猫は寂しがり屋

　　　　　　　猫は寂しがり屋
　寿麗奈な黒髪を肩の高さで切り揃えている、小さめであるが沢庵型の眉は黒く濃いものである。目は穏やかで奥二重のきらきらしたもので肌は雪乃様に白く唇と鼻の形は整っている。背は一五七程で楚々としたスタイルだ。仕事はＯＬであり大学を卒業してからしっかりと働いている。
　一人暮らしだが家で猫を飼っている、その彼女が自分のマンションに来た先輩の豊崎千夏に対して言った。千夏の背は一六六程で黒髪をやや長く伸ばしウェーブをかけている。やや面長の顔で目は小さめであり睫毛が長く眉は細長い。唇は笑っている感じの奇麗な赤だ。背だけでなくスタイルはかなりのものだ。
　その彼女が麗奈の家にいる一匹の猫、灰色の毛のトラ猫を見て言った。
「猫ちゃん飼ってるの」
「はい、ミン君っていいます」
「ミン君ね」
「実家で生まれた子達の一匹で雄で」
　それでというのだ。
「私が引き取ってです」
「育ててるのね」
「実家の娘が妹になりますから」　
　自分から見てとだ、麗奈は千夏に笑って話した。
「この子は甥ですね」
「甥と一緒に住んでるの」
「お姉ちゃん二人いますけれど」
　麗奈は千夏に自分の姉妹のことも話した。
「お姉ちゃん達も」
「あっ、一匹ずつなの」
「引き取って従姉が一匹で」
「四匹引き取られたのね」
「四匹産まれて」
　それでというのだ。
「もう一匹ずつで」
「ああ、全部なの」
「そうなりました」
「そうなのね」
「時々実家に集まって」
　麗奈は千夏に笑顔で話した。
「兄弟姉妹親子のです」
「顔合わせもなのね」
「しています」
　千夏に笑顔で話した。
「これがもうです」
「楽しいのね」
「はい」
　自分の傍に来た猫、そのミンの背中をさすりつつ話した。
「その時もそれで家で一緒にいても」
「つまり今みたいな時も」
「はい、凄くです」
　本当にというのだ。
「幸せです」
「そうなのね」
「この子がいて、猫がいるだけで」
「変わるのね、暮らしが」
「全く変わります、何かと手がかかりますが」
　それでもというのだ。
「その手がかかることもです」
「いいのね」
「可愛くて。それだけで明るくなりますよ」
「うちは犬だけれど」
　千夏は自分のことも話した。
「やっぱりね」
「誰かいますと」
「もうそれでね」
「変わりますよね」
「明るくね」
「はい、ですから私もなんですよ」
「猫ちゃんと一緒にいられて」
「とても幸せです」
　満面の笑みでの言葉だった。
「本当に、ただ」
「ただ？」
「悪さがなんですよね」
　満面の笑みはそのままだった。
「やんちゃで」
「うちの子はそれは」
　どうかとだ、千夏は麗奈に返した。彼女の顔は少し真剣なものだった。