おぢばにおかえり
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第六十二話 二人乗りその十一
「友達多いわ」
「それはいいことですね」
「ええ、それでも男の子と二人きりになったことはね」
「今がはじめてですか」
「本当にね、けれどね」
本当に新鮮な感じはしないです、それで私は自分のその感情について不思議に感じながら阿波野君に言いました。
「悪い気配はしないわ」
「それは何よりですね」
「不思議だけれど」
「そうですか、僕は嬉しいですね」
「何で嬉しいの?」
「先輩と一緒だからです」
「それだけなのに?」
一緒にいるだけなのにどうして嬉しいのか、またわからないことを言う子ねと思いました。
「何で嬉しいの?」
「色々と」
「色々とじゃわからないわよ」
「そうですか、けれど僕は無茶苦茶嬉しいですよ」
「私と一緒にいられて」
「何かと」
「私阿波野君の先輩で」
それだけです。
「それでおみちとか高校のこと教えられる位よ」
「先輩にとってはそうですよね」
「それだけなのに」
「けれど僕はそれ以上にですよ」
「おみちとか高校のこと以上になの」
「嬉しいんですよ」
私と一緒にいられてというのです。
「ずっとこうしていたいですね」
「ずっと?」
「はい、ずっと」
それこそという返事でした。
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