戦国異伝供書
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第百十八話 水色から橙へその八
「戦はな」
「薩摩隼人の剣術を用いますな」
「その勇もな、死ぬことを恐れては」
それこそというのだ。
「戦にも勝てぬ、愚かな戦はせぬが」
「攻める時には攻める」
「その時に命を恐れるものではない」
決してというのだ。
「それが筋じゃ」
「左様ですな」
「そうじゃ、だからこれからの戦はな」
「鉄砲にですな」
「切り込みも行ってな」
「戦いますな」
「そうして勝つ」
「はい、そうして戦えば」
歳久も言ってきた。
「我等はです」
「勝てるな」
「そうなります」
間違いなく、とだ。歳久は長兄に答えた。
「そしてその為の策もです」
「我等にはあるな」
「少なくとも九州のどの家にもです」
「負けぬか」
「はい、薩摩の他の国人達もで」
そしてというのだ。
「薩摩と大隅を一つにすれば」
「大友家や龍造寺家にもか」
「勝つことがです」
「出来るな」
「策も用いれば」
「我等にはそれがあるな」
「左様です」
こう言うのだった。
「既に」
「それはここにおる者達であるな」
義久は歳久の言葉をこう解釈して言った。
「そうであるな」
「左様です、人こそがです」
「島津家の最大の武器であり」
「それで戦えば」
そうすればというのだ。
「必ずです」
「我等は勝てる」
「左様です」
「兄上、戦になれば」
家久も言ってきた。
「その時は我等命を捨てて」
「そしてであるな」
「戦いまする」
「その言葉確かに聞いた、ならな」
「それならですな」
「お主達の力存分に使わせてもらう、わしもな」
義久自身もというのだ。
「全ての力を使うぞ」
「そうして戦われますな」
「そのうえで勝っていく、三州を手に戻すが」
薩摩、大隅、日向をというのだ。
「しかしな」
「それでもですな」
「そこで向かって来る敵がいればな」
「退けますな」
「そうする、その為に我等全員の全力を使わせてもらう」
義久自身も含めてとだ、義久は弟達にも家臣達にも告げた。その話を聞いて四人の父である貴久は息子達を集めて彼等に言った。
「見ておった、もうわしから言うことはな」
「ありませぬか」
「ない、全てお主達に任せ」
そのうえでというのだ。
「残された時はお主達を見て過ごす」
「そうされますか」
「うむ」
まさにというのだ。
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