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八条学園騒動記

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第五百九十七話 毎日すべきことその五

「普通にね、けれどね」
「日本酒は駄目でか」
「本当に昔だったら」
「酒は飲めなかったな」
「日本酒だけだとね」
「そうか」
「自分でも思うよ。上杉謙信さんみたいに飲むとか」
 無類の酒好きで知られている、毎日夜になると縁側に座って月や星を眺めながら塩や味噌を肴に楽しんでいたという。
「無理だったね」
「日本の戦国大名だったな」
「毘沙門天を信仰していたね」
「物凄く強かったんだったな」
「生涯結婚しないでね」 
 毘沙門天信仰の掟で女色が禁じられていたのだ、この時代ではそうした掟はもうないものとなっている。
「そうした人だったよ、ただね」
「お酒はか」
「物凄く好きで」
 それでだったのだ。
「毎日夜にはね」
「飲んでいたんだな」
「あと女の人は駄目だったけれど」
「男の方はか」
「よかったから」
「当時の日本は今の連合並にそっちは普通だったな」
「そうだったよ」 
 それで咎められた者はいなかった。
「何しろ日本の歴史で同性愛で捕まった人いないから」
「一人もだよな」
「それが罪になったことないから」
「織田信長さんもそうだったな」
「武田信玄さんも伊達政宗さんもね」
「はっきりと歴史書に書かれているな」
「普通のこととしてね」
 このことで彼等が批判されたことはない。
「そうだったんだ」
「そうだな」
「それでね」 
 菅はさらに話した。
「謙信さんは男色はよくて」
「酒もか」
「もう無類ので」
「日本酒どんどん飲んでいたんだな」
「当時は濁酒だったよ」
 菅が飲めないその酒だったというのだ。
「もうそれをね」
「毎晩どんどんか」
「飲んでいたか」
「そしてね」
 それでというのだ。
「僕から見ればね」
「もうそれはか」
「絶対無理だよ」
「そうなんだな」
「お酒はね」
 まさにというのだ。
「日本酒は本当に苦手なんだ」
「お酒も色々だな」
「そうだよね、ウイスキーは飲めても」
 実際に今普通に飲んでいる。
「どうしてもね」
「そちらはか」
「駄目で」
 それでというのだ。
「飲んでいないよ」
「そうなんだな」
「日本酒ってウイスキーよりアルコール度低いけれど」
「それもずっとな」
「僕が今飲んでいるのは三十五度だから」 
 牛の干し肉を食べつつ言った。
「日本酒は十五度でね」
「倍以上違うな」
「けれどウイスキーは飲めるから」 
 ここでまた一口飲んだ。 
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