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毛の色は違っても

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第三章

「最近仕事に慣れてきたわ」
「そうなのね」
「やっとって感じだけれど」
 それでもというのだ。
「実際にね」
「慣れてきて」
「それでね」
 それ故にというのだ。
「ほっとしてね」
「それでなのね」
「今はこのままやっていける様に」
「頑張ってるのね」
「仕事が楽になっても」
 裕子は母にお茶を飲みながら話した、飲んでいるのはレモンティーだ。
「やっぱりでしょ」
「ええ、お仕事はいつもね」
「それでお金貰ってるから」
「だからね」
 それ故にだ、母も話した。
「真面目にね」
「それで頑張ってね」
「やっていかないとね」
 そこはどうしてもというのだ。
「駄目よ」
「やっぱりそうよね、じゃあね」
「これからも頑張っていくわね」
「そうするわ」
 仕事が終わって夕食の後の紅茶を飲みながら話した。
「ずっとね。ただね」
「ただ?」
「お家に帰ったら」
 笑顔でだ、裕子はテーブルの上に寝ているスミレを見てだった。
 彼女に手をやって撫でてそして言った。
「こうしてね」
「スミレと遊ぶのね」
「もうこれがないと」
 絶対にというのだ。
「私もね」
「辛い?」
「辛いというか」
 むしろというのだ。
「スミレに癒してもらってね」
「頑張れるのね」
「そうよ、若しもね」
「スミレがいないと」
「ここまでやれないわ」
 こう言うのだった。
「どうしてもね」
「そうよね、スミレが戻ってきてくれて」
「お母さんもなのね」
「お父さんもよ、癒してもらって」
 スミレにというのだ。
「それで毎日ね」
「頑張れるのね」
「これまで以上にね。スミレは裕子が疲れてるのを見てね」
「それでなのね」
「戻って来てくれたのかもね」
「そうなのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「これからもね」
「スミレと一緒にいて」
「癒されて頑張るわ」
 こう言うのだった。
「明日もそれにね」
「それからも」
「そうしてもらえるから」
 だからだというのだ。
「スミレには感謝しかないわ」
「そうね、スミレはあんたが働きはじめて大変で」
「それを知ってかしらね」
「心配になって自分が癒して」
 そしてとだ、母は娘に話した。
「そうしてお仕事も頑張って元気になる様に」
「その様になのね」
「なる様にね」
 その為にというのだ。
「来てくれたのかもね」
「そうなのね、そうだとしたら」
 裕子は母のその言葉を受けてだった。
 そうしてだ、スミレを見てこう言った。
「余計にね」
「スミレに感謝するわね」
「ええ、スミレ本当に有り難うね。それでこれからも宜しくね」
「ニャアン」
 スミレは裕子の言葉に笑顔で応える様に一声鳴いた、そのうえで。
 裕子のところに来て頬を摺り寄せてきた、裕子はその彼女を見てにこりと笑った、そして彼女を撫でるともうそれだけで癒された。母もそんな娘達を見て笑顔になった。


毛の色は違っても   完


                  2021・1・25 
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