恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十三話 孔明、司馬尉を警戒するのことその四
「それで謎だらけの人って普通ないだろ」
「だからこそ余計に引っ掛かるな」
趙雲は推理を働かせていた。
「謎が多いということは隠さなければならないことがあるということだ」
「謎、ね。そうなるわね」
黄忠も趙雲のその言葉に頷いた。
「確かにこれは」
「少なくともはっきりしたことはだ」
大門は思慮する顔だった。元よりそうした顔だがだ。
「司馬尉と言う者は尋常な者ではない」
「ああ、調べさせないものがあるからな」
テリーも言う。
「調べて欲しくないことを山だけ持ってるのは間違いないな」
「とりあえずは」
どうするべきか。アンディは考える顔で述べた。
「彼女のやり方とか知りたいけれど」
「そうですね。それなら」
ここで孔明は考える顔、それも深い顔になりだ。
そのうえでだ。劉備に話した。
「あの人は軍のことも知っておられますし」
「それならどうするの?」
「ここは一つ考えがあります」
こう劉備に話すのだった。
「あの方に兵を率いてもらいましょう」
「では征伐に出すのか?」
魏延が孔明に尋ねる。
「叛乱か何かの」
「はい、何処かの山賊の征伐に行ってもらいましょう」
孔明は司馬尉にそうさせてだ。彼女のやり方等を見るというのだ。
「戦い方でおおよそのことはわかります」
「じゃあ。少しね」
どうするかと。劉備はここで彼女の考えを話した。
「袁紹ちゃんと曹操ちゃんにお話してみるわね」
「それがいいと思います」
鳳統もそれはいいと答えた。
「ではそうして」
「ええ、それじゃあ」
こうしてだった。劉備はだ。
袁紹達を呼んでだ。司馬尉を山賊討伐に行かせることを提案した。
するとだ。まずはだった。
曹操がだ。こう劉備に言うのだった。
「いいと思うわ」
「そう。曹操ちゃんは賛成してくれるのね」
「丁度擁州で山賊が暴れてるし」
「そこに行ってもらうのね」
「ええ。残念だけれど山賊は消えるものじゃないわ」
この時代はだ。どうしてもだった。
「だからね」
「そうですわね。わたくしも」
今度は袁紹が言った。少し考える顔で。
「賛成しますわ」
「じゃあ」
「ただね」
「どうも気になりますわ」
いぶかしむ顔でだ。袁紹は言った。
「あの娘のことは」
「袁紹ちゃんもなの」
「最初からいけ好かないと思っていますし」
「私もね」
袁紹だけでなく曹操もだった。彼女についてはだ。
個人的にだ。嫌悪感を持っていてそれで話すのだった。
「名門の嫡流でね」
「それで非の打ちどころがないっていうのはどうしてもですわ」
「そうなの?」
その話を効いてだ。劉備は。
首を傾げさせてだ。こう二人に返した。
「別にそんなことは」
「ええ、これはね」
「わたくし達の事情ですから」
二人は顔を曇らせた。宦官の家の娘や妾の娘ということは彼女達にとっては拭えないものだ。その劣等感故に司馬尉を嫌っているのだ。
それを出してしまったのだ。だが劉備はそれに気付かずにだ。
二人にだ。こう言うのだった。
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