恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十六話 軍師達、狐を見るのことその八
「自分に甘い者は多い」
「まああれや。愛紗みたいな娘は少ない」
「私か?」
「そんでキムやジョンみたいな男も少ない」
「どっちもだな」
「うちも自分がやれって言われたらな」
どうかとだ。張遼は少し苦笑いになって述べた。
「ちょっとなあ」
「難しいか」
「話によるけれどな」
「そうだな。実践はな」
「だからあんたは凄いんや」
関羽にまた話す。
「自分でもやるさかいな」
「私はそもそもだ」
自分自身のことをだ。関羽は話していく。
「自分が何もしないということは嫌いだ」
「それも大嫌いやな」
「そうだ。一番嫌いなことの一つだ」
毅然としてだ。張遼にも話す。
「昔からそうだった」
「愛紗は昔から愛紗やってんな」
「そうなるか」
「そや。ほなうちもや」
「貴殿も?」
「自分から率先してやろか」
こう笑顔で言うのである。
「何でもな」
「前からそうしているのではないのか?」
「まだ足らん思う」
自分を振り返っての言葉だった。
「そやからや。もっとな」
「そうか。だからこそか」
「そや。うちも頑張るで」
笑顔のまま関羽に話していく。
「この天下万民の為にな」
「そうだな。共にな」
「あんたに出会えてよかったわ」
今度はこんなことも言う張遼だった。
「それで味方にいてくれるのもな」
「私も貴殿が敵ならな」
「困ってたかいな」
「そうだ。困っていた」
そうだとだ。関羽も言うのである。
「手強い相手になっていた」
「そう言うてくれるんかいな」
「だが。味方であったなら」
話は逆説になっていた。それならばだというのだ。
「非常に頼りになる」
「そやな。うちもや」
「私が味方ならばか」
「頼りにさせてもらうで。それでや」
瓢箪を出した。その栓を開けながらだった。
「どや。一杯」
「酒か」
「飲むか?美味いで」
「そうだな。私もな」
関羽も微笑んでだ。瓢箪を出してきた。
そしてそのうえでだ。張遼にこう言葉を返した。
「どうだ、一杯」
「何や、そっちも持ってたんかいな」
「夜に飲もうと思っていた」
「そうか。それでかいな」
「少し早いが軽く飲むか」
「そうしよか」
こうしてだった。二人は互いの瓢箪を交換してだ。
そのうえで酒を楽しむ。キムの地獄の修業を眺めながら、
第九十六話 完
2011・7・16
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