歪んだ世界の中で
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第六話 明らかな変化その四
その時千春の顔を見た。そしてだ。
千春はだ。微笑みそのうえで希望に答えたのだった。
「うん、じゃあね」
「いいのかな」
「うん、千春山も大好きだからね」
それでだとだ。言ってからだった。
「それじゃあ今日はね」
「山でいいよね」
「山ならいい場所あるよ」
「えっ、いい山?」
「うん。八条山はどうかな」
千春からだ。登る山を提案したのだった。
「そこね。どうかな」
「あっ、実は僕もね」
「八条山にしようって思ってたの?」
「うん、そうなんだ」
実はそうだったのだ。千春と考えが一致していた。
そのことを実感してだ。そして言う希望だった。
「よかった。じゃあ二人でね」
「今から八条山にね。実はね」
「実は?」
「あっ、山でお話するね」
ここから先はだ。千春は言おうとしなかった。それでだった。
二人でだ。笑顔で八条山に向かいだ。
山の麓でだ。希望は話した。
「八条山って。僕何度か登ってるんだ」
「どうしてなの?」
「学校の遠足とかね。それでなんだ」
「遠足でだったの」
「幼稚園とか小学校とか」
子供の頃からだ。その時に登っていたというのだ。
「それで登ってたんだ」
「そうだったの。千春はね」
「千春ちゃんも何度もこの山登ってるよね」
「いつもね」
「いつも?」
「そう。実はあの山なの」
こんなことをだ。千春は笑顔で希望に話した。
「八条山に千春のお家があるの」
「そうだったんだ」
「うん。今まで言ってなかったけれど」
「千春ちゃんのお家はあの山にあったんだ?」
「驚いた?」
にこりと笑ってだ。千春は希望に言ってきた。
「千春のお家があのお山にあるのに」
「ううん。前に行ったことあったじゃない」
「そうだったね。あの時ね」
「うん。だから」
あの時は急に千春の家の前にいた。屋敷と言っていい家にだ。そこに来てまた急にだ。希望の家に戻っていた。そのことを思い出しながら話をするのだった。
「驚きはしないよ」
驚くのは急に移動していた、その時のことだった。
だがそのことはあえて言わずにだ。希望は話すのだった。
「じゃああのお屋敷にもだね」
「来てくれるの?」
「何か悪い気がするけれど」
「ううん、気にしないで」
そうしたことはだ。一切だというのだ。
「じゃあお家にもね」
「うん。一緒にね」
「行ってそうして」
「また楽しい時間を過ごそう」
「そうだね。それにしてもね」
千春の話を聞きながらだ。希望はこんなことも言った。
「僕千春ちゃんのお家に行ったことなかったよね」
「お家の中にはね」
「それでもいいんだね」
「何時かは絶対に来て欲しいって思ってたし」
「それじゃあ」
「そう。来て」
満面の笑顔で言う千春だった。そのうえでだ。
二人は八条山に足を踏み入れた。そうしてだ。
緑の木々が天幕となり日差しを淡く防いでいる山道を歩いていく。その中でだ。
希望は山の中の木々やその下にある草を見ながらだ。こう千春に話した。
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