が引っ張られてるな」
「そうだっていうの」
「実際にそうだろ」
ペスカトーレを食べつつミートソースを食べる瑞希に言う、幸正の食べ方は普通だが瑞希は随分ワイルドだ。
「はっきり言って」
「私は別にね」
「じゃあ常に手を引っ張るんだよ」
「だって色々な場所に行きたいから」
「それでか」
「気が逸ってね」
それでというのだ。
「お願いしているのよ」
「せっかちだな、何かな」
「何か?」
「山や川に行った時とな」
瑞希が好きな場所に行った時と、というのだ。
「同じだな」
「そうだっていうの」
「どうもな」
感覚的にというのだ。
「そうだな」
「そうなの」
「だからな」
それでというのだ。
「正直山や川にいる時と変わらないな」
「気のせいでしょ」
「気のせいじゃないだろ」
このことはとだ、幸正はペスカトーレを食べつつ話した。目の前でスパゲティを貪る瑞希に対して。
「それは」
「といってもあたしはね」
「ありのままか」
「普段と変わらないね」
「街にいてもか」
「そうしてるだけよ」
「つまり根っからの野生児って訳か」
幸正はここでこう言った。
「そうなんだな」
「そう言われてもね」
それでもとだ、瑞希は返した。
「私にしても」
「それはか」
「あたし嘘も隠しごとも苦手だし」
「しないしな」
「だからね」
「今もなんだな」
「いつも通りにやってるだけよ」
こう幸正に話した。
「本当に」
「それだけか」
「あくまでね、それで次何処行くの?」
「カラオケな」
そこに行くとだ、幸正な話した。
「そこに行こうな」
「カラオケね、行くって言ってたわね」
「何か歌えるだろ」
「一応ね、じゃあね」
「次はそっちに行こうな」
「わかったわ」
瑞希も頷いた、そしてだった。
二人は食事の後はカラオケボックスに入った、そこでも瑞希は幸正の手を取って自分が引っ張る感じだった。だが。
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