戦国異伝供書
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第百二十二話 大友家動くその五
「そうなるならな」
「こちらも黙ってはいられませぬな」
「到底」
「だからですな」
「そうじゃ、これからはな」
どうなるかというのだ。
「龍造寺家との戦もな」
「考える必要がありますか」
「どうしても」
「そう言われますか」
「うむ、そうじゃ」
こう言うのだった。
「これからはな」
「今は大友家と戦っていますが」
「その後で、ですか」
「龍造寺家とも」
「そうやもな、島津家の者は挑まれた戦は逃げぬ」
薩摩隼人、その者としての言葉だ。
「だからな」
「はい、その時は」
「龍造寺家とも戦いますな」
「そうしますな」
「そうすることも考えていくぞ」
ここまで言ってだった、義久は。
酒を一杯飲んだ、飲んでから弟達に笑って話した。
「この酒は特別じゃぞ」
「といいますと」
「その酒は何でしょうか」
「どんな酒でしょうか」
「中に蝮が入っておる」
蝮酒、それだというのだ。
「それじゃ」
「蝮酒ですか」
「それを共にですな」
「これより飲むのですな」
「うむ」
弟達に確かな声で話した。
「そしてじゃ」
「精をつける」
「これからの大きな戦に備えて」
「そうせよというのですな」
「我等四人、間違いなくこの度の戦の柱になる」
義久は弟達に告げた。
「だから精をつけてな」
「絆も深める」
「我等四人の」
「戦に向けて」
「そうする、ではよいな」
その蝮酒を飲みつつ言った。
「これより」
「では」
まずは義弘が応えた。
「これより四人で」
「飲むとしよう」
「それでは。それがしも蝮酒のことは聞いています」
「酒であるが薬じゃ」
「ですな」
「飲めばまことにな」
実際にというのだ。
「実に凄い精が備わり」
「戦でも働けますな」
「そうじゃ、だからな」
それでというのだ。
「我等はな」
「これよりですな」
「飲もうぞ」
「それでは」
義弘も頷きそうしてだった。
歳久もだ、義久に対して話した。
「では」
「四人で飲むぞ」
「わかり申した、そして戦では」
「我等も死兵となって戦ってな」
「勝つのですな」
「そうするのじゃ」
「では頂きます」
慎んだ声でだ、家久も言ってきた。
「それがしも」
「ではな」
「四人で蝮酒を飲み」
「絆も深める、そして酒は多くある」
その蝮酒はというのだ。
「だからな」
「これよりですな」
「心ゆくまで飲むぞ」
「そうして精もつけますか」
「そうする、美味いぞ」
蝮酒の味もした。
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