FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」
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DEAR KABY
前書き
ただいま、ラリカにどんなお仕置き方法を言わせるかと
リートの技名とどんな技にしようか、を悩んでおります
じゅううう...ガチャ
ナツが窓の一部を溶かし、鍵を開ける。
「こうやってやらせると、ナツの炎って便利だよなぁ」
「俺はこんなやり方気に入らねぇけどな」
5人は屋敷に入り込んだ。
「ここは…物置かしら?」
「みたいですわね」
「ナツー、リートー、見てみてー」
「おっ、似合ってんぞハッピー」
「それはいいけどあまり騒ぐなよ、特にナツとハッピー」
ハッピーが、ドクロの仮面を被って楽しんでいる。
ルーシィとリート、ラリカは一つずつ部屋の扉を開け、中を確認していく。
「なぁこうやって一つづつ確認していくのかぁ?」
「トーゼン」
「本当は別れる方が効率的だけど、潜入がバレてるかどうか分からない以上は、単独で行動するわけにもいかないし...目離したらなにするか分からないやつもいるしな...」
「誰か取っ捕まえて本の場所聞いた方が早くね?」
「見つからないように任務を遂行するのよ。忍者みたいでかっこいいでしょ?」
「に、忍者かぁ」
「...単純な人ですわね」
「...やべっ侵入バレた」
「えっ?」
リートがそう言うと地面が盛上がり、メイド軍団が飛び出してきた。
「メイド!?ってかリートなんでわかったの!?」
「音」
「リートは耳がいいんですわよ」
「ハイジョ シマス」
「うぉぉぉ!」
ナツが慌ててマフラーで顔を隠す。
「ナツ!んなことやってる場合じゃねぇ!やるぞ!」
「忍者ぁ!!」
「オラァ!」
炎と氷を、足に纏ったナツとリートは、メイド達を蹴り飛ばす。
「まだ見つかるわけにはいかんで御座ござるよ、ニンニン」
「メイドが出てきた時点で見つかってるっての」
「ってか普通に騒がしいわよあんた達」
「とにかく!ここにいるとまた誰か来ますわ、適当な部屋にでも隠れませんと!」
「そうね!」
「来るなら来いでござる」
「いいから隠れるぞ」
バタン!
「ふぅ危なかったぁ」
「ってかアウトだろ」
ナツ達が入った場所には、本がたくさん置いてあった。
「うおっ!なんだココ!本ばっか!」
「あいっ!」
「ここに日の出《デイ・ブレイク》もありそうだな」
「これだけあれば、どこかにはあるんじゃありませんの?」
リート達は本を探し始める。
「エバルー公爵って頭悪そうな顔してるわりには蔵書家なのね」
「人は見かけによらねぇもんだな」
「うほっ!エロいの見っけ!」
「魚図鑑だー!」
「なんだこれ?字ばっかだな」
「ナツゥ普通はそうだよ」
「おめぇら真面目に探せよ!」
「あら?きれいな本、金色のブックカバーですわ、デイ...ブレイク...」
「えっ?」
日の出《デイ・ブレイク》は、意外とあっさり見つかった。
「はやーー!ってかこんな簡単に見つかっていいの?」
「さて、燃やすか♪」
「そうだな、ナツ頼んだ」
「ちょっ、ちょっと待って!」
「どうした?」
「これ!ケム・ザレオンの本じゃない!魔導士でありながら小説家だった人よ!」
「「「「へぇー」」」」
ルーシィ以外は、興味が無さそうにしていた。
「あたし、大ファンなの!作品全部読んだと思ってたけど、これって未発表作ってこと!?」
「いいから、早く燃やそうぜ」
「そうだな、誰か来てからじゃ遅いし」
だ、ダメよ!これは文化遺産よ!燃やすなんてとんでもない!」
「仕事放棄だ」
「ですわね」
「うぐっ、大ファンだって言ってんでしょ!!」
「今度は逆ギレか」
「じゃ、じゃあ燃やしたってことにしといてよ・・・これはあたしが貰うからぁ」
「駄目だ、嘘はよくない」
「そんなぁー」
ルーシィが涙目になっていると
「なるほどなるほど~」
エバルーの声がどこからか聞こえる。
「...下だ!」
リートがそう叫ぶと、エバルーが床下から飛びだしてくる。
「貴様らの狙いは『日の出』だったのか」
「ほらー、もたもたしてっから来ちまったじゃねぇか」
「ご、ごめん...」
「つーか、この屋敷の床ってどうなってんの?もしくはやっぱり、あいつの前世もぐらなの?」
「確かにもぐらみたいな体型してますわ」
「体型かよ!」
「フン!魔導士共が何を躍起になって探しているかと思えば...」
そこでエバルーは、ルーシィが持っている本を見る。
「そんなくだらん本だったとはな!」
「え?」
「人が書いた本を下らん呼ばわりとは、あんまり感心しねぇな」
「黙れ!我輩の偉さも知らん若造が!」
くだらん本と聞いたルーシィは、
「じゃあ、この本貰ってもいいかしら?」
と言うが
「嫌だね、我輩の物は我輩の物」
「ケチ」
「黙れブス」
「燃やしちまえばソレまでだろ?ナツ!」
「おうっ!」
「ダメ!絶対ダメ!」
それでもルーシィは、本を手放そうとしない。
「ルーシィ!!」
「仕事だぞ!!」
「じゃあ、せめて読ませて!」
「「「「ココで!?」」」」
「気に食わん!エラーい我輩の本に手を出すとは...!バニッシュブラザーズ!!」
エバルーがそう叫ぶと、書庫の隠し扉が開き、そこから2人の男が現れた。
「やっと仕事か」
「仕事もしねぇで金だけも貰ってたらママにしかられちまうぜ」
1人はバンダナをした背の高い男。
もう1人は顔に『上』『下』『左』『右』の文字が書かれていて、大きなフライパンのような物を持っている男だった。
「グッドアフタヌーン」
「こんなガキ共がフェアリーテイルの魔導士かい?ママも驚くぜ」
「傭兵ギルド、『南の狼』、ですわね」
「こんな奴らを雇ってたのか」
リートとナツは、男達、バニッシュブラザーズを睨む。
「ボヨヨヨヨ・・・『南の狼』は常に空腹なのだ!覚悟しろよ?」
エバルーが得意げに笑った。
「これは!」
そこで、急に本を読んでいたルーシィが立ち上がり、ナツ達に叫んだ。
「ナツ、リート!少し時間を頂戴。この本にはなにか秘密があるみたいなの・・・!」
「秘密?いいけど時間って、オイ!どこ行くんだよ!」
「どこかで読ませて!」
「マジかあいつ」
ルーシィは部屋を出ていき、どこかで本を読むことにした。
「しゃーねぇ、どの道あのパニックブラザーズって奴らとは戦うことになりそうだし、ナツ!ちょっと付き合え!」
「おう!」
「「パニックブラザーズじゃない!!バニッシュブラザーズだ!!!」」
(秘密だと?我輩は気付かなかったが、財宝の地図でも隠されているのか?)
エバルーはそう思案すると、床下に沈み込んでゆく。その最中、バニッシュブラザーズに命令した。
「娘は我輩が捕らえる。小僧共を消しておけ!」
「やれやれ、身勝手な依頼主だ」
「全くだ」
「ここは俺たちでやる。ハッピーとラリカはルーシィを頼んだ」
リートは、ハッピーとラリカに指示を出す。
「あいさー!!」
「お二人ともお気をつけてですわ!」
「「おう!」」
「カモン!火と氷の魔導士!」
「ん?なんで俺らが火と氷を使うって知ってんだ?」
「貴様らだろう?メイドどもを倒した輩は、メイドの服の一部が焦げ、一部には氷がついていた」
「よく見てんなぁ、お前らもエバルーって奴と同じ趣味か?」
「「違う!」」
「どうでもいい、俺たちの魔法知っても立ち向かってくるってことは覚悟はできてるんだろ?」
「そうだな」
「黒コゲと」
「永久冷凍される覚悟がな」
「残念ながら火の魔導士は私の最も得意とする相手、そしてそれを利用すれば氷の魔導士の討伐もたやすい」
「「ふーん」」
「どうやらフェアリーテイルのメンバーは自分達が最強か何かと勘違いしてるようだ」
「しかし、所詮は魔導士、我々傭兵には敵うまい」
「どうでもいいからさっさとかかってこい、こっちはルーシィを追いかけて行った豚まんじゅうも捕まえねぇといけねぇんだからよ」
「ブハッ!」
ハッピーとラリカに追わせたとしても、リートは内心不安だったため、口調がどんどんと荒くなる。
そして、豚まんじゅうと聞いたナツが吹き出す。
「兄ちゃんコイツら完全になめてるよ」
「焦るな、相手が火の魔導士と氷の魔導士ならどのみちイージーな仕事だ」
バニッシュブラザーズが地面を蹴り一瞬で二人の前に移動した
「なに!?グボォァ!」
「ちっ!」
ゴン!
「ぐはぁ!」
ナツはフライパンのような武器に、吹き飛ばされるが、
リートは、ソレを右腕に張った氷で防ぎつつ、高身長の弟を殴り飛ばし、ナツの飛ばされた廊下に飛び出す。
「兄ちゃん、あの青髪結構やるぜ」
「ああ、そのようだな」
「ナツ!無事か?」
「あぁ、イッテー畜生!」
「ったく油断しすぎだ」
廊下に吹き飛ばされたナツも怪我はなく、すぐに起き上がる。
そこへバニッシュブラザーズが廊下に出て来て、即座に対峙する。
「貴様らは魔導士の弱点を知っているか?」
「乗り物に弱いことか!?」
「それは魔導士とは関係ぇねぇだろ」
「魔導士の弱点それは肉体」
「肉」
「体?」
そう言うと、バニッシュブラザーズは再び二人に攻撃をするが、二人はそれを難なくかわす。
「魔法とは、精神力を鍛錬せねば身に付かぬもの」
「結果、魔法を得るには肉体の鍛錬は不足する」
「力説してるとこ悪いけどな、俺らに攻撃をかわされ続けてる時点で説得力皆無だぞ?」
「くそっ!なぜ当たらん!」
魔導士の弱点を聞いてる間にも、ナツとリートは余裕そうに攻撃をかわす。
「なるほど、貴様らのスピードは認めてやる」
「兄ちゃん、あの技をやろうあれなら避けられねぇ」
「?」
「合体技だ!」
「OK」
「!?」
「俺たちがなぜバニッシュブラザーズと呼ばれているか教えてやる」「消える、そして消すからだ」
バニッシュブラザーズの弟が、兄のフライパンに乗り飛び上がる。
「ゆくぞ!天地消滅殺法!」
二人は飛び上がった弟を見上げている。
「天を向いたら 地にいる!」
「ぐっ!」
バッコーン!
リートが、フライパンで横に吹き飛ばされた。
「リート!」
「地を向いたら 天にいる!」
「ふぼっ!」
ナツが、降ってきた弟に押し潰される。
「これぞバニッシュブラザーズ合体技
『天地消滅殺法』」
「これをくらって生きていたものは...」
ガラガラガラ
「生きていたものは...なんだよ?」
「あっぶねぇー、ナイス リート!」
ナツもリートも平然としていた。
リートは自分の脇腹と、ナツの頭に、氷で膜を張って防御していた。
「氷竜の剛壁」
「バカな!」
「コイツら本当に魔導士か!?」
「お前らのコンビネーションはよくわかった」
「今度はこっちのコンビネーションを見せてやる」
ナツとリートは同時に飛び出す
「火竜の鉄拳!」
「氷竜の硬拳!」
炎と氷を纏った拳が、バニッシュブラザーズを襲う。
「ぐはぁっ!」
「ぐぅぅっ!」
バニッシュブラザーズの二人はなんとか耐えるも、ナツとリートは攻め続けていた。
「火竜の劍角!」
「兄ちゃん!」
「焦るな!落ち着いて見ればかわせないことは...なっ!?」
バニッシュブラザーズの足下に、半径2M程の円形の氷の床が出来上がっていた。
「氷竜の陣円」
足元をとられたバニッシュブラザーズに、ナツの攻撃が決まる。
「「ぐはぁ!」」
まとめて吹き飛ばされた兄弟は、壁に激突するが、なんとか立ち上がる。
「意外とタフだなあいつら」
「ならこれでぶっ飛べ!」
ナツは大きく空気を吸い込みブレスを吐く。
「火竜の咆哮!」
「!!来た!火の魔法!」
「終わった」
そう言うと兄の方は、フライパンをひるがえしナツの炎を吸収する
「対火の魔導士・・・兼 必殺技!」
「火の玉料理《フレイムクッキング》!!!!」
「!?」
「私の平鍋は全ての炎を吸収し、噴き出す!」
ナツの炎がナツとリートに迫る。
「妖精の丸焼きだぁ!」
「炎の魔力が強いほど自分の身を滅ぼす」
しかし燃え上がる炎から、2つの人影が飛び出す。
ナツとリートだ、ナツは元々火が効かず、リートは一瞬で自分の周りの炎を凍らせた為無傷だった。
「何!!!?」
「火が効かねぇ!?」
「聞こえなかったか?」
「いや、聞こえてただろ?」
ナツが弟の顔をつかみ、リートが兄の顔をつかむ。
「「ぶっ飛べ!!」」
「火竜の翼撃!」
「氷竜の凍柱!」
ナツは炎で相手を凪ぎ払い、
リートは掌から氷を作り、それを柱のように壁まで伸ばして激突させる。
「よしっ!」
「やったな!」
ナツとリートはハイタッチをする。
「さーてルーシィを探しに行くか」
「そうだな、ハッピーとラリカに任せたとはいえ心配だ 」
・・・
『地下水道』
パラパラパラパラ
ルーシィは、風読みの眼鏡を使い、通常の何倍ものスピードで本を読んでいた。
「ふぅーっ ま、まさかこんな秘密があったなんて...この本は燃やせないわ」
「すぐにカービィさんに届けないと」
「ボヨヨヨヨ...まさか貴様も風読みの眼鏡を持ち歩いているとは、主もなかなかの読書家よのぅ」
ルーシィが立ち上がると、後ろの壁からエバルーの手が出てきてルーシィの腕を捕まえる。
「痛っ!」
「さぁ言え!何を見つけた!その本の秘密とは一体なんだ!」
「アンタなんかサイテーよ...文学の敵だわ...」
「文学の敵だと!?我輩のような偉~~~くて教養のある人間に対して...」
「変なメイド連れてる奴が教養ねぇ」
「我輩の金髪メイドを愚弄するでないわ!さぁ言えどんな秘密だ!言わんとこの腕をへし折るぞ!」
「ベェーー」
ルーシィは抵抗する
「調子に乗るな小娘がぁ!その本は我輩の物!すなわち秘密も我輩の物なのじゃぁ!」
ボキッ!
ルーシィの腕を折ろうとしたエバルーの腕に、ハッピーが蹴りを入れる。
「ハッピー!ナイス!かっこいい!」
くるくるくる...ドボン
そのままハッピーは下水の中へ、
「ルーシィ!大丈夫ですの!」
「ラリカ!」
「おのれ!なんなのだこの猫どもは!」
「バッビィべぶる」
「ハッピーです、といってますわよ」
「てか、あんた上がってきなさいよ」
「びぶ...びぼびいべぶる」(水きもちいいです)
「下水ですわよ?」
「形勢逆転ね、この本を渡すって言うなら見逃してあげてもいいわよ」
「ボヨヨヨヨ、たかが猫が2匹増えたぐらいで我輩の魔法!土潜ダイバーは破れんぞ!」
「それ、魔法でしたのね」
「この本に書いてあったわ。内容はエバルーが主人公の冒険小説。内容は酷いものだったの」
「吾輩が主人公なのは素晴らしいことだ。しかし内容はクソだ。ケム・ザレオンのくせにこんな駄作を書きおって。けしからんわ!!」
「あんた、無理やり書かせといて何でそんな偉そうなわけ!?」
「偉そう?吾輩は偉いのじゃ!書かぬという方が悪いに決まっておる!」
「あんたがケム・ザレオンを独房に入れてた間、彼はどんな想いでいたか分かる!?」
「そんなもの、吾輩の偉さに気づいたに決まっておる!」
「違う!自分のプライドとの戦いだった!書かなければ家族の身が危ない!でもあんたみたいな大馬鹿を主人公にした物語を書くなんて作家としての誇りが許さない!」
「貴様、なぜそこまで詳しく知っておる」
「この本に全部書いてあるわ」
エバルーは、自分の予想以上に事を深く知っているルーシィに対して、疑問を投げかける。
するとルーシィは、日の出を前に突き出し言った。
「彼は最後の力を振り絞ってこの本に魔法をかけた」
「ケム・ザレオンが残したかったのはあんたへの言葉じゃない。本当の秘密は別にあるんだから!」
「なに!?」
「本当ですの?」
「ええい、なんとしてでも聞き出してやる!我輩の魔法が1つだけだと思うなよ!」
そう言うとエバルーも金の鍵を構えた。
「え!?」
「まさか、ルーシィと同じ魔法ですの?」
「開け!処女宮の扉・・・バルゴ!」
鍵から光が溢れると、エバルーの隣に現れたのはあのゴリラメイド、バルゴだった。
「お呼びでしょうか?ご主人様」
「この方、星霊でしたのね」
「ボヨヨヨ!さぁバルゴ、こいつらを・・・ん?」
「「あっ!?」」
そこに居る者達は、バルゴの方を見て驚愕した。
なぜならバルゴの肩には
「ナツ!リート!」
「あっルーシィ見つけた」
ナツとリートが張り付いていた。
「な、なぜ貴様らが・・・?」
「あんた達、どうやって・・・?」
「このメイドが動き出したからしがみついてたんだよ」
「俺はナツに掴まれてほとんど巻き込まれて」
「あんた達まさか星霊界を通って来たの!?」
「なんだと!あり得ん!」
星霊界。星霊達が普段居る此処とは別の世界
ナツとリートはそこを通って来たのだ
「いや、あり得んって言われても、現にこうしてここにいるわけだし...」
ナツとリートは足場に降りる。
「とにかく!この本はあんたには渡さない!てゆーかあんたに持つ資格なし!」
「開け!巨蟹宮の扉!キャンサー!」
「蟹きたー!!」
「すげぇ!蟹だぁ!」
「なんでそんなにテンションが上がってんだよ...」
「ジュルッ」
「ラリカ!?」
キャンサーの登場により、ナツとハッピーはテンションが上がり、ラリカは口元からよだれが垂れている。
「はっ!私ったら、はしたない」
「絶対語尾に『~カニ』ってつけるよ!間違いないよね!オイラ知ってるよ!お約束って言うんだこういうの!」
「マジか!やっぱり語尾はカニなのか!」
「集中したいの、黙らないと肉球つねるわよ」
「おめぇも黙らねぇと永久冷凍すんぞ」
騒がしいハッピーとナツに、ルーシィとリートがツッコむ。
「...ルーシィ今日はどんな髪型にするエビ?」
「空気読んでくれる!?」
「「「「エビーーー!?」」」」
全員が語尾に驚愕する。
「戦闘よ!あの髭オヤジをやっつけて!」
「OKエビ」
「ルーシィ、オイラまさにストレートと思ったらフックを食らった感じだよ~、うん!もう帰らせていいよ」
「ハッピーちょっと黙ってろ」
「あのゴリラメイドは俺とナツで何とかする!ルーシィ達はエバルーを頼んだ!」
「わかった!」
「バルゴ!早く邪魔物を一掃しろ!」
「させるか!ナツ!合わせるぞ!」
「おう!」
「火竜の」「氷竜の」
「鉄拳!」「硬拳!」
ナツとリートはバルゴの真上まで飛び上がり、殴り付けて地面に叩きつけた。
その内にルーシィは持っていたムチで、エバルーを捕まえる。
「これでもう、地面に逃げられないでしょ!」
そのままルーシィはキャンサーに向かってエバルーを放り投げ、キャンサーもハサミを使い、エバルーの毛をカットする。
「ボギョォ!」
「お客様こんな感じでいかがでしょう」
つるつるになったエバルーを見て
「ある意味恐ろしい技だな...」
リートは呆然としていた。
カービィ邸に着いたルーシィは、本をカービィに渡す。
それを見たカービィは激昂した。
「な、これは一体どういうことです・・・!依頼は本の破棄、または焼却だったはずです!」
「そうですね。破棄するのは簡単です。カービィさんにもできます」
「な、なら私がこの本を処分します!こんな本、見たくもない!」
「どうしてカービィさんがその本の存在が許せないのか分かりました。父の誇りを守るため――あなたはケム・ザレオンの息子ですね」
「なるほど」
「マジか・・・」
リートは少しだけ納得した顔をして、ナツは唖然としていた。
ルーシィは話を続ける。
「この本を読んだことは?」
「いえ、父から聞いただけで、読んだことは・・・しかし読むまでもありません。父も言っていた駄作だ、と」
「つまんねぇから燃やすって!あんまりじゃねぇのか!父ちゃんが書いた本だろ!お!?」
「落ち着け、ナツ」
リートがナツを落ち着かせる。
「カービィさん、ケム・ザレオンはその本を消滅させることを本当に望んでいるのですか?」
「そのはずです!父はこの本を書いたことを恥じていた」
問いに答えたカービィは、父ケム・ザレオンとの回想を話し始める。
31年前のこと、エバルーからの脅迫によってデイ・ブレイクを書かされていたケム・ザレオンが3年振りに家に帰って来た。
家に帰るなり挨拶もなしにロープで腕を縛ると
「私はもう終わりだ。二度と本は書かん」
と言って利き手の右腕を斧で切り落としたそうだ。
そのまま病院に送られ、入院となったケム・ザレオンを若かりし頃のカービィは責め立てた。
その後すぐケム・ザレオンは自害した。
カービィはその後長らく、ケム・ザレオンを憎み続けていた。
「しかし、私の中の憎しみはいつしか後悔に変わりました・・・。私があんな事を言わなければ父は自殺しなかったんじゃないかと・・・」
言い終えるとカービィは懐からマッチ箱を取り出した。そして、マッチに火をつける。
「待って!」
「!?」
すると、マッチの火が凍りついた。
リートがマッチを凍らせていたのだ。
「すいません、でも、うちの仲間がその本に何か秘密があるって持ち帰って来たぐらいなんです。あと少しだけ待ってみてもらえませんか...」
すると、日の出から眩しい光が溢れてきた。その光と共に本が開かれ、中から無数の文字が飛び出す。
「え!?」
「なんだ!?」
「文字が浮かんだ・・・!?」
ルーシィを除いた全員が、その光景を呆然と見る。
ルーシィが再び口を開いた。
「ケム・ザレオン・・・いえ、本名はゼクア・メロン 彼はこの本に魔法をかけたんです」
「ゼクア・メロン・・・そうか、ペンネームであるケム・ザレオンは本名のアナグラムでしたのね!」
ラリカが反応する。
「魔法・・・?」
カービィが呆然と呟く。
するとタイトルである『日の出《デイ・ブレイク》』の文字が浮かび、並び替えられる。
そして本当のタイトルとしてカービィの前に現れた。
「DEAR《ディア》...KABY《カービィ》!?」
「彼のかけた魔法は、文字が入れ替わる文字魔法の一種。もちろん、タイトルだけでなく中身もです」
ルーシィがそう言うと、飛び出していた文字達が次々と並び替えられる。
並び替えられた文字で語られる文は、カービィに向けられた文だった。
「すげぇ...」
「あぁ...」
ナツとリートは感動する。
「彼が作家を辞めた理由・・・それは最低な本を書いてしまった他に最高の本を書いてしまったことかもしれません」
ルーシィは続けた。
『日の出』から溢れた文字は次々と本に戻っていく。
「それがケム・ザレオンが本当に残したかった本です」
「父さん・・・私は貴方を・・・理解できてなかったようだ」
カービィはポロポロと涙を流す。それはやっと父親に対して流すことができた涙だった。
「いいお父さんですね」
「はい、父は・・・最高の父親でした」
父を抱きしめるかのようにカービィは、『日の出』改めて、『DEAR KABY』を抱き締める。
カービィは涙を拭き、ルーシィ達に身体を向ける。
皆さん、ありがとう。やはりこの本は燃やせませんね」
「そっか・・・じゃあ、俺達は帰るわ」
「だな!」
「あいさー!」
「ですわね!」
「えっ!?」
ナツはそう言うと、カービィに背を向け、出口に向かう。リートとハッピーとラリカもそれに続く。
カービィとルーシィは、戸惑うことしか出来なかった。
「ちょ、ちょっと待って下さい・・・報酬をーー」
「だって、依頼は『本の廃棄』ですよね?」
リートがそこまで言うとカービィは、はっ と気づいた。
「俺達廃棄してないしな!」
「そういうことです」
「し、しかし・・・」
「いいんだよ!目的を達成してないのに報酬なんて貰ったら、じっちゃんに怒られちまう」
ナツ達の慈愛に、またも涙が溢れそうになるカービィ
「ありがとう・・・ありがとう、妖精の尻尾」
「どういたしまして」
リート達は、カービィに手を振りながら屋敷を後にした。ルーシィも慌てて後を追いかける。
帰り道の途中、ルーシィが少し機嫌が悪かった。
「もう、どうすんのよ!200万が全部チャラになっちゃうなんて!」
「だって、嘘ついてもらうのは嫌だしなぁ」
「あい!」
「達成してないのに報酬を貰うのは詐欺師と変わらねぇよ」
「あら、リート 今なかなかいいこと言いましたわよ」
「うぅ・・・はぁ、分かったわよ」
ルーシィは降参と言わんばかりに両手を上にあげる。
「今頃、自分の本当の家で読んでるだろうな」
「え? 本当の家って?」
ナツの会話に疑問が生じたルーシィは聞く。
「あいつらの匂いと家の匂いが違ったんだ」
「な、なにそれー!?」
「んじゃあ大金持ちじゃなかったって事か」
「あの小説家、すげぇ魔道士だな」
「あい、30年間も魔法が消えてないなんて相当な魔力だよ」
「昔は魔導士ギルドに所属していたんだって。そこで体験した冒険を小説にしてるの。はぁ、憧れちゃうな〜」
ルーシィはうっとりとした表情で、空を見上げる。
「ああ、やっぱりな」
「え?やっぱりって?」
「あのルーシィの部屋にあった紙の束、ルーシィが書いた小説じゃねぇか?」
「あら?そうでしたの?」
「えぇ!?」
図星だったのか顔が真っ赤になる。
「うぅ〜他の人には言わないでよ!」
「なんでだ?小説書くのは凄いことじゃねぇか、もっと胸を張っていいことだと思うけど」
「まだ、下手くそだし・・・読まれたら恥ずかしいでしょ!」
「誰も読まないよ~」
「それはそれでちょっぴり悲しい!!」
後書き
どんどんいきましょ~
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