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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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妖精学園

 
前書き
お久しぶりです。今回はただのお遊びの話なのでボーッと眺めてもらえると嬉しいです。 

 
「へへっ、これをこうやって・・・」
「何やってるんですか?ナツさん」
「そんなところにロープしたら危ないですよ」

俺の名前はシリル。妖精学園に通う生徒です。いつも通り仲良しのウェンディと一緒に登校すると、クラスメイトのナツさんが入り口のところで何かしています。

「おぉ、シリル、ウェンディ。これ、引っ掛かるんじゃねぇぞ」
「また悪巧みですか?」
「グレイの奴をひっかけてやろうと思ってな」

悪そうな顔をするナツさん。どうやら同じくクラスメイトで悪友のグレイさんにイタズラを仕掛けようとしているらしい。俺とウェンディはその仕掛けに引っ掛からないように教室に入ると、彼も準備が出来たようでその場から離れる。

「みんなぁ!!おっはよう!!」

その直後に元気な声と共に中に入ってくる金髪の女性。その足に彼の仕掛けたロープが掛かった瞬間、頭上からバケツに入った水が降り掛かり、中にいた人たちはみんな爆笑していた。

「ルーシィさん大丈夫ですか?」
「これ、使ってください」
「ありがとう、ウェンディ、シリル」

ずぶ濡れになったのは最近転校してきたばかりのルーシィさん。彼女はタオルを受け取ると、周囲の人たちを睨み付ける。

「ちょっと!!誰!?」
「ナツでしょ」
「んなことすんの、ナツしかいないじゃん」
「ナ~ツ~!!」

犯人の元へと今までにないほどの表情で向かうルーシィさん。その怒りを向けられた人物は、なぜか体を震わせていた。

「なんてことすんだよ・・・グレイを引っ掻けてやろうと思ってたのに・・・」
「ハァ?」
「引っ掛かる奴があるかコラァ!!」

なぜか自分の仕掛けたイタズラを無にされたことに逆ギレするナツさん。そのまま二人は拳に怒りを込めて喧嘩が始まると、その後ろを悠々と通りすぎていくグレイさんの姿があった。

「おやおや、朝っぱらから熱いねぇ」
「どこをどう見たらそう見えるのよ!!」
「テメぇが引っ掛かるはずだったんだぁ!!」
「俺があんな子供騙しに引っ掛かるかよ」

自分の椅子に座ろうとするグレイさん。彼の言葉に恥ずかしそうな顔をしているルーシィさんだったが、彼女に馬乗りにされているナツさんは笑っていた。

「熱ぃ!!」
「よっしゃ!!」

その理由は二つ目のイタズラに彼が気付いていなかったから。椅子に仕掛けられた焼け石に座った彼は真っ赤になった臀部を押さえて飛び上がっていた。

「テメェ、ケツがヤケドするじゃねえか」
「おぉ?やんのか?燃えてきたぞ」
「上等だよこのヤロウ」

一触即発の二人。グレイさんは殺る気満々のようでネクタイを外すと、そのまま服を全て脱ぎ捨てる・・・パンツも一緒に。

「なんでそうなるの!?」
「全部脱ぐな!!」
「ふぇ・・・」
「ありゃ?」

突っ込まずにはいられない状況。女性陣は困惑の表情を浮かべ、グレイさんもなぜそうなったのかと不思議そうな顔をしていた。

「そこまでだ」

このまま二人の殴り合いが始まるかとワクワクしながら見ていると、それに待ったをかける緋色の髪をした女性。彼女が現れた瞬間、二人は肩を組んで震えていた。

「授業が始まるぞ?皆席につけ」
「「あい」」

彼女は生徒会長のエルザさん。彼女にはどんな不良も頭が上がらないらしいけど、なんででしょう?厳しいからなのかな?
















退屈な授業も終わり、お昼休み。ここには仲の良い男性陣が集まり一緒にお昼ごはんを食べている。

「よっよっ・・・あ~ん」
「カレーパンにタバスコ・・・」
「辛くないんですか?」
「それ体に悪いだろ」
「全然平気。燃えてきたぞ」

カレーパンにタバスコと言うなんとも言えない組み合わせを披露するナツさん。ただ、だんごを食べているナブさんには絶対言われたくないと思う。いや、炭酸水しか持ってきてない俺が言うのもあれだけど。

「てか、お前の弁当いっつもうまそうだな」
「本当に美味しそうですね・・・」
「姉ちゃんの手作りだ!!漢だ!!」
「姉ちゃんは漢じゃねぇだろ」

エルフマンさんは姉であるミラさんから毎日弁当を渡されているらしく、すごく美味しそう。バランスも良さそうだし羨ましい限りである。

「これで酒があればのぉ」
「やべぇだろ、シャルルの野郎に見つかったら大事だぜ」
「つーかマカロフ、お前何年ダブれば気が付くんだよ」
「あっちは論外だな」
「高校生の会話じゃないですね・・・」

イカを炙りながらおじさんたちの会話になっている後方に苦笑いをしていると、またしても問題児二人が睨み合っていた。

「ナツ、そこどけよ」
「あぁ?」
「そこはいつも俺がキープしてる場所だろうが。俺はそこで飯喰わねぇと、午後いっぱい調子悪ぃんだ」
「んだコラァ!!」
「飯っつうか・・・」
「いつもかき氷だろ・・・」
「あはは・・・」

今日はシロップが緑だからメロン味かな?とかお気楽な考えでいてはダメなのかな?なんだかこの二人のやり取りがいつものことすぎて、突っ込むのも面倒くさい。

「どけよタバスコバカ!!」
「やんのか変態かき氷!!」

両者共にポケットに手をいれると、そこからタバスコと保冷剤を相手の顔面目掛けて叩きつける。その結果、タバスコはグレイさんの口に入り、保冷剤はナツさんの顔に張り付いてお互いに大ダメージを与えていた。

「うわ・・・」
「エグいな」
「漢だ」
「アホじゃ!!」

















その頃職員室では・・・第三者side

「ハムハム・・・」
「ハッピー先生~、一緒に食べよ~」
「いいよぉ」

お昼休みのうちに先生たちも自分たちの食事を済ませておく。ハッピーとセシリーも例に漏れずお昼を食べていると、後ろから白色の猫がやってくる。

「呑気に魚を食べてる場合じゃないでしょ、ハッピー先生、セシリー先生。この学園の風紀はとても乱れているのよ!!」
「美味しいですよ」
「シャルル先生も食べたら~?」
「話にならないわ。こうなったら、近々全校生徒に対してあれをやりますから!!」
「えぇ~!?」
「あ・・・あれを!?まさか・・・」

シャルルの意味深な発言に持っていた魚を落とすハッピーとセシリー。

「やるしかなぁい!!」
「あれを・・・」

気合い入りまくりのシャルル。それを聞かされた二人は体を震わせ、戦いていた。
















シリルside

「はぁ!!終わった終わった!!」
「今日も疲れましたね」
「お疲れさまでした」

その日の授業も終わり、帰路へつこうとする俺たち。部活動に入っていない俺たちは学校が終わればすぐに帰れるため、用事がなければそのまま学校を出てしまえる。

ドタドタドタ

すると、目の前を興奮気味の女子たちが集団で通り過ぎていく。彼女たちの着いた先にいたのは・・・

「やぁ、僕の天使たち」

学園一モテモテのイケメン、ロキさん。彼は毎日女子たちに言い寄られており、誰がその日にデートするかで揉めているのだ。

「相変わらず人気ありますね、ロキさん」
「羨ましいとは思ってません」
「全く、どんな高校生よ」

まるでアイドルのようになっているロキさんを遠目で見ていると、彼はこちらを見て目を輝かせた。

「あ!!ルーシィ!!」

彼のお目当てはルーシィさん。彼女を見つけるや否やこちらへと飛んできて、声をかけてくる。

「用があったらいつでも呼んでね!!僕はピンチの時に駆けつける白馬---」
「はいはいよろしくね」

適当に受け流してその場から立ち去る俺たち。先ほどのやり取りを見ていた俺とウェンディはあることを思っていた。

「スゴーい!!ルーシィさん、ロキさんと仲良かったんですね」
「もしかして幼馴染みとかですか?」
「まぁ、ちょっと色々あって」

なぜか目を泳がせて曖昧な回答をするルーシィさん。もっと踏み込んでもいいのかどうか迷っていると、校門のところで唯一いまだに冬服に身を包んでいるメガネの人物がいた。

「待っていたぞ」
「「「??」」」
「ルーシィ、シリル、ウェンディ、よかったら一緒に帰らないか」
「「「会長と!?」」」

待ち構えていた生徒会長のエルザさんの提案によりそのまま一緒に帰路につく俺たち四人。その際に妙な霧吹き売りとすれ違ったが、彼は何か叫ぶとその場を足早に立ち去っていく。

「なんだったのかしら、あれ」
「気にするな。時々ああいう行商人が来るんだ。それよりも・・・」
「「「??」」」

突然辺りをキョロキョロし始めるエルザさん。彼女はこれから犯罪でもするのではないかというほどの勢いで辺りを見回した後、こちらへと向き直る。

「じ・・・実はだな!!」
「「「は!!はい!?」」」

あまりの圧力にエルザさんが大きく見えて恐怖を感じた俺たち。しかし、今度は俺たちよりも小さくなったのではないのかと思うほど、縮こまってモジモジし始める。

「その・・・えぇっと・・・」

ここでは人も多いのでと場所を移動した俺たち。街に流れる河の前の階段に腰掛けると、彼女からの言葉に驚愕した。

「えぇ!?デートに誘われた!?」
「素敵ですね!!」
「シー」

エルザさんは他校の学生からデートをお誘いされたらしい。それにルーシィさんとウェンディが盛り上がっていると、彼女の隣に座っていたルーシィさんの顔面に拳が入る。

「声が大きいぞ」
「すみません・・・」
「ル・・・ルーシィさん・・・」
「大丈夫ですか?」

可哀想すぎる光景に何とも言えなくなっていると、エルザさんはそんなことなどお構い無しに語り始める。要するに、彼女は普段は真面目で服など気にしたことがないから、それを俺たちに選んでほしいというわけだった。

「着ていく服を選ぶのね!!任せて!!」
「楽しそうですね!!」

それを聞いたお年頃のルーシィさんとウェンディは楽しそうな表情になる。そのまま狼狽えているエルザさんの手を取ると、彼女たちは自分たちの行きつけの服屋へと駆け込んでいった。
















「うぅ・・・落ち着かない・・・」

服屋に入った俺は辺りを見回した狼狽えていた。理由は簡単、彼女たちの行きつけのお店は女性用の服しかない店だったのだから。

「シリルもちゃんと付き合ってよ」
「いや・・・でも男の俺がいていいのかな?」
「大丈夫!!シリルが男の娘なんてわかる人絶対いないから!!」
「それはそれで傷つく!!」

子の発音がおかしかった気がするけど、それを今は気にしない。ウェンディに引っ張られて試着室の前に立つと、カーテンが忙しく開閉しており、その度に服が変わっているエルザさんの姿があった。

「着替え早っ!!」
「見せる気無さすぎ!!」
「メガネは外さないんですね」
「生徒会長だからな」

あまりの高速着替えに服が似合っているかどうかを確認する暇すらない。そんなことを思っていると一通り着終えた彼女はそれを並べて頭を悩ませていた・・・全裸で。

「わっ!!なんで服着てないんですか!?」
「試着するのに下着まで脱いじゃうんだ・・・」
「さ・・・さすがですね」

目のやりどころのない彼女の姿に顔を目を隠すと、ウェンディたちもそれには唖然とする他なかったよう。しかし・・・

「下着!!」

突然彼女のメガネが光を帯びた。

「そうか!!そこまでは考えてなかった!!だってそうだろ!?だって・・・」

そう言ってルーシィさんの服を捲り下着を確認し出すエルザさん。ますます目のやり場がなくなる現場に顔を手で覆う俺と顔を真っ赤にするウェンディ。

「そうだ!!髪型はどうだ!?服に合わせて変える必要があるのではないか!?」
「知り合い呼ぶね」

顔がいつもの数倍怖くなっているエルザさんに青ざめながら、ルーシィさんが携帯電話を取り出し誰かを呼び出した。

「任せろ、エビ」
「「到着早すぎ!!」」

驚くほどの速度で現れたルーシィさんのお知り合いの方にビックリする俺たちを他所にどんどんデートの準備が進んでいく。そして・・・



「可愛い服見つかってよかったですね」
「似合ってますよ、エルザさん」
「あぁ、感謝する」
「何かしら、この疲労感」

無事にデートに着ていく服も決まり髪型もバッチリのエルザさん。全員で待ち合わせの場所まで向かっていると、突然前を怪しげな5人組に遮られる。

「ギヒッ」
「何!?」
「誰?」
「この人たち・・・」
「幽鬼学園の生徒だ。目を合わすな」

近頃俺たちの通っている妖精学園と仲が悪いことで有名な幽鬼学園。この中でも特に危険なメンツがこの場に揃っているらしいので、俺たちは目を合わせないように顔をそらす。

「すまない、急いでいるんだ」

明らかにガンつけている彼らに臆することなく脇を通り抜けていくエルザさん。俺たちもそのあとに続こうとすると、ルーシィさんが一番性格の悪そうな顔をしている長髪の男に腕を捕まれる。

「そんな連れねぇこと言うなよ。俺たちと遊ぼうぜ!!」
「ヒィ!!」
「ルーシィを離さんか!!」
「「「「「!!」」」」」

その直後、周囲に響き渡る声に一同が体をビクッとさせる。全員の視線が向けられている中、エルザさんはメガネを取るとそれをウェンディへと渡す。

「すまんがメガネを頼む」

何がなんだかわからないでいる俺たちを他所に、エルザさんは相手を見据える。その目はいつもの彼女からは想像できないくらい真剣そのものだ。

「仲間を売るくらいなら・・・死んだ方がマシだ!!」

そういって彼女はドレスの中から鉄パイプを取り出した・・・って、

「「えぇぇぇぇぇ!!」」
「鉄パイプ!?」
「ど・・・どこから!?てか売るって何!?」

今時のヤンキーですら持ち運ぶことのない武器を平然と取り出す彼女に困惑を隠せない。それは幽鬼学園の生徒も同じなようで、動揺しているのが明らかだ。

「ビビることはねぇ!!鉄は俺のーーー」
「オラッ!!」

唯一怯んでいなかったリーダーらしき男。そんな彼のセリフを遮るようにエルザさんは頭部を手に持った鉄パイプで叩きつけた。

「やっちゃったぁ!!」

地面に沈む相手の男。その光景に俺たちは、なぜ彼女が不良たちから恐れられているのか理解することができた。

「ケンカだぁ!!」
「加勢に来たぜ!!エルザ!!」

そこにやってきたのはこれまたややこしくしそうなナツさんとグレイさんという問題児コンビ。そんな彼らを見た途端、幽鬼学園の女生徒がなぜか顔を赤らめていた。

「ナツさん!!」
「グレイさん!!」
「どこで嗅ぎ付けてきたのよ」
「んなことはどうでもいいから下がってろ、ルーシィ」

俺たちの前に守るように立つ二人。彼らの登場で相手の男たちは正気を取り戻したようだったが、なおも女生徒は怯んでいる様子。

「グレイ様?こんな素敵な方がいたなん・・・て!?」

どうやらグレイさんに見とれていたようだった彼女は、暴走状態のエルザさんの鉄パイプを顔面にくらいノックアウト。その後もいつもの冷静さがどこかにいっているエルザさんの無双劇が続き、どんどん幽鬼学園の生徒が地面へと倒れていく。

「私の全てを強さに変えて打つ・・・!!」

止めた方がいいのでは思い始めていたその時、突然彼女の動きが止まった。その理由は、目の前にいる花束を持った男の人。

「じ・・・ジークくん?」

その男の人は今日の彼女とのデートを予定していたジークさんという人。端正な顔立ちの彼は暴れまわる彼女の姿を見てしまい、持っていた花束を落とすと・・・

「あ・・・悪だ!!」

逃げるように走り去ってしまったのだった。
















「元気出しなよエルザ、あんなのちゃんと説明すれば・・・」
「ふっ・・・私があれくらいで落ち込んでいると思ったか?」

大好きな異性にフラれてしまったことでショックを受けてしまったエルザさんを慰めていると、辺りはすっかり暗くなっていた。彼女は気にしてませんよといった体を装っていたが、その顔は絶望に落とされたそれにしか見えない。

「よし!!カラオケ行くぞ!!今日はオールだ!!
「うん!!」
「楽しそうですね!!」
「何歌おうかな?」
「おっしゃ!!燃えてきたぞ!!」
「カラオケならミラちゃんも呼ばねぇ?」
「賛成!!」

落ち込んでいたエルザさんの励ましも兼ねて全員でカラオケへと直行!!カラオケではみんなで代わり代わりにデュエットしたり、途中から参戦したミラさんの曲で踊ったり彼女がロックバンド並みのメイクでドン引きさせたりと多いに盛り上がった。

変な人が多い妖精学園。だけどみんなで過ごす毎日はすごく楽しくて退屈しない。そんなこの学校が大好きです!!

 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
本当はOVAで行こうかと思いましたが途中で飽きたのでやめました。シリルの活躍の場面もなさそうですし。
一応つぶやきに書いてるの見ておいてもらえるとありがたいです。 
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