八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百九十五話 正門を去ってその十
「自分への叛乱はな」
「自分で抑えられなかったの」
「だから失脚してな」
元老院に見放されたのだ。
「そしてだ」
「自決に追い込まれて」
「悪く書かれた」
「そうなのね」
「歴史ではこうしたこともある」
事実が歪曲されることがだ。
「ままにしてな」
「それは厄介ね」
「ネロも反面教師にされてきたが」
「実際はそうでもないのね」
「確かにかっとなるところと自分で軍隊を率いられないことは欠点だ」
この二つはというのだ。
「だが政争にも強かったしな」
「そういえば実の母親とか弟さんとかを殺したね」
ロミオはネロのこのことを指摘した。
「そうだったね」
「残念だが長い間君主になると骨肉の争いは普通だった」
「ネロもなんだ」
「その中にいただけだ」
「ローマ皇帝だったから」
「だがその中で生き残ったしな」
母や弟を倒してだ。
「これは酷い話だがあくまで当時はな」
まさにというのだ。
「君主になるとだ」
「骨肉の争いは普通だったんだ」
「どの国でもな、この国だとな」
「日本だとだね」
「源氏はまず身内で殺し合った」
このことは軍記ものでも詳しい。
「そして誰もいなくなった」
「最悪だね」
「こんな家もあった、まずは敵の家と争う前にだ」
「身内で殺し合ったんだ」
「そこで源義経さんも死んだ」
「ああ、頼朝さんに殺されたね」
「兄のな」
「そうだったね」
「そうしたことを繰り返してだ」
そうしてというのだ。
「最後はだ」
「誰もいなくなったんだね」
「だからネロは君主だったからにはな」
「普通だったんだ」
「いいか悪いかは別にしてな」
「そうした時代だったんだね」
「当時はな、しかし政争に強く政策もだ」
こちらもというのだ。
「別にだ」
「悪くなかったんだね」
「ローマを普通に治めていた、市民へのサービスもよく災害対策も的確だった」
ローマで大火災が起こった時即座に陣頭指揮を執りその後の救助や救済も積極的に行って多くの市民を助けた。
「そして反乱分子もな」
「ローマのだね」
「見極めてだ」
「抑えていたんだ」
「そうしていた、ただその反乱分子がな」
ローマから見たその者達はというと。
「キリスト教徒だった」
「ああ、それで弾圧していたんだ」
「カリギュラから弾圧していたが」
「あれはローマとしては当然だったんだ」
「そうだった、弾圧は今の連合では論外だが」
それでもというのだ。
「ローマとしてはな」
「当然だったんだね」
「そしてそのキリスト教徒にネロの政敵が悪く言ってだ」
「暴君になったんだ」
「そういうことだ」
「成程ね」
「実際はムラがあったが」
政策もそうだが人間的にもというのだ。
ページ上へ戻る