英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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第118話
~ログナー侯爵邸・エントランス~
「な、なななななな……っ!?No.Ⅹに貴女は――――――No.VI!?」
「ほう、これはまた意外な者が介入してきたな。」
「ええ。”蒼の深淵”や”放蕩皇子”との縁の関係で”怪盗紳士”がいずれ何らかの形で介入してくる事は予想していたけど、まさか3年前の”リベールの異変”を機に結社とは距離を取った貴女まで介入してくるとはね――――――執行者No.Ⅵ”幻惑の鈴”ルシオラ……!」
ブルブランと女性の登場にデュバリィが驚きのあまり混乱している中アイネスとエンネアは興味ありげな表情でブルブラン達を見つめた。
「フフ、初対面の者達もいるようだから改めて名乗ろう。我が名は”怪盗紳士”ブルブラン。元結社の執行者No.Ⅹにあたるものだ。”怪盗B”と言った方が通りがいいかもしれないがね。」
「ハアッ!?”怪盗B”って、一時期世間を騒がしていたあの大泥棒じゃねぇか!?」
髪をかきあげたブルブランの自己紹介を聞いたアッシュは驚きの表情で声を上げ
「同じく元結社の執行者No.Ⅵ”幻惑の鈴”ルシオラ。本当は”黄昏”の件にも介入するつもりは毛頭なかったけど……”諸事情”でブルブランと共に介入させてもらうわ。」
「ええっ!?”幻惑の鈴”って確かシェラ先輩の……!」
「”幻惑の鈴”は3年前の”アクシスピラー”での戦いで生死不明になったと聞いていたが………」
「へっ、シェラザードも信じてはいたが、やっぱり生きていたみてぇだな。」
女性――――――”リベールの異変”で生死不明になった結社の執行者No.Ⅵ”幻惑の鈴”ルシオラの名乗りを聞いたアネラスは信じられない表情でルシオラを見つめ、真剣な表情で呟いたミュラーの言葉に続くようにアガットは口元に笑みを浮かべてルシオラを見つめた。
「”怪盗紳士”………”黄昏”の件に協力している結社の残党とは袂を分けた事やエステルさん達に”アルスター”の件を教えた事から連合は貴方に関しては今回の件は少なくてもオズボーン宰相側ではない事はほぼ確実だという分析をしている話は耳にしましたが、何故”紅き翼”の加勢を?」
「なに……連合には仮にも私が世話になった結社の”主”たる”盟主”殿が討たれたからね。その件に対する意趣返しと絶望的な状況でありながらもなお、”希望”を諦めず苦難の道を選んだ歌姫殿と我が好敵手たる放蕩皇子に対する私なりの激励さ。」
「ハハ、まさに君らしい激励だね、我が好敵手よ。」
アルティナの疑問に対して答えたブルブランの答えを聞いたオリヴァルト皇子は苦笑していた。
「ふふっ、以前に私達への協力の件で声をかけた時はにべもなく断ったにも関わらず、こうして私達に手を貸してくれた理由は貴女にとって可愛い”妹”までエマ達に協力するようになったからかしら?」
「”妹”……?」
「アガット殿達の反応から察するに……もしかしてシェラザード殿の事か?」
意味ありげな笑みを浮かべてルシオラに声をかけたクロチルダの言葉を聞いてある疑問を抱いたフィーは首を傾げ、ラウラは真剣な表情でクロチルダに訊ね
「ああ。彼女――――――ルシオラさんはシェラ君にとっては家族同然の存在で、遊撃士になる前のシェラ君と結社に入る前の彼女――――――”ハーヴェイ一座”という名の雑技団にいた頃の二人は本当の姉妹のように親しかったと聞いているよ。」
「ちなみにシェラ先輩の鞭やタロット占いも元々はその雑技団で学んだそうだよ。」
「シェラザードさんにそのような過去が……」
「それが何で片方は遊撃士、もう片方は結社の執行者と真逆の存在になったのよ……」
クロチルダの代わりに説明したオリヴァルト皇子とアネラスの説明を聞いたエマは驚き、セリーヌは呆れた表情で呟いた。
「……先程も言ったように”諸事情”よ。それよりも今は私達の事を気にするよりも、貴方達には為すべき事があるのだからそちらに集中しなさい。」
一方クロチルダの問いかけに対して答えを誤魔化したルシオラはトワ達に指摘し
「!!」
「へっ、確かに今がゼリカの親父をリィン達に殺される前に捕まえる絶好の機会だな……!」
ルシオラの指摘にアンゼリカが目を見開き、クロウは不敵な笑みを浮かべた。
「それを私達が許すとお思いですか……!?」
「わたし達の目的はミリアムさん達の足止めをする事ですから、例えミリアムさん達を制圧できなくてもリィンさん達がログナー侯を討てばわたし達の勝利です……!」
「”執行者”二人の加勢があるとはいえ、その程度で私達の守りを崩せると思ったら大間違いですわ!」
「ふふっ、例え”執行者”二人の加勢があろうとも結社最強の使い手だった”鋼の聖女”直轄部隊の私達を舐めてもらっては困るわね。」
「”星洸陣”を発動した我ら”鉄機隊”の真骨頂、”怪盗紳士”や”幻惑の鈴”にも見せてやろう……!」
「私も代々皇家の守護職を任せられた一族の一員として、ここは通しません……!」
その様子を見たエリゼ達はそれぞれ戦意を高めて迎撃の構えをした。
「あら、そちらこそ”蛇の使徒”の一柱であった私を舐めてもらっては困る――――――わね!!」
「こんなのはいかがかね?――――――アカシックレイン!!」
「幻惑の鈴の舞、見せてあげるわ――――――花は散ってこそ花……旋風よ、砕き散らしなさい!奥義、華散風魔の舞!!」
その時妖しげな笑みを浮かべたクロチルダが幻獣化したグリアノスの幻影を顕現させ、顕現した幻影のグリアノスはエリゼ達目掛けてブレスを放ち、更にクロチルダに続くようにブルブランは戦場に無数の刃物を降り注がせる奇術を放ち、ルシオラはその場で舞を舞って自身の得物である扇から凄惨な嵐を発生させてそれぞれエリゼ達に攻撃し、クロチルダ達の攻撃に対してエリゼ達は防御態勢を取った。
「みんな、今だよ!!」
「アクセル全開で父上やリィン君達の元に向かうよ!」
「おおっ!!」
エリゼ達が防御態勢に移った事によって先に進む為の隙が一時的にできた事を確認したトワとアンゼリカは号令をかけ、二人の号令に力強く答えた紅き翼の面々は奥へと向かい始めた。
「させません!二の型・改――――――雷鳴剣!!」
「二の型――――――疾風!!」
トワ達が奥へと向かい始めるのを見たエリゼは太刀に雷の魔力を纏わせて電光石火の速さでトワ達に襲い掛かったがそこにアネラスも電光石火の速さで迎撃してエリゼの太刀を受け止め
「ベガルタ起動――――――斬!!」
「わわっ!そうはさせないよ~、アーちゃん!!」
クラウ=ソラスと一体化したアルティナが両腕に導力エネルギーの刃を現わさせて突進するとミリアムがオーバルギアを操作してトワ達の盾となってアルティナの強襲攻撃を防ぎ
「光と闇の刃よ――――――斬!!」
「滅せよ――――――迅雨!!」
オリエが再び遠距離攻撃のクラフトを放つとミュラーも再び遠距離攻撃のクラフトを放って相殺し
「ふふっ……遅い遅い!!」
更にオリヴァルト皇子は早撃ちによる広範囲を攻撃するクラフト――――――クイックドロウをエリゼ達に放ってエリゼ達を牽制した。
「アネラス!?」
「ミリアム……!」
「殿下……!?それにミュラー少佐も……!」
一方アネラス達が自分達についていかずにエリゼ達と対峙していることを見たアガットとユーシス、ラウラは声をあげ
「――――――行け!この場は俺達が抑えるから、お前たちは先を急げ……!」
「一人でも多くの犠牲を防ぐ為にもどうか一秒でも早くログナー侯を捕らえてくれ、セドリック、アンゼリカ君……!」
「わかりました、兄上!!」
「殿下達の思いは決して無駄にしません!行くよ、みんなっ!!」
「おおっ!!」
ミュラーとオリヴァルト皇子の言葉にセドリックは頷き、アンゼリカは仲間達に号令をかけて奥へと急行した。
「さてと、この場にもう一人の好敵手たるアムドシアスがいないのは残念だが…………同じ”美”を語る者達による夢の共演と行こうじゃないか、我が好敵手よ!」
「ハハハハハッ、いいだろう!それでは共に踊ろうではないか――――――”美”のワルツを!!」
「貴方達は内戦では敵対関係だったにも関わらず、何で即座に意気投合しているんですのよ!?」
「あら、それに関してはデュバリィも人の事は言えないわよね♪」
「うむ。デュバリィも内戦で”灰色の騎士”達とやりあったとの事だが、今回の戦争で共に戦う事になっても特に支障を来すような事は起こらなかった所か、互いの長所を生かした連携まで取っているくらいだからな。」
肩を並べてそれぞれリンクを結んで迎撃の構えをして意気投合している様子のオリヴァルト皇子とブルブランの様子を見て冷や汗をかいて脱力したデュバリィは思わず突っ込み、デュバリィに対してエンネアはからかいの表情で、アイネスは口元に笑みを浮かべて指摘した。
「やかましいですわ!!無駄口を叩く暇があったら、とっとと放蕩皇子達を無力化して後ろに通してしまった連中の後を追いますわよ!!」
二人の指摘に対して顔に青筋を立てて声を上げたデュバリィは気を取り直してエンネアとアイネスと共にオリヴァルト皇子達に襲い掛かり
「フフ、貴女とはあまり話す事はなかったけど、私達は可愛い”妹”を翻弄する”姉”同士として、異色のデュエットを奏でましょうか、ルシオラ。」
「今も”妹”を翻弄している貴女と妹の”巣立ち”を見届けた私を一緒にしないでもらいたいのだけど……せっかく”歌姫”と”踊り子”、そして”観客”が揃っているのだから、舞わない方がそれぞれに対して失礼に値するわね……!」
クロチルダに声をかけられたルシオラは呆れた表情で答えた後クロチルダとリンクを結んで苦笑しながら自身の得物である扇を両手に持って構えた後オリヴァルト皇子達やクロチルダと共にデュバリィ達との戦闘を再開した。
「ふふっ、話には聞いていましたが、オリヴァルト殿下やミュラーさんは私の想像以上にリベールで良き出会いに恵まれ、そしてその方々と共に飛躍的に成長されたようですね。」
「ええ。その成長の証を今この場で継母上にも示しましょう……!」
一方苦笑しながら指摘したオリエの指摘に対して頷いたミュラーは得物を構えなおした後オリエとの戦闘を再開した。
「……エリゼちゃん、一つだけ聞いてもいいかな?」
「何でしょうか?」
「エリゼちゃんがさっき言ったエリゼちゃんのオリヴァルト殿下達に対する”本音”――――――エリゼちゃんがリィン君達の件でオリヴァルト殿下達を恨むようになり始めた時期はやっぱり去年の内戦が勃発したあたりの頃かな?」
「………そうですね。――――――最もユーゲント陛下や血統主義のエレボニアの貴族達に対して厳しい考えを抱くようになったのは兄様と共にメンフィルの”本国”に留学していた頃ですが。」
「そっか………幾ら大切な家族の件があるとはいえ、仮にも相手は”皇帝”なのに貴族のお嬢様のエリゼちゃんにそんな考えを抱かせるようになったメンフィル帝国――――――ううん、リウイ陛下達はさすがだよね~。」
エリゼと対峙したアネラスは自分の疑問に対して答えたエリゼの答えを聞くと納得した表情を浮かべて苦笑し
「……意外ですね。アネラスさんもエステルさん達程ではないにしても”リベールの異変”や”影の国”の件でオリヴァルト殿下達と親交を深めた事で今回の件で殿下達に協力する程の親しい仲であるにも関わらず、Ⅶ組の皆さんのように私の考えを否定しないのですから。」
「アハハ、リィン君達やエリゼちゃんのご両親の件では完全に”部外者”の立場の私に横から口を出す権利がない事くらいはわかっているし、何の因果か私も”影の国”に巻き込まれた件でリウイ陛下達やセリカさん達の”巨イナル黄昏”の件すらも霞んで見えるくらいの凄まじい過去を知ったんだから、そんな凄まじい過去を乗り越えて今に到っているリウイ陛下達やセリカさん達の考えや、そのリウイ陛下達寄りの考えに染まっているエリゼちゃんを否定する事は私もそうだけど私のようにリウイ陛達下やセリカさん達の過去を知る事でリウイ陛下達が体験した苦しみや悲しみを知ったシェラ先輩やオリヴァルト殿下達もできないよ。」
エリゼの指摘に対して苦笑したアネラスは静かな表情を浮かべてエリゼを見つめた。
「―――――とは言ってもその件と今の状況は別問題だから、遊撃士としてⅦ組のみんなの為にもエリゼちゃんにⅦ組のみんなの後を追わせないよ……!――――――まだまだこれからだよっ!はぁいっ!!」
そして気を取り直したアネラスは自分自身を強化する気功技――――――風花陣を発動して自分自身を強化して得物を構えなおし
「――――でしたら私は兄様の妹として兄様達の邪魔をさせない為にも押し通らせて頂きます……!」
対するエリゼも得物を構えなおした後アネラスとの戦闘を再開した。
「よーし、オーちゃんと合体したボクとクーちゃんと合体したアーちゃん、どっちが強いか勝負だよ~、アーちゃん!!ま、勝つのは当然”おねえちゃん”のボクだけどね~♪」
「既に”本来の目的”から逸脱していますし、そもそもミリアムさんとオーバルギアの場合、”合体”というのは少し違う気がするのですが………”妹”として貴女にだけは絶対に負けません――――――”おねえちゃん”!」
無邪気な笑顔を浮かべているミリアムの言葉に対してジト目で指摘したアルティナは口元に笑みを浮かべて宣言した後ミリアムとの戦闘を再開した。
~中庭~
オリヴァルト皇子達がエリゼ達にトワ達の後を追わせない為にそれぞれの相手との戦闘を再開している頃、中庭でログナー侯爵率いる侯爵邸の守りについているノルティア領邦軍との激戦を繰り広げていたリィン達はノルティア領邦軍を圧し続けていた。
「アメリア隊、右翼に一斉射撃”連射”始めっ!――――――紅時雨!!」
「リィン隊射撃部隊、左翼に一斉射撃”範囲”始めっ!――――――そこっ!!」
「お熱いのはいかがですか?――――――シュート!!」
「イエス・マム!!」
アメリア率いるアメリア隊は右翼の領邦軍目掛けて一斉に矢を連射して放ち、軍人達に指示を出したアメリアも闘気を宿らせた矢を連射して放ち、ステラ率いるリィン隊の銃を得物としている軍人達は左翼の領邦軍目掛けて広範囲攻撃をするクラフトや銃で攻撃し、指示を出したステラは得物を素早くライフルから散弾銃に持ち替えてショットガンで攻撃し、ミュゼは魔導騎銃から炎の魔剣を放つクラフト――――――ムーランルージュで攻撃した。
「盾隊、防げ!!」
「ハッ!!」
アメリア隊とリィン隊の銃部隊の一斉攻撃に対してログナー侯爵が指示を出すと身の丈程ある盾を持った領邦軍達が前に出て防いだ。
「我が右腕に宿れ、聖なる雷――――――サンダーストライク!!」
「収束せよ、昏き雷――――――ヴォア・ラクテ!!」
「ぐああああああ……っ!?」
「うおおおおおお……っ!?」
そこにアメリア達の射撃の間に魔術の詠唱を終わらせたセレーネとメサイアが光と闇、相反する属性が宿った雷を収束して放って盾を構えている領邦軍の一部を絶命させて盾を構えている領邦軍の陣営を崩し
「漆黒の霧よ、全てを蝕め――――――崩壊のディザイア!!」
「灼熱の竜巻よ、全てを焼き尽くして――――――灼熱の大熱風!!」
「ぐぎゃああああああ……っ!?」
「がああああああああ……っ!?」
更に二人の魔術が終わるとエリスとアルフィンによる広範囲を攻撃する魔術がまだ無事だった盾を構えている領邦軍を襲い、二人の魔術を受けた領邦軍は絶命するか瀕死の状態になった。
「敵陣の防御は崩れた――――――リィン隊近接戦闘部隊、一斉攻撃”乱撃”開始っ!!二の型・改――――――裏紅蓮剣!劫!!」
「フランツ隊、一斉攻撃”猛攻”始めっ!!これで沈め!ハァァァァァァ…………ッ!スラストレイン!!」
「これに耐えられるか?ハァァァァァァ…………ッ!止めだっ!!」
「オォォォォ――――――ッ!!」
「うあああっ!?」
「ぐああああっ!?」
「がふっ!?」
メサイア達の魔術によって領邦軍の防御が崩れるとリィンとフランツは号令をかけた後クルトや軍人達と共に領邦軍に攻撃を仕掛けて次々と軍人達を討ち取り続けた。
「くっ……銃で牽制しろ!!」
「イエス・サー!!」
リィン達の猛攻によって次々と自軍が崩れ続けている状況を見た部隊長は軍人達に指示をし、指示をされた軍人達は銃口をリィン達に向けたが
「させません――――――風の弾丸よ、弾けなさい――――――ウィンドバレット!!」
「落ちて、裁きの雷――――――鳴神!!」
「ぐあっ!?」
「ががっ!?」
敵陣の後衛の動きに警戒していたステラが放った風の魔力を纏った弾丸によって発生した鎌鼬と、アメリアが銃を構えた軍人達の頭上に放った矢が雷となって降り注ぐ事によってリィン達への銃撃は妨害された。
「最終防衛ライン、突破されました!!」
「隊長、もうこれ以上は抑えられません……!」
「せめてお館様だけでも……!」
一方リィン達の猛攻によって自軍が崩れ始めると軍人達は悲鳴のような声で自分達が更に劣勢になった事を報告し
「くっ……――――――お館様、我々が時間を稼ぎますのでお館様は直ちに屋敷から脱出してください……!」
部下達の報告を聞いて唇を噛み締めた守備隊長は覚悟を決めた表情を浮かべてログナー侯爵に進言した。
「お前たちの気持ちは嬉しいがそれだけはできぬ。我が身可愛さに兵達や領民達を見捨てて自分だけ敵前逃亡する等領地を預かる貴族として最も恥ずべき行為の上、ユーゲント皇帝陛下にも顔向けできぬ。それに儂はユーゲント皇帝陛下に忠誠を誓っておきながら、カイエン公達に協力し、内戦に加担してしまった。皇帝陛下に対するせめてもの償いの為にも、例え侵略者に討たれようと儂は最後まで皇帝陛下の……エレボニア帝国の為に戦う!!」
「お、お館様………」
守備隊長の進言に対して静かに首を横に振って否定したログナー侯爵は決意の表情を浮かべて自身の武装を構え、その様子を見た守備隊長が複雑そうな表情を浮かべたその時
「――――――いい加減にしてください、父上!」
アンゼリカの声がその場に響いた後アンゼリカやトワ達がその場に姿を現した!
「な――――――あの方は……!」
「ア、アンゼリカ姫様……!?」
「そ、それによく見れば皇太子殿下までいらっしゃるぞ……!?」
「姫様、すぐにこの場からお逃げください!」
アンゼリカ達の登場に驚いた領邦軍は思わず戦いを中断してアンゼリカ達に注目した。
「セドリック!?それにⅦ組の皆さんも……!」
「姉様やデュバリィ先生達の守りを突破するなんて……!」
「それにエリゼお姉様達を突破したという事は、エリゼお姉様達の前に阻んでいたベアトリースさんまで突破したという事になりますよね……?一体どうやって……」
「ふふ、何人か見かけない所から察するに、その方達が残ってエリゼさん達の相手をしているのでしょうね。」
「あの人達がトールズ時代のリィンの元クラスメイトの人達……」
「まさか本当にこの場に辿り着けるなんて……どうやら僕達は彼らを侮り過ぎていたようだね……」
一方リィン達側も驚いて思わず戦いを中断している中アルフィンとエリスは驚きの声を上げ、戸惑いの表情を浮かべているセレーネの疑問にミュゼが苦笑しながら答え、アメリアは呆けた表情で、フランツは厳しい表情でトワ達を見つめていた。
「みんな!アンちゃんを援護するよ!」
「何としてゼリカにログナー侯爵を捕えさせるぞ!」
「おおっ!!」
そしてトワとクロウは号令をかけ、アンゼリカ達と共にログナー侯爵に狙いを定めて突撃した。
「くっ……―――――ステラ、アメリア、ミュゼ!ログナー侯爵を狙撃で討ってくれ!」
「!わかりました!」
「了解!」
「はいっ!」
一方突撃してくるトワ達を見てリィンは唇を噛み締めた後ステラとアメリア、ミュゼに指示をし、指示をされた三人はそれぞれログナー侯爵を狙撃しようと銃と弓矢、導力騎銃を構えてログナー侯爵に狙いを定めたが
「させない!!」
「貫け――――――アクアスパイラル!!」
「これ以上テメェらの好きにはさせねぇぜ、ゆるフワ!」
「っ……!?」
「わ……っ!?」
「きゃ……っ!?」
それを見たフィーは双銃剣でステラ目掛けて牽制銃撃を、マキアスは回転する水の弾丸をアメリアに放ち、アッシュは跳躍してミュゼの目の前でヴァリアブルアクスを叩きつけて衝撃波を発生させてミュゼを怯ませ、三人の妨害攻撃によってステラ達は狙撃が中断された。
「セレーネ、メサイア、クルト、フランツ!接近戦でクロウ達を足止めしてくれ!エリスとアルフィンは魔法で援護を!コォォォォォ………神気――――――合一!!」
「「「「はいっ!!」」」」
「「了解!!」」
更にセレーネ達に指示を出したリィンは”慈悲の女神の力”を解放した姿になって、ログナー侯爵を周りの守備兵ごと葬る為に大技の構えをし、セレーネ達はトワ達の進路に立ちはだかったが――――――
「セイッ!ルーレの守備隊や黒竜関の領邦軍は全て連合軍に降伏した!連合の作戦自体は成功しているのだから、これ以上の犠牲を出すのは止せ、セレーネ!」
「……ッ!それでもわたくしはお兄様の”パートナードラゴン”なのですから、お兄様が戦いを続けるのでしたらわたくしも止める事はできませんわ、ユーシスさん……!」
ユーシスがセレーネに先制攻撃を仕掛けて、ユーシスの先制攻撃を防御したセレーネはユーシスと鍔迫り合いの状態で互いを睨み合った。
「光よ、煌めけ――――――昇閃!!」
「オォォォォ……!―――――ドラゴンエッジ!!」
メサイアがトワ達に光の魔法剣を放つとアガットが竜気を宿した回転撃を放って相殺し
「竜気を纏った強力な一撃を放つ大剣使い……という事は貴方がお父様とリセル様の話に出てきた”重剣のアガット”ですか……!」
「へっ、ヴァイスハイト達と再会する前にその娘―――――それも、”影の国”の脱出時に判明したヴァイスハイトがリセル以外の女と作った子供とやり合う羽目になるとか、奇妙な縁だぜ!」
警戒の表情を浮かべて自分を見つめているメサイアに対してアガットは不敵な笑みを浮かべて答えた後メサイアとの戦闘を開始した。
「ハァァァァァァ………ッ!そこだっ!!」
「深淵の力よ、我が剣に宿れ―――――セイッ!―――――そこだっ!!」
「!!」
クルトが光と闇の斬撃波を放つとセドリックがクラフト――――――アビスブレイドで一閃して無効化し、クルトの攻撃を無効化した後クルトの懐に飛び込んで苛烈な一撃―――――クイックレイドを放ち、セドリックの反撃に対してクルトは咄嗟に双剣を交差させて防いだ。
「君の相手は僕だよ、クルト……!ハァァァァァァ………!メルトスライサー!!」
「望む所だ、セドリック……!ハァァァァァァ………!レインスラッシュ!!」
お互い鍔迫り合いの状態になった二人は互いを見つめて口元に笑みを浮かべた後同時に得物を引いて再び技を繰り出し始めた。
「行くよ――――――地竜撃!!」
「セェェェェイ――――――地裂斬!!」
フランツが槍を地面に叩きつけて地面を隆起させて隆起した地面の壁でトワ達を阻んだがそこにラウラが地を這う衝撃波を放って地面の壁を砕けさせ
「巻き起これ―――――シルフィードキス!!」
「吼えよ――――――獅吼滅龍閃!!」
更にフランツが槍から竜巻を放つとラウラが大剣を振るって蒼き獅子を発生させて相殺した。
「今の技はフォルデ殿の……!という事は其方がもう一人の”ヴァンダール流槍術”の使い手であるフォルデ殿の弟君か……!」
「そっちは確か”アルゼイド流”の跡継ぎである”光の剣匠”の一人娘だったね。生憎だけど”アルゼイド流”はエーデルガルトとの模擬戦で散々見てきたから、僕には通じないよ……!」
互いを睨み合ったラウラとフランツは同時に攻撃を再開して戦闘を続行した。
「エニグマ駆動―――――エアリアル!!」
「エニグマ駆動―――――ヒートウェイブ!!」
エリスとアルフィンはトワ達に竜巻と足元から吹き上がる炎のアーツを放った。竜巻のアーツは足元から吹き上がる炎のアーツを巻き込んで炎の渦と化してトワ達を襲ったが――――――
「手伝って、セリーヌ!」
「ええっ!!」
「「magic shell(魔の結界よ!!)」」
エマとセリーヌが協力して展開した結界によってトワ達はダメージを受けて怯むことはなく、セレーネ達を突破し、トワとアンゼリカと共にセレーネ達を突破したクロウは跳躍してログナー侯爵に大技を放とうとしたリィンに襲い掛かった!
「心頭滅却、我が太刀は無―――――」
「オラアッ!往生際が悪いぜ、リィン……ッ!」
「!?それはこちらのセリフだ、クロウ……ッ!」
クロウの奇襲に気づいて大技を放つのを中断してクロウの奇襲を太刀で防いだリィンは鍔迫り合いの状態でクロウと睨み合っているとそこにトワとアンゼリカが通り過ぎた。
「しまった……!」
「こっちはあんまり持たねぇぜ!だからさっさと決めろ、ゼリカ!」
「言われなくても!トワ、思いっきりやってくれ!!ハァァァァァァ………!」
トワとアンゼリカが通り過ぎた瞬間リィンは驚きの声を上げ、クロウはアンゼリカに指示し、クロウの指示に力強く頷いたアンゼリカはトワに視線を向けた後その場で全身に闘気を溜め込み始めた。
「うん……!どうなっても知らないからね!?」
アンゼリカの言葉に頷いたトワはエニグマを駆動させて膨大な霊力エネルギーをアンゼリカに付与した。
「これぞ秘奥義!!」
「ぐあっ!?」
「ががっ!?」
そして全身に溜め込んだ闘気のエネルギーとトワに付与された霊力エネルギーを解放したアンゼリカはログナー侯爵目掛けて神速のような速さで襲いかかった。闘気と霊力を全身に纏ったアンゼリカの凄まじいスピードの突進はログナー侯爵を守る守備兵達を次々と吹っ飛ばし、ログナー侯爵の元に辿り着いたアンゼリカはログナー侯爵目掛けて神速の乱撃を叩き込み、止めに衝撃波と共に強烈な掌底を叩き込んだ!
「「インフィニティア・ストライク!!」」
「ぐわああああ……っ!?ア、アンゼリカ……貴様、まさか本当にこの私から爵位を……ッ!」
トワとアンゼリカが放った闘気と霊力による限界を超えた身体能力の強化で神速の乱撃を放つ協力技――――――インフィニティア・ストライクによって大ダメージを受けたログナー侯爵はその場で仰向けに倒れて信じられない表情でアンゼリカを見つめ、ログナー侯爵が地面に倒れるとその場はまるで時が止まったかのように全員戦いの手を止めた――――――!
後書き
今回の話でルーレ篇はようやく決着しました(汗)ただ、決着直後のイベントの話は残っていますが(オイッ!)なお、リィン達が戦っている場所にトワ達がかけつけてくる場面のBGMは創の”The Destination of FATE”だと思ってください♪
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