可愛い犬を見て

　　　　　　　　　　　　　　　　可愛い犬を見て
和田家の愛犬であるハナは薄茶色の毛のトイプードルである、ふわふわとした毛と短い足そして丸い黒い目がトレードマークだ。
　性格は極めて大人しく人懐っこい、その為家の娘で大学生である由利香も毎日彼女と一緒にいて可愛がっている。
　由利香は今は家の中でハナをソファーに座って膝の上に置いてブラッシングをしている、そのうえで母の喜久子に言った。
「ハナ今日も元気ね」
「さっきお散歩に行ったけれど」
　喜久子は娘に応えた、見れば五十過ぎであるが長い睫毛を持つ垂れ目でところどころにある黒子と共に色気を醸し出している。長い黒髪も白い肌も三十代前半のものだ。赤い唇は普通の厚さと大きさだ。一六五程の背で大きな胸を持っているスタイルもかなりのものでロングスカート姿に気品と色香がある。
「凄くね」
「元気だったのね」
「そう、その時もね」
　薄緑に染めたショートヘアで丸い小さ目の目を持ち薄めの唇を持っている娘に話した、由利香は背は母より二センチ位低いが胸は負けておらず身体の他の部分のメリハリが凄い。丸めの頭も小さくかなりのスタイルだ。
「元気だったわ」
「そうよね」
「この娘人気あるのよ」
　喜久子は娘に笑顔でこうも言った。
「凄くね」
「そうよね、ご近所からもね」
「人気があって」
　そうしてというのだ。
「皆ハナちゃんって呼んでくれてるでしょ」
「それでこの子挨拶もするしね」
　由利香はハナのトリミングをしつつ応えた。
「ちゃんと」
「ワンって鳴いてね」
「愛想もいいから」
「人懐っこい娘だから。それで他のワンちゃん達にもね」
　人に対してだけでなくというのだ。
「愛想がいいでしょ」
「どの子にも尻尾振ってやっぱり挨拶するわね」
「ワンって鳴いてね」
「そんな娘だからよね」
「皆に人気があるのよ」
「そうよね」
「しかもこの外見だから」
　このこともあってというのだ。
「余計にね」
「人気あるのよね」
「可愛いでしょ」
「ええ、小さくてね」
　猫位の大きさだ、しかも足が短いのでもう二歳だというのに子犬の様だ。犬で二歳はもう立派な成人である。
「足は短くて」
「毛はもふもふしていてね」
「目は黒くてまん丸できらきらしていて」
「凄く奇麗でしょ」
「ええ、だからね」
　それでというのだ。
「外見でもなのね」
「この子は元気なのよ」
「そうよね」
「それであんたもね」
　喜久子は今度は娘自身に対して言った。
「ハナ好きでしょ」
「大好きよ、もうずっとね」
　それこそというのだ。
「一緒にね」
「いたいのね」
「そう、お家にいる時は」
　その時はというのだ。
「もうね」
「ずっとよね」
「一緒にいたいわ」
「性格がよくて外見も可愛いから」
「ずっとね、ただね」
　ここで由利香は暗い顔になってだ、母に話した。
「百田さんみたいに」
「あの人達ね」
　喜久子は由利香が話した名前については雲った顔で応えた。