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レーヴァティン

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第百八十五話 大騎馬戦その五

「相当心荒むわね」
「そうだよな」
「他の将兵も酷い扱いだったし」
 懲罰大隊に限らずソ連全体がそうだった、まさに犠牲なぞ躊躇せず戦争を行ってきたのだ。これがスターリンだった。
「それでね」
「人心が荒廃したんだな」
「しかも人口は激減したし」
 先のロシア革命と失政による飢饉そこにスターリンの粛清もあってだ、当時のソ連の人口減少は戦争前で既に深刻な状況にあった。
 だがそこにだ、さらにだったのだ。
「もうね」
「ソ連はそこでかなりまずいことになってたな」
「それで崩壊したって言う人もいる位よ」
「後で超大国になったけれどな」
「その実はボロボロだったのよ」
「戦禍でな」
「人口は激減していて国土は荒れ果てて」
 そうした状況であったのだ、勝っても。
「それでね」
「アメリカと張り合ってもな」
「その実はそうでね」
「結局その戦禍が癒えないでか」
「崩壊したっていう人もいるのよ」 
 双葉は久志に話した。
「そうもね、損害を無視した戦は」
「絶対に駄目だな」
「ええ、兵士に地雷原を歩かせることも」
「懲罰大隊とかな」
「死刑囚ならともかく」
 そうした思想犯なりはというのだ。
「普通の兵隊さんはね」
「行かせるべきじゃないな」
「そうよ」 
 本当にというのだ。
「そうあるべきよ」
「そうだよな」
 久志も頷いた。
「だったらな」
「そんなやり方は絶対に採用しないで」
 それでというのだ。
「地雷原はね」
「余裕があれば地道に撤去して」
 そうしてというのだ。
「それでこうした危急の時はね」
「砲撃や術でな」
「吹き飛ばしていきましょう」
「それがいいな」
「そうすればいいのよ」
「そうだな、じゃあな」
「まずは敵の前に行きましょう」
 夕子が言ってきた。
「そうしましょう」
「ああ、それからだな」
「ここで敵軍が動かないと」
 自分達が目の前に来てもだ。
「間違いなく仕掛けているので」
「それでだな」
「その地雷原にです」
 そこにというのだ。
「攻撃を仕掛けましょう」
「それで吹き飛ばすか」
「そうしましょう」
「それじゃあな」
 久志は夕子の言葉にも頷いた、そうしてだった。
 彼は軍勢をいよいよブダペストのすぐ近くまで進ませた、まだ街は見えていないがそこには大軍が待っていた。
 中央に歩兵と砲兵がいて左右に騎兵がいる、だが。
 彼等は動かない、久志はそれを見て確信した。
「これは間違いないな」
「地雷を仕掛けていますね」
 夕子も確信している声だった。
「ここで前に進まないのは」
「あの陣形でな」
 久志は敵軍の陣形も見た、中央に歩兵と砲兵がいて左右に騎兵がいるそれは鶴翼であった。 
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