おぢばにおかえり
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第六十二話 二人乗りその十五
「阿波野君嫌いな対象を全否定し過ぎで」
「嫌いな人もですね」
「否定し過ぎだから」
やっぱり全否定です。
「嫌いな対象はもう頭の髪の毛の先から足の爪先まで嫌いでしょ」
「それに加えて坊主憎ければで」
袈裟まで憎いというのです。
「そんな風です」
「その癖性分は絶対に何とかしないとね」
「僕自身にとってよくないんですね」
「自分に返ってくるから」
それが癖性分です、悪いものはほこりになっていきます。
「気をつけてね」
「そうしないと僕自身のほこりになってですね」
「積み重なるから、というか」
「というか?」
「阿波野君っていつもにこにこしてると思ってたら」
もっと言えばいい加減で図々しいです、少なくとも私にとっては阿波野君はそうした後輩の子です。
「違うのね」
「そうした一面は強いですから」
「それがわかったわ」
こうしてお話してです。
「というか親戚にそうした人いるのね」
「まだ困った人いますけれどね」
「だからそうした人のことは忘れてね」
少なくとも置いておくべきだと思います。
「やっていってね」
「それで癖性分をなおすことですね」
「そうよ、というか」
私はあらためて思いました。
「なおすつもりあるわよね」
「何か出てきました」
そのつもりが、というのです。
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