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レーヴァティン

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第百八十九話 流れは次第にその十一

「正規の兵隊もいるけれどな」
「少ないでござる」
「百万はいる中で」
「十万もいないでござる」
「それで後ろにはまた連中がいるな」
 黒い服のオプリーチニクもいた、既に剣を抜いている。
「退くならか」
「全く以て常でござるな」
「この国のな」
「それでどないする?」  
 美奈代は久志に問うた。
「これから」
「戦うかどうかってな」
「相手はそやけどな」
 民を無理に引っ張って来た者達だというのだ。
「それでもな」
「普通に考えて戦うしかないだろ」
 久志は美奈代に腕を組んで答えた。
「もうな」
「そうなるな」
「ああ」
 まさにというのだ。
「これはな」
「そやな、しかしな」
「それはな」
「心を鬼してな」
「やることだな」
「それで鬼になるか?」
 美奈代は久志に問うた。
「ここは」
「どうせ後で生き返させられるしな」
「ああ、そう思うと覚悟を決めてもな」
 殺した命が助かるならというのだ。
「それでな」
「心理的な負担も少ないさ」
「そやな」
「ああ、それでだな」
「どうするかやが」
「正直戦う気はないぜ」
 久志は美奈代に答えた。
「もうな」
「そやな」
「ああ、だからちょっとな」
「これからやな」
「戦は最後の最後だよ」
 取るべき手段としてというのだ。
「本当にな」
「それでやな」
「戦の前だけれどな」
「今から話すか」
「時間はないけれどな」
 戦の前故にというのだ。
「けれどな」
「何とか戦を避けてペテルブルグを手に入れる」
「それで北の大国との戦も終わらせる」
「その為にやな」
「ちょっと話すか、あの街を手に入れたらな」
 ペテルブルグ、この街を手に入れたならというのだ。
「終わりだしな」
「是非やな」
「戦を終わらせるにしても」
 それでもとだ、久志は美奈代に話した。
「後味いい方がいいよな」
「それはな」
「だからな」
「それでやな」
「今からちょっと話すか」
「そうしよか、ほな皆今から話すか」
 誰も反対しなかった、こうしてだった。
 帝国軍の主な将帥達は戦を前にして軍議に入った、久志を中心として馬に乗ったままでそれに入った。


第百八十九話   完


                2020・12・8 
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