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歪んだ世界の中で

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第三話 小さな決意と大きな一歩その九

 強い顔になっていた。そしてその顔で述べたのである。
「今日からでもやってみるよ」
「早速なのね」
「走って。そして」
 さらにだった。それに加えて。
「勉強もするよ」
「夏休みからなのね」
「夏休みでも何時でもね。ほら」
「ほら?」
「思い立ったが吉日って言うじゃない」
 この考えをだ。希望は述べたのだった。
 そしてだった。まただった。
 彼はだ。千春に述べたのである。
「今日、デートから帰ったらね」
「走るの?」
「走ってそしてね」
「お勉強もよね」
「それもするよ」
 勿論だ。そうすると述べてだ。
 そうしてだ。今度はだ。
 希望は中華街の土産物を扱っている店を見てだ。こう千春に話したのである。
「あのさ」
「どうしたの?」
「折角中華街に来たから」
 それではだとだ。述べる彼だった。
「何か買って行かない?」
「あっ、そうね」
 希望に言われてだ。千春もだ。
 はっと明るい顔になりだ。それで応えたのだった。
「中華街に来たら」
「同じ神戸市内にあるから何時でも行けるけれど」
「それでも来たらね」
「うん、買おう」
 こう言う千春だった。
「じゃあ何を買うの?」
「ええと。それは」
 実はそこまでは考えていなかった。それでだ。
 希望は困った顔になりだ。こう千春に述べたのである。
「ちょっと」
「わからないの?」
「悪いけれどね」
 そうだというのだ。
「そこまでは」
「それだったらね」
「二人で選んでだね」
「それで買おう」
 笑顔でだ。提案してきた千春だった。
「それでどうかな」
「そうだね。それじゃあね」
 希望もだ。千春のその言葉に頷きだ。
 そうしてだ。こう答えたのだった。
「二人でね」
「選ぼう」
「うん、それじゃあ」
 こうしてだった。二人でだ。店に入りだ。
 中を見回した。そこには掛け軸もあれば絵もあった。そしてだ。
 扇、中華風のその独特の模様があるそれを見てだ。千春は言うのだった。
「これなんかどうかな」
「あっ、扇だね」
「千春扇好きなの」
 その嗜好をだ。希望に話すのだった。
「それでだけれど」
「この扇欲しいんだ」
「希望は青でね」
 扇達のうちの青いそれを手にしての言葉だった。
「それで千春は」
「どの色にするの?」
「これ」
 微笑んでだ。白い扇を出して言うのだった。 
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