おっちょこちょいのかよちゃん
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112 気の強き宮城女
前書き
《前回》
名古屋での護符の奪取に失敗した赤軍は次の手を考える。そして戦争主義の世界では赤軍へ半ば失望の念を持ちながらも杖、護符、杯を奪取を催促する。そして平和を正義とする世界では様々な問題に頭を悩ませていた!!
クリスマスの朝、かよ子は母からある質問をされる。
「かよ子、藤木茂君ってかよ子のクラスメイトの男子でしょ?」
「え?う、うん・・・」
「その藤木君の行方不明なんですって」
「え!?」
かよ子は驚いた。確か藤木は野良犬から逃げる時、自分を見捨てて笹山だけ連れて逃げた件および合唱コンクールにて笹山の独唱部分に聴き惚れて歌い出しが遅れた件でクラス全員から非難を受けていた。それを気にしてここからいなくなったのか。単なる家出ではないとかよ子は思った。
「そういえば、藤木君は、合唱コンクールの後、歌い出しが遅れて皆から責められてたよ。あと笹山さんから嫌われた時からずっと元気がなかったんだ・・・」
「もしかしたらそれを気にしていなくなったのかもしれないわね・・・」
宮城県仙台市。東北地方最大の都市である。そこに一人の男勝りな女子高生がいた。名は青葉政美。彼女もまた四月の地震もどきの謎の現象以来、元の日常が失われた感があった。
(どうしたのかな・・・)
そして五月に入ったある時、彼女の住む自宅近辺の市街地で爆発が起きた。その時、彼女は下校途中だった。
「な、何!?」
政美は現場へと急ぐ。そこには一人の外国人風の男がいた。宮城県警達が止めようとするが、男は地面を爆破させて警察官達を吹き飛ばした。
「あいつ・・・!!」
政美は怒りに燃えてその場へ突っ込んだ。
「やい、あんた!ここで何暴れてんのさ!」
「は!?女は黙ってろ!お前もここで死に至らしめてくれる!」
男は政美に銃を構えた。銃から出てきたのは弾ではない。光線だった。政美は何とか避けた。
(なんだよ、あの光線銃!?SF漫画かよ!!)
政美はそんな時、男が破壊したと思われれる建物の瓦礫に躓いて転んでしまった。近くの道路が念力のように浮かび、政美の頭上を襲う。避けられない。このままでは圧殺される。
(し、死んでたまるか・・・!!)
だが、道路の岩は政美に当たらず、その場で粉々になった。
「え・・・?」
政美は訳が分からなったが、兎に角、相手に近づく。
「この町で暴れんな!!」
「うるさいね!」
男は光線銃で攻撃する。だが、彼女にはなぜか撥ね返される。政美は怒りの拳をその男のどてっぱらに突き刺した。もう一発、今度は顔を殴る。男は無様に退散した。
「なんだよ、あれ・・・」
政美はあの男は只者ではないと思った。だが、警察に逮捕されたわけではないので、また暴れる可能性がある。とはいえ、これ以上相手にしてもキリがないと思い、彼女もその場を去った。と、その時・・・。
「何という事か・・・。我が街をこのような荒れ地にするとは・・・!!」
別の男がその場で悲観そうに見ていた。右目に刀の坪を眼帯代わりに付けている。
「あんたは?」
政美はその武士のような人間に話かけた。
「我が名は政宗。この地を城下町として栄えさせた」
(じゃあ、あの、伊達政宗って事・・・?)
政美はそう推測した。
「お主、たった今、あの男と戦ったであろう」
「うん、でも、あいつはまたやって来るかもしれないよ」
「それにお主は何と武装の能力が備わっているのか」
「ブソーのチカラ?何それ?」
「要は凡人とは異なる能力をお主は宿しているという事だ。お主、名は何と申す?」
「青葉政美・・・」
「青葉政美、か・・・。私が築城した城や私と似せたような名だ・・・。そうだ、青葉政美、あの男は残虐なる者だ。奴に留めをさせるよう、この道具を授けよう。今、私がいる世界の上の者から預かっている物だ。どうやらこれはお主に相応しそうだ」
政宗が政美に手渡した物はマフラーのような物だった。
「これは首に巻く物である。名は確か『まふらー』とか言うたな。これを巻けば九つの能力を行使できる」
「九つの能力?」
「そうだ、一つ目は過去や未来を見通したり、物を浮かせたり、瞬間移動したりする事ができる超能力、二つ目は空中を飛行する能力、三つ目は相手や物を探知する能力、四つ目は全身を兵器とする能力、五つ目は堅い防御と怪力の能力、六つ目は熱に強くなり、炎を噴き出す能力、七つ目は動物、無機物関係なく変身できる能力、八つ目は魚のように水中でも活動できる能力、そして九つ目は目にも止まらぬ速さで移動できる加速能力だ」
「へえ、ありがとう。是非使ってみるよ」
「だが、私利私欲にはあまり使ってはならぬぞ。本当に命を賭けた戦いの為に使用するのだ。何かあったら私も戦おう」
「ありがとう」
「では、私は失礼する。また会おうぞ、新たなる戦士・・・」
政宗はそのまま去った。
「九つの能力か・・・。まるで『サイボーグ009』そのものだね・・・」
政美はそのマフラーをそのまま持って帰った。
そして、翌日、授業中に爆音が聞こえた。そして、政美の通う高校が爆発した。体育の授業をしている生徒達が次々と避難する。政美のクラスの皆は窓から校庭を見た。地面が爆破されている。
(あれは・・・!!)
その場には昨日の男がいた。政美は鞄の中からマフラーを取り出し、首に巻いた。
(飛行能力もあるって政宗は行ってたね・・・)
政美は窓から飛び出した。そして飛行した。
「やい、あんた!」
「お前は昨日の女か」
「もう、暴れさせないよ!」
「ほう、このヴャチェスラフ様に盾突く気か!」
「悪いけど、昨日の私とは違うよ!」
政美は両腕をショットガンのようにに銃撃した。ヴャチェスラフに命中した。
「うおおお!!」
「これだけで倒れないなら・・・!」
政美は超能力を行使した。瞬間移動する。
「どこだ、どこへ行った・・・!?」
そして加速能力を使用しながら左手から長いナイフを出し、迅速にヴャチェスラフの首を斬った。
「あ、あああ・・・!!」
ヴャチェスラフは光となって消滅した。
「私は、奴を倒したの・・・?」
政美は気になった。
「やったな。青葉政美」
「え?」
そこに政宗がいた。
「奴は戦争を正義とする世界の人間だ。完全に葬り去られたのだ」
「ありがとう」
「だが、これですべてが解決したわけではない。これから激しい戦いが待っているのだ。どうか我々の世界の人間と共闘して欲しい」
「分かったよ。いつでも戦ってその戦争を正義としてる下衆なやつらを叩きのめしてやるよ」
「そうか、では、また会おう・・・」
政宗はどこかへと消えて行った。
「戦いね・・・」
そして彼女もまたすべてが赤軍による仕業と分かり、赤軍や戦争を正義とする世界の人間を憎むようになった。そして時は過ぎ、クリスマスの時にもまた仙台の地で暴れていた異世界の人間をそのマフラーの能力を駆使して葬り去ったのである。
後書き
次回は・・・
「神奈川県警と群馬県警」
神奈川県警に所属する警官と群馬県警に所属する警官はお互いライバル同士だった。その正義感の強い警官二人にもフローレンスとイマヌエルが現れ、とある道具を授かっており・・・。
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