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オズの木挽きの馬

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第七幕その四

「本当にね」
「美味しくて」
「皆楽しんでるんだよ」
「そうなんだね」
「そして私達はその皆の笑顔を見て楽しむ」
 ガラスの猫は恵梨香のすぎ右から言いました、彼女の右には木挽きの馬がいて二匹共座ってそこにいます。
「そういうことね」
「そうなるね」
 川獺が答えます。
「君達は食べないからね」
「そして飲みもしないわ」
「そうした身体だからね」
「皆の笑顔がね」
 それがというのです。
「私達の食べものであり飲みものでね」
「ご馳走だね」
「そうなのよ」
「そのご馳走をね」
 木挽きの馬も言います。
「楽しんでいるよ」
「そうじゃな、あとな」
 小豆洗いが言いました。
「まだな」
「まだっていうと」
「実はわし等にもう一人来ておるんじゃが」
「ここにいる人達が今いる妖怪さん達の全部じゃないんだ」
「もう一人おる」
「それは誰かな」
「妖怪博士じゃ」
 この妖怪だというのです。
「元は人間でな」
「人間も妖怪になるんだね」
「日本ではな、元々は漫画家でな」
 そのお仕事をしていた人でというのです。
「ずっとわし等のことを描いて親しんでおってな」
「それで妖怪になったんだ」
「そうした人じゃ、人としての天寿を全うして」
 そしてというのです。
「今ではじゃ」
「妖怪になっていてなんだ」
「わし等と一緒にここまで来たが」
「近所のお家に呼ばれてね」
 川獺が鯉のあらいを食べつつ言ってきました、山葵醤油に付けて食べてそうしてお酒も飲んでいます。
「ずっとおいら達のことお話しているんだ」
「そうなんだ」
「だからね」
「今はだね」
「ここにはいないよ」
「その妖怪博士さんって」
 恵梨香は揚げたものを食べながら言いました。
「まさか」
「恵梨香は知ってるのかな」
「漫画家さんって聞いたから」 
 それでとです、恵梨香は木挽きの馬に答えました。
「心当たりがあるの」
「そうなんだ」
「日本じゃ有名な人で」
 それでというのです。
「私も知ってるわ」
「そうした人なんだ」
「ええ、その人が来られたら」
 それならというのです。
「私も言うわ」
「そうするんだね」
「絶対にね」
「お前さん達は何を飲むのかのう」
 子泣き爺がお酒を飲みつつ言ってきました。
「わし等は酒じゃが」
「やっぱりジュースか」
 砂かけ婆も言います。
「そっちか」
「ええ、サイダーにね」
 グリンダが言ってきました。 
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