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八条学園騒動記

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第五百九十六話 カルボナーラその四

「おそらくね」
「この皿でだな」
「あんたも限界でしょ」
「お前もだよな」
「ええ、これを食べきるわ」
 十二皿目をというのだ。
「絶対にね、けれどね」
「それが限界か、俺もな」
 フックも言ってきた。
「実はな」
「限界なのね」
「この皿でな、どっちが食いきるか」
「その勝負ね」
「俺は食う」
 フックは己の決意を述べた。
「絶対にな」
「そうするわね」
「もうこの十二皿目でな」
「限界だから」
「流石に十三皿目は無理だ」
 それは絶対だというのだ。
「お前もそれならな」
「もうっていうのね」
「俺はこのスパゲティを食ってだ」
 それでというのだ。
「お前に勝つ」
「それは私の台詞よ」
 これがラビニアの返事だった。
「この十三皿目を食べてね」
「そしてか」
「それで食べきって」
「俺に勝つんだな」
「そうしてやるわ」
 ラビニアの目は血走っていた、そのうえでの言葉だった。
「絶対にね」
「そう言うか、しかしな」
「そうなるつもりはないわね」
「俺は絶対にだ」
 フックは意を決した目で述べた。
「食いきる」
「そうするっていうのね」
「何があってもな」
「それは私の台詞よ、見てなさい」
 正直かなり苦しい、だが。
 ラビニアは不敵な笑みを作ってそうしてフックに言った。
「食べきるわよ」
「よし、じゃあな」
「どっちが食べきるかね」
「勝負だ」
 フックは応えてだった。 
 自分のカルボナーラを食べた、それはラビニアも同じで。
 全てを賭けんとして食べた、そして何とかその皿を食べきったがそれはフックも同じであった。それで。
 ラビニアはフックに顔を向けて彼に問うた。
「まだいけるかしら」
「そうしたいがな」
 それでもとだ、フックは言い返した。
「残念だがな」
「もう、なのね」
「食えない」
 返事は一言だった。
「流石にな」
「そうなのね」
「そう言うお前はどうだ」
「食べたいのは山々でも」
 その気はあってもというのだ。
「もうね」
「腹が一杯か」
「だからね」
 悔しい、そうした顔で言った。
「もうこれでね」
「食わないか」
「そうするわ」
 こうフックに言った。 
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