恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十五話 陸遜、ふと見つけるのことその五
「于吉や左慈もまた」
「そうだろう。魔性の者だ」
まさしくだ。そうした存在だというのだ。
「我等から見てだ」
「わし等はそうした者達を封じておるが」
「そうだ。刹那、そして常世をだ」
「その為にこの世界にも呼ばれた」
嘉神と示現も話す。
「そしてその我等を呼んだのは」
「あの者達だ」
「ええ、それもよくわかるわ」
荀諶はここで苦い顔になって話した。
「あの妖怪達よね」
「妖怪ね。確かにね」
荀彧もこのことには同意だった。仲の悪い従姉妹の話とはいえ。
「あの二人は完全にそうね」
「けれどその妖怪達が」
「私達の世界を救ってくれるのね」
こう話していく従姉妹達だった。
「その為に動いてくれる」
「有り難いことね」
「僕達にしてもです」
楓は真摯な顔で彼女達に話す。
「この世界を救うことにやぶさかではありませんから」
「ええ。頼りにしてるわ」
「私達にしてもね」
それはだとだ。荀彧達も応えて言う。
「正直あんな連中が山みたいに来てるし」
「これからも宜しくね」
「それでだが」
ここでだ。嘉神が二人に問うた。
「あの者達。司馬家のことだが」
「ここにその書があるかって?」
「あの家について書かれていることが」
「そうだ。そうした書はあるか」
「そんなの真っ先に探したわ」
荀彧は顔を顰めさせ首を横に振ってだ。こう嘉神に答えた。
「けれどね。そうした書はね」
「なかったか」
「その素性がわかるようなのはね」
それはなかったというのだ。既に多くの者、荀彧もだ。司馬家に対してその素性は表で知られていることは偽りだと察しているのだ。
それでだ。彼女も言うのだった。
「全くないわ」
「そうか。ないか」
「あれは絶対に碌な出自じゃないから」
名門というのは。まやかしだというのだ。
「司馬家はね」
「その辺り曹家や袁家とは違うのう」
「ええ、そうよ」
「全くね」
従姉妹達はそれぞれの主の家については断言できた。
「あんな怪しい家とは一緒にしないで欲しいわ」
「曹家も袁家もはっきりしている家だから」
「そうですよね。それと比べて司馬家は」
「光武帝が立たれてから三公だけれど」
「本当に急に出て来たのよ」
そうだとだ。二人は楓に対して話す。
「もうね。それこそ闇の中からみたいな」
「そんな感じで出て来たのよ」
「それで代々なんですね」
「そういうことよ」
「そういえば今思うと」
ここで彼女達は気付いた。
「代々高潔で優れた人間を輩出してきたけれど」
「何かっていうと政敵が不穏な死を遂げているのよね」
「ええ、もう本当に都合よくね」
「今気付いたけれど」
「では余計に怪しいのう」
翁も二人の話を聞いてこう述べた。
「あの家は」
「宦官達とは対立してきたから清流って思われてきたけれど」
「実際は」
「宦官達はだ」
嘉神がその宦官達について話す。
「所詮考えていることは己のことだけだ」
「私利私欲ね」
「他のことは考えていないっていうのね」
「所詮は小悪党だ」
嘉神から見ればだ。宦官達はまさにそれだった。
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